漢方薬剤師
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薬剤師は西洋医学に基づいた調剤などを主な業務としていると思われがちですが、

近年東洋医学である漢方が注目されているということもあって、そちらの方面の薬剤師に就く方も多くいらっしゃいます。

しかし、そもそも漢方とはなんなのか、普通の薬と何が違うのかなどの疑問点があるかと思います。

今回はそんな疑問点を解消しつつ、漢方薬剤師の仕事を説明していきたいと思います。

漢方とは

まず大前提となる漢方のお話をしたいと思います。

漢方と西洋医学の違いは、一言で言ってしまうと病気に対するアプローチの仕方です。

同じ病気であってもこの2つの医学では注目するべき点が違うのです。

西洋医学の場合

西洋医学は主に病気の「症状」を見ると言われています。

こんな症状が出ているからこの薬が効くだろうという、いわゆる対症療法ですね。

症状という結果に重点を置き、それを抑えつけるにはどうすればいいのだろうと西洋医学では考えます。

東洋医学の場合

対する東洋医学、漢方のほうはというと、こちらは病気の「原因」を重視すると言われています。

ある症状が表れた時、西洋ではその症状のみに着目しますが、漢方ではそれがどのような過程で起こっているのか、

その根元を探り、その根元を打ち消すような身体にするための薬を処方します。

個々人で違う体質をはかるものさしのことを「証」と言ったりしますが、ここでは詳細は割愛させていただきます。

要するに、漢方は根本から治癒することを目的とし、且つそれを人体自身の力を利用して行う治療法のことを言うのです。

漢方薬剤師の主な仕事

肝心の漢方薬剤師の仕事を説明しましょう。

漢方薬剤師といっても、やるべきことは普通の薬剤師と変わりません。

ただ、漢方がどのような薬であるのかを十分に理解した上で患者さんと向き合わなければなりませんし、それ相応の知識も必要です。

やるべきことは同じでも、その内容は厳密には違いますので注意が必要です。

漢方相談

先ほど、漢方を原因から治療する方法だと言いましたが、そういった治療を行うにはまず患者さんの情報が必要です。

その点において、漢方ではこのヒアリングが最も重要だと言えるかもしれません。

コミュニケーション能力もさることながら、話しながらどこに原因があるのかを探らなければいけないので頭の回転も必要です。

西洋医学のようにその症状ならこれ、といった具合には決められませんので、時には漢方相談だけで数時間費やすこともあります。

また、漢方の治療には時間がかかると言われています。原因から治そうというのだから当たり前の話なのですが、その分患者さんと関わる時間も長くなります。

時に辛い症状にめげそうになったりする患者さんの心理状態もいますので、そのケアも必要になります。

しかし、そのように共に完治を目指して歩めることをやりがいと感じる薬剤師も多いですよ。

調剤

調剤に関しては、漢方の場合2つのパターンがあります。

1つは処方箋に基づいて漢方を調合する方法。こちらに関しては薬剤師の資格を持っていればできる仕事です。

しかし、もう1つの方はというと、薬剤師の資格だけではやってはいけないことになっています。

漢方薬・生薬認定薬剤師という資格が必要なその仕事は、主に生薬から漢方を調剤する仕事です。

生薬とは漢方の原料となるもので、天然由来の素材です。

それゆえに、きちんとした知識を持っていないと扱ってはいけない代物でもあります。

原料である植物や動物、鉱物がどのような環境で育ってきたかで、その効果も違ってきてしまいますので、資格を持っている人でさえも慎重に調剤を行わなければなりません。

漢方薬剤師になるには

上にも示した通り、処方箋に基づいた漢方を調合するのならば薬剤師の資格だけで事足ります。

しかし、ここではより専門的な知識の必要な漢方薬・生薬認定薬剤師についてご説明したいと思います。

前提としてその定義を以下に示します。

「漢方薬・生薬認定薬剤師」は、専門業務分野においてあるレベル以上の能力と適性を持っていることを試問等により確認し、その能力を証明された薬剤師を指します。
 認定されたことにより、患者や処方医師に自信を持って漢方薬・生薬に関する情報提供ができます。また、「漢方薬・生薬認定薬剤師」であることを、認定証掲示やIDカード着装により、患者や他の医療従事者にアピールすることもできます。

引用:http://www.jpec.or.jp/nintei/kanpou/

資格を取るには

公益財団法人 日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が実施する研修に参加し、試験に合格することで、その資格を得ることができます。

なんだそれだけ、と思うかもしれませんが漢方は奥が深く、たとえ資格を無事に取れたとしてもその後も継続的な勉強が必要となります。

資格取得者の多くは、薬局などに勤務しながら勉強していた薬剤師たちです。

合格者は年々増えており、近年では300~400人の方が資格を認定されています。

それだけ漢方が日本でも認知されてきた証とも言えるでしょう。

3年ごとの更新

資格を取ってはいおしまい、というわけではないのがこの資格のポイントです。

漢方は西洋医学同様、日々進歩を続けています。

めまぐるしく変わっていく情報についていけなくては、とてもではありませんが漢方薬剤師は務まりません。

資格を取った人には3年ごとにその資格を更新する義務が与えられます。

これには必要単位が設けられており、しっかりと出席したうえで勉強しなければなりません。

ここでは新たな知識などを学べますので、自己の研鑽の機会だと思って精進しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

漢方薬剤師はとてもやりがいのある仕事です。もっと患者さんに寄り添いたい、医学をもっと広く深く学びたい、と思う方はぜひ目指してみてください。