「イオン」といえば、ショッピングセンターとしては知らない方のいないであろう、日本を代表する企業です。
そんな誰もが知るイオンですが、「イオン薬局」として調剤薬局をチェーン展開していることでも知られています。
ショッピングセンター内にあるため、気軽に立ち寄れることのできる人気の薬局ですが、はたらく薬剤師にとってはどのような魅力があるのでしょうか。
この記事では、イオン薬局の概要や特徴、はたらく薬剤師にとっての魅力について解説します。
薬局薬剤師
薬剤師に人気のイオンリテール株式会社とは
はじめに、イオンリテール株式会社(以下、イオンリテール)の概要についてみていきましょう。
※イオンリテールは薬局以外の事業も展開していますが、本稿では薬局部門に注目していきます。
「イオングループ」が運営する企業
イオンリテールは、国内大手流通グループである「イオングループ」に属する、総合スーパーやスーパーマーケットを運営している企業です。
「調剤を核に健康をトータルサポート」というスローガンのもと、全国のイオンショッピングセンター内に、280店舗(2021年2月現在)の「イオン薬局」を展開しています。
薬剤師だけでも約2,200名の従業員を抱えており、地域医療を推進する一員として、「ヘルス&ウエルネス」の強化に取り組んでいます。
薬局部門にもさまざまな魅力が
調剤薬局チェーンは数多く存在していますが、「イオングループ」だからこそできる、イオンリテールならではの魅力があります。
ショッピングセンターを生かした店舗づくり
イオン薬局では、調剤を核にOTC医薬品や漢方薬、介護用品、健康食品など、さまざまな医薬品や衛生用品を扱っています。
売り場面積も通常の調剤薬局に比べて確保しやすく、待合室スペースや駐車場が広いこともポイントです。
イオンそのものが持つ集客力を直接生かせるため、医療機関を受診しない層の顧客に対して、健康支援や健康管理をおこなうこともあります。
PB商品の開発にも注力している
イオン薬局では、PB(プライベートブランド)商品の開発にも力を入れています。
展開している「ハピコム」というブランドは、国内最大級のドラッグストア・調剤薬局連合のグループメンバー企業において、幅広く販売されています。
患者さまの声を生かした商品開発により、高品質の医薬品を安価で提供しています。
クリニックの誘致に積極的
イオン薬局では、「地域のヘルスケアステーション」としての機能を発揮するために、ショッピングセンター内にクリニックモールの誘致をすすめています。
一度の来院で複数の医療機関を受診できることや、ショッピングセンターで介護用品や健康食品をあわせて購入できることから、多くの患者様に喜ばれています。
在宅医療にも積極的に取り組んでおり、患者さまのニーズに合わせた医療を提供しています。
薬局薬剤師
イオン薬局ではたらく薬剤師の年収
新卒薬剤師の場合は、次の条件で募集がされています。
- 全国:月給353,500円~373,500円
- エリア:月給333,500円~353,500円
- 地域限定:月給283,500円~303,500円
中途採用の場合だと、新卒よりもやや月給が上がります。
- 全国:月給353,500円~550,000円
- エリア:月給333,500円~530,000円
- 地域限定:月給283,500円~480,000円
なお、月給とは別に新卒も中途の場合も賞与が年に3回(5月、7月、12月)に支給されることが特徴です。
1回のボーナスで何ヶ月分支給されるのかが不明なため具体的な年収は計算できませんが、マイナビ薬剤師に掲載されていた求人を見ると、およそ420~500万円程度の年収が期待できることがわかります。
参考:マイナビ薬剤師 2021年2月時点
上記の求人を見ると、24歳~30歳モデルで年収420~500万円となっているので、新卒では年収420万円前後、中途で年収500万円前後となることが予想できます。
イオン薬局の勤務時間
年間の所定労働時間は1920時間で、月あたり160時間の勤務です。
イオン薬局では変形労働時間制を採用しているので、1日あたりの勤務時間は4~10時間の間で調整されます。
業務量に応じて時間の調整が行われるので、閑散期は数時間の勤務で帰宅できることもあるでしょう。
大手ならではの福利厚生が魅力
ショッピングセンターならではの立地や環境を生かした店舗づくりが特徴のイオン薬局ですが、はたらく薬剤師にとってもさまざまな魅力があります。
その一つとして、大手ならではの福利厚生や研修制度があります。
現在のところ、薬局単体での売り上げや店舗数ではアイン薬局や日本調剤の方が上位となりますが、イオングループ全体で考えれば、国内有数の規模を誇ります。
次の項からは、大企業ならではの具体的な福利厚生の内容や研修制度について、みていきましょう。
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薬剤師に嬉しいイオン薬局の充実した福利厚生
イオンリテールの魅力の一つに、充実した福利厚生があります。
柔軟なはたらき方を支援する制度
まずは、柔軟なはたらき方を支援するための制度についてみていきましょう。
勤務エリア認定制度
イオンリテールでは、本人のキャリアプランやライフプランにあわせて、勤務エリアの拡大・縮小を選択することが認められています。
選択が可能なのは、次の3つのパターンです。
- 全国での勤務(全国)
- 選択したブロック内での勤務(エリア)
- 自宅から通勤可能な範囲での勤務(地域限定)
給与やキャリアプランの豊富さは、全国>エリア>地域限定となっていますが、区分によっては転居を伴う転勤を命じられることもあるため、注意が必要です。
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育児休職・育児勤務制度
育児休職制度では、従業員が育児に専念するため、一定期間の休職が認められています。
第1子では最長3年間、第2子以降では最長2年間の休職が可能であるため、育児と仕事を両立させることができます。
育児勤務制度では、就業しながら育児もおこなうために、「一定期間勤務時間を短縮して勤務」または「勤務時間を特定して勤務」することが認められています。
取得可能な期間は、最長で子どもが中学校に入学するまでと規定されており、一般的な薬局に比べて長期間にわたり制度を活用することが可能となっています。
介護休職・介護勤務制度
介護休職制度では、従業員が介護または看護に専念するため、一定期間(最長で2年間)の休職が認められています。
小規模な薬局では退職を余儀なくされる場合もありますが、イオンリテールでは本制度を活用して、介護に専念することができます。
介護勤務制度では、就業しながら介護または看護をおこなうことができるように、一定時間勤務時間を短縮して勤務することが認められています。
「時間短縮型(1、2、3時間短縮)」と「フルタイム勤務型(短縮なし)」の選択が可能であり、最長3年間の取得期間を超える場合には、1年単位で更新することができます。
リ・エントリー制度
結婚・出産・育児・配偶者の転勤・介護および留学のいずれかの理由で円満退社した場合に、社員として復職が可能になる制度です。
事前の登録が必要となりますが、慣れ親しんだ会社に復帰することができるため、退職者の多くが登録しています。
全国規模のイオングループだからこそできる、非常に優れた制度の一つです。
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充実したライフスタイルを支援する制度
次に、充実したライフスタイルを支援する制度についてみていきましょう。
イオングッドライフクラブ
イオングループの代表的な福利厚生制度の一つとして、共済会による「イオングッドライフクラブ」があります。
多彩な福利厚生が運営されており、次の3つのカテゴリーに大別されるさまざまな支援を受けることができます。
- 共助のための制度(お祝い、お悔やみなど)
- 自助支援のための制度(育児、介護、団体保険など)
- 生きがい支援のための制度(各種テーマパーク割引、提携特典など)
中でも、ライフステージにあわせた補助金は好評で、「結婚祝金:3万円+祝電」や「出産祝金:1子につき3万円」、「育児補助金:小学校就学前の子供を対象とした育児サービスの半額」などが給与とは別に支給されます。
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買物割引制度
イオンリテール直営の店舗で買い物をする際に、社員専用の割引を受けることのできる制度です。
グループ各社との相互買物割引制度も拡大しているため、今後もさまざまな分野で活用していくことが期待されています。
また、本制度は家族にも適用されるため、食料品や日用品などの日々の買い物もお得になります。
薬局薬剤師
長期休日制度
長期休日制度では、年間120~125日の休日のうち20日間を、1回~4回の連続休日として取得することが認められています。
基本的には5日単位で、①20連休、②10連休×2、③10連休+5連休×2、④5連休×4などのパターンで休暇を取得します。
長期休暇が取得できる薬局は少ないため、旅行や趣味を楽しみたい薬剤師には好評です。
※ただし、ポジション(管理薬剤師、事業部の責任者など)や人員の都合によっては、10連休や20連休の取得は困難となる場合もあります。
社宅制度
転居を伴う転勤や配属の場合に、一般の住宅施設を会社が社宅として用意する制度です。
家賃の一部自己負担が必要となりますが、生活費の中でも大きな割合を占める家賃を減らせるため、大変好評です。
また、社宅に入居せず個人で住居を借りる場合には、住宅助成金が支給されます。
薬剤師のためのイオン薬局の豊富な研修制度
イオンリテールのもう一つの魅力に、豊富な研修制度があります。
ここでは、イオンリテールの研修制度の一部をご紹介していきます。
新卒・第二新卒対象の薬剤師研修
新卒または第二新卒が対象となる、入社後3年までにおこなわれる研修です。
ハピコム総合研修(2年間)
入社後2年間にわたり継続的におこなわれる「ハピコム総合研修」では、調剤・OTC医薬品・コミュニケーション能力などを学びます。
カンファレンス形式の症例検討や、EBMワークショップなどのプログラムが取り入れられていることが特徴です。
研修認定薬剤師の単位にも対応しており、2年間のうちに必要な40単位が揃うようにカリキュラムが組まれています。
薬剤師1年目研修
薬剤師1年目研修では、新卒や第二新卒を対象として、薬剤師としての基礎的な知識を身につけます。
生活者のセルフメディケーションをサポートするために、薬剤のみならず疾病についての周辺知識も学びます。
知識や技能だけでなく、薬剤師としての心構えなども習得することが可能です。
薬剤師2・3年目研修
2年目以降の研修では、患者さまに安心安全な薬物治療を提供できるように、より専門的で幅広い知識を身につけます。
店舗ごとのOJTだけでは学ぶことのできない、さまざまな領域についての知識が習得できます。
また、次のステップに向けて、今後のキャリアを切りひらくためのカリキュラムも組み込まれています。
薬剤師研修
薬剤師研修は、イオン薬局ではたらくすべての薬剤師を対象とした、継続的なスキルアップをサポートする研修制度です。
調剤基礎研修
調剤基礎研修では、イオン薬局の基礎教育として、薬局における調剤業務の流れを習得します。
他社で経験のある薬剤師であっても、業務の統一化を図るため、調剤基礎研修を受講します。
管理薬剤師研修
段階別の研修として、管理薬剤師を目指す薬剤師に向けたカリキュラムが用意されています。
コンプライアンスを遵守しながら、顧客や患者さまに支持される薬局づくりを実現することのできる管理薬剤師を育成します。
ヘルスカウンセラー育成研修
地域の患者さまの健康支援や健康管理を目的に、「セルフメディケーションの推進」や「健康情報発信」を実践できる薬剤師を育成します。
今後のかかりつけ薬局や健康サポート薬局を推進していくために、注目されている研修の一つです。
一般教育
薬剤師向けの研修だけでなく、全職種を対象とした一般教育も用意されています。
入社3年教育
職種を問わず、入社後3年間で実施される基礎教育です。
個人やチームとして成長するためのコミュニケーションの取り方や、ビジネスの基本について学びます。
イオンオビジネススクール(ABS)
「自分のキャリアは自分で切り拓く」という考え方に基づいた制度で、挑戦意欲のある人材が目指すポストを獲得し、自己実現するためのチャンスの一つとなる制度です。
「店長コース」や「商品部員コース」、「人事教育初級コース」、「財務経理コース」※などが用意されています。
※コースは毎年改変されます
薬局薬剤師
自己学習の支援(セルフスタディ)
資格取得や通信教育受講、定期購読、公開セミナーへの参加などを応援する、自己啓発支援システムです。
受講料の割引や資格取得援助金などが用意されており、スキルアップを強力にサポートしてくれます。
まとめ
この記事では、イオン薬局の概要や特徴、はたらく薬剤師にとっての魅力(福利厚生や研修制度)について、解説していきました。
大手ならではの福利厚生や研修制度に加えて、自己実現のためのキャリアプランが豊富であるため、多くの薬剤師に注目されています。
自分自身で直接応募することも可能ですが、転職エージェントを活用することで有利に転職できる場合もあります。
転職を検討している場合には、エージェントに一度相談してみることがおすすめです。
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