「薬を使わない選択肢も提案できるようになりたい」
「サプリメントの勉強をしてみたい」
「仕事に活かせる資格を取りたい」
そんな薬剤師にオススメなのが、サプリメントアドバイザーをはじめとしたサプリメント関連の資格です。ここでは資格の種類や取得方法、仕事への活かし方などをご紹介します。
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この記事の目次
薬剤師にオススメのサプリメントアドバイザーとは
サプリメントアドバイザーとは、専門的な知識から患者さんや消費者に対して適切なアドバイスを行う専門家のことです。
薬剤師の資格のような国家資格ではなく民間資格とはなりますが、食品の機能を把握した上で健康面のアドバイスができる資格として、医師や看護師などにも注目されています。
サプリメントは薬よりももっと身近な存在です。そのため、サプリメントの知識を習得することで患者さんの生活スタイルにより密着したアドバイスができるようになることが期待できます。
サプリメントアドバイザーなどの資格が薬剤師に人気な理由
サプリメントは薬ではないものの、私たちの健康を守る大切な存在です。マルチビタミンやビタミンCなどのサプリメントを「健康のため」、「美容のため」と飲んだことのある方は多いでしょう。
医療費が高いアメリカでは風邪で病院にかかるだけで2~3万円もするため、日頃からサプリメントを飲んで健康を維持している方が非常に多いといいます。薬剤師が患者さんにサプリメントを勧めることも日常茶飯事です。
このようにサプリメントも健康を守るという点では薬と近いところがあります。
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アドバイスの幅が広がる
「病気を予防したい」、「薬を使わずに健康を維持したい」といった方がもし相談に来られたら、あなたはどうしますか?きっと多くの方が生活習慣のアドバイスをしたり、サプリメントを勧めたりするかと思います。
このようなときにサプリメントについての知識があると、スムーズにアドバイスができますよね。
また「この薬とサプリメントは一緒に飲んで大丈夫ですか?」という質問にも答えられるようになるでしょう。どれくらい影響があるかはさておき、ほとんどのサプリメントがわずかながらも医薬品との相互作用を持っています。
血圧や血糖値に影響がでるものも多いです。お酒の前に飲むことの多いウコンも血糖値を低下させることがあります。
またウコンは、妊娠中に使用すると月経を誘発したり、子宮を刺激したりする恐れがあることも知られているものです。
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未病対策の指導もできる
病気ではないけど気になる症状がある状態を未病と呼びます。未病の症状が進むと病気になってしまうため、いかに未病の状態で症状を抑えられるかが大切です。
ここでもサプリメントの知識が活躍します。薬は病気を治療する能力は高いですが、未病に対する効果はあまり期待できません。逆にサプリメントは病気を治療することはできなくとも、未病を治療にはもってこいです。
疲れやすいという方にはビタミンB群やBCAAなどが勧められますよね。薬剤師がサプリメントの知識をつければ治療と予防医学の両方の観点から最適な答えを提案できます。
人気資格であるスポーツファーマシストとの相性も◎
スポーツファーマシストは、ドーピングに関する知識を得るための資格です。オリンピックの開催が近づくにつれてスポーツファーマシストは人気の資格となり、今では抽選に当選しないと受講すらできない状況です。
そんなスポーツファーマシストともサプリメントの資格は相性がよいものとなっています。ドーピングと聞くと薬を思い浮かべますが、実はサプリメントでも禁止物質が含まれていることがあるんですね。
サプリメントの知識も持っておくことで、うっかりドーピングを防ぐ手助けができます。
スポーツファーマシストの役割や取得方法、給料や求人を紹介!アスリートを支える薬剤師の新しい資格です。サプリメント服薬指導・アンチドーピングへ活動の解説。日本での求人はどのくらいあるの?
薬剤師のスキルアップにサプリメント系の資格は活きるか?
薬剤師がサプリメントの知識を付けておくことは、決してムダなことではありません。むしろ知識を活かせる場の方が多いでしょう。しかし資格を取得したからといって、すべての薬剤師がうまくサプリメントの知識を活かせるとは限りません。
資格を活かせる人
- ドラッグストアや調剤薬局で働いている人
- 患者さんのために最適なアドバイスができるよう普段から心がけている人
ドラッグストアに行くとたくさんのサプリメントがありますよね。調剤薬局にもいくつか陳列されていることがあります。サプリメントを扱っている職場で働いていると、自然と患者さんからサプリメントについての質問を受ける機会が増えます。
また上記以外の場所で働いていても、普段から患者さんの言葉に耳を傾けている薬剤師ならサプリメントのアドバイスする機会を作れるでしょう。
資格を活かせない人
- 病院で働いている人
- 流れ作業の間隔で患者さんと接している人
病院はドラッグストアや調剤薬局のようにサプリメントを販売していないことが多く、なかなかアドバイスをする機会がありません。
またいくらサプリメントの資格を持っていても、「資格コレクション」になってしまっては活かすことができないでしょう。
ドラッグストア以外の職場で働いている薬剤師が資格を活かすには、自らアドバイスできるタイミングを作ろうとしなければ資格の持ち腐れになってしまいます。
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サプリメントアドバイザーの年収は?
サプリメントアドバイザーの資格を持っていても、残念ながら年収はさほど変わりません。資格があることで的確なアドバイスをした結果、客単価が上がり評価されて昇給…というコースは考えられるものの、資格手当のようなものはほぼ存在しないのが現状です。
調剤薬局や病院、ドラッグストアの年収相場がそのままサプリメントアドバイザーとしての年収になると考えておきましょう。
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薬剤師におすすめ!サプリメントの資格の種類と取得方法
サプリメントの資格には、実はいくつかの種類があります。今回はそのうち4つについてご紹介していきます。
サプリメントアドバイザー(日本サプリメント学会)
〈公式サイト:日本サプリメント学会 〉
学会への入会金 | 10,000円 |
学会の年会費 | 10,000円 |
受験料 | 20,000円 |
認定料 | 20,000円 |
更新料 | 20,000円 |
研修会の参加費 | 1つの研修会につき10,000~20,000円 |
日本サプリメント学会の会員になり、研修会に出席することで試験を受けられるようになります。研修に参加すると点数が貰え、その点数が認定試験の受験資格を満たせば試験を受けることが可能です。
研修会場も受験会場も帝京平成大学となるので、地方の人や仕事が忙しい方には取得が難しいかもしれません。
サプリメントアドバイザー(日本ニュートリション協会)
〈公式サイト:日本ニュートリション協会〉
どなたでも受験できる資格で、薬剤師や管理栄養士の他に健康に興味のある一般の方も受講しているものです。受講を申し込むと自宅にテキストが2冊と添削問題集が2冊送られてきます。
受講料は89,000円で、学会への入会や更新料などは必要ありません。
問題を解いたら事務局へ送り、すべての課題に合格すれば取得できる資格です。難易度は今回紹介する資格の中でもっとも低いでしょう。
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NR・サプリメントアドバイザー(日本臨床栄養協会)
〈公式サイト:日本臨床栄養協会〉
協会への入会金 | 9,000円 |
通信教育初回受講(40単位) | 51,000円 |
日本臨床栄養協会学術大会への参加(10単位) | 12,000円 |
受験料 | 15,300円 |
更新料 | 5,100円 |
更新に必要な単位を取得する費用(50単位) | 約34,000円 |
NR・サプリメントアドバイザーを受けるためには日本臨床栄養協会への入会が必要です。通信教育を受けるか日本臨床栄養学術大会に参加し、さらに認定試験に合格することで取得できます。
通信教育は1回30分の動画を合計37コマ受講しなければなりません。認定試験の会場は東京だけでなく大阪や福岡、新潟など各地で受講可能です。更新料自体は5,100円ですが、更新に必要な50単位を取得するのに別途約34,000円必要になります。
メディカルサプリメントアドバイザー(NHPインターナショナル認定機構)
〈公式サイト:メディカル・サプリメント・アドバイザー認定講座〉
eラーニングの受講料 | 99,360円 |
認定試験 | 16,500円 |
NHPインターナショナル認定機構への入会費 | 11,000円 |
NHPインターナショナル認定機構の年会費 | 8,800円 |
更新料 | 8,800円 |
メディカルサプリメントアドバイザーは他の資格とは違い、医療従事者もしくは医学生や薬学生しか受講できません。そのためもっとも難易度が高く、臨床でも活かせる知識を付けたい方にオススメです。
eラーニングを用いて疾患からサプリメントについて学んでいきます。疾患に関連付けて学んでいくので、EBMに基づいた知識が習得可能です。認定試験はCBT形式となっており、全国100か所の会場で都合のよい日時に受けられます。
全資格まとめ
4つの資格を最後にまとめて比較してみましょう。
サプリメントアドバイザー | サプリメントアドバイザー | NR・サプリメントアドバイザー | メディカルサプリメントアドバイザー |
|
---|---|---|---|---|
認定機関 | 日本サプリメント学会 | 日本ニュートリション協会 | 日本臨床栄養協会 | NHPインターナショナル認定機構 |
取得に必要な費用 | 約10万円 | 約8.9万円 | 約7.4万円 | 約13.6万円 |
更新料 | 2万円 | 3千円 | 5千円 | 8.8千円 |
更新頻度 | 5年毎 | 1年毎 | 5年毎 | 1年毎 |
通信だけで取得できる | ✕ | ○ | ✕ (試験のみ会場で受ける必要あり) | ✕ (試験のみ会場で受ける必要あり) |
どの資格を取得するにも10万円近い費用が必要になります。
サプリメント系アドバイザーの資格は薬剤師でも働きながら取れる!
「働きながらだと資格取得って難しいのでは?と思うかもしれません。しかしサプリメント系の資格は働きながらでもムリなく取得できるものが多いです。
日本サプリメント学会が認定しているサプリメントアドバイザーは、東京近辺の方以外が受講するのは難しいですが、他の資格はほとんどが通信だけで完結します。
通信であれば自分の好きなタイミングで勉強を進められるので、忙しい方でも取得できるでしょう。本当にささっと取りたい方は日本ニュートリション協会が認定している資格がもっとも簡便です。
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薬剤師がサプリメント系アドバイザーの資格を仕事で活かす方法
どの資格を取得するにしても、10万円近いお金が必要です。せっかく取った資格をムダにはしたくないですよね。資格を使える職場の探し方をご紹介します。
ドラッグストアで働く
これは鉄板ですが、ドラッグストアで働けばほぼ間違いなく資格を活かせます。お客さんからサプリメントについて聞かれることがとても多いからです。
「A社のビタミンCと、Z社のビタミンCは何が違うの?」
「ダイエットにいいサプリメントで、作用が違うものをできるだけ教えてください」
これらの質問は筆者が実際にドラッグストアで働いていたときに受けた質問です。
サプリメント専門店で働く
サプリメントを専門に扱うお店で働くのも1つの方法でしょう。サプリメントの専門店として有名なのがHEALTHY-Oneというお店です。日本初の専門店で、扱っているサプリメントはなんと100種類以上にもおよびます。
お客様のカウンセリングを行い、自分でぴったりのサプリメントを選んで提案するのが仕事です。気になる方はぜひHEALTHY-Oneの求人をチェックしてみてください。
調剤薬局や病院で働く
処方されている薬との飲み合わせも相談しやすいことから、調剤薬局や病院でもサプリメントの相談を受けることはよくあることです。
同じ成分でもさまざまなメーカーからサプリメントが販売されているため「どれを買ったらいいの?」と悩んでいる方も少なくありません。
とくに待合室でサプリメントや健康食品の販売を行っているようなところだと、相談される回数も増えるでしょう。品揃えにかなり力を入れている調剤薬局だとかなりの品数があるため、サプリメントアドバイザーの知識も活かしやすいと言えます。
よい職場が見つからないときは転職サイトに相談
サプリメントアドバイザーの資格を活かせる職場は探そうとしても、なかなか求人は見つかりません。転職サイトで検索してもほとんどヒットしないため、資格を活かしたい方はコンサルタントに相談するのがオススメです。
企業によってはサプリメントアドバイザー取得のための支援金をくれたり、資格手当をくれるところもあるのでコンサルタントに頼んで探してもらうのもいいですね。
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今後の医療動向を考えると薬剤師なら持っていて損のない資格
サプリメントの資格を持っていれば、未病の治療に貢献できます。セルフメディケーション税制という新しい制度ができたことからもわかる通り、国は医療費をどうにか下げようとしています。
もしも未病の段階で症状を抑えられたら、その後にかかるはずだった医療費を節約できますよね。しかも患者さんも苦しい思いをせずに済みます。
薬とサプリメントの両方の知識を持っておくことで、未病の段階から疾患にかかった段階まで幅広く薬剤師が対応できるようになります。
まとめ
予防医学に着目したアドバイスをするためにも、薬剤師がサプリメント関係の資格を持っていて損はありません。ほとんどの資格が通信教育を受講して最後に試験を受けることで取得できます。
通信教育なら都合のいい時間に受講できるので、忙しい薬剤師でも働きながら取得可能です。医療費削減やセルフメディケーションの推進が行われていくこれからの時代に、必要とされる薬剤師への後押しをしてくれる資格となるでしょう。
団塊世代が75歳以上になることで医療費の増加が心配されている2025年問題も、もうすぐそこです。
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