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【薬剤師向け】注目のインフルエンザの新薬、ゾフルーザとは?服薬指導のポイントを徹底解説!

※当記事は、執筆時点(2019年1月)の情報に基づいて記載しています。詳細は最新の発表・製薬会社の添付文章をご確認ください。

冬になると、風邪はもちろんのこと、インフルエンザの流行が気になりますね。

自分自身がインフルエンザにかからないように予防することも大切ですが、薬剤師であれば医薬品の知識も身につけなくてはなりません

タミフルやリレンザ、イナビルなどは前からあるお薬なのでご存じの方も多いですが、発売されたばかりの「ゾフルーザ」についてはいかがですか?

「産休中のため投薬経験がない」「外科だからインフルエンザの処方箋が来ない」「投薬してるけど詳しいことまでは知らない」という薬剤師さんもいることでしょう。

そこでこの記事では、ゾフルーザの概要服薬指導のポイントについて、くわしく解説していきます。

話題の新薬「ゾフルーザ」とは


まずは、ゾフルーザの概要や類薬との違いについて、みていきましょう。

ゾフルーザの概要

ゾフルーザ(バロキサビル マルボキシル)は、2018年2月に製造販売承認を取得した、国内で最も新しい抗インフルエンザウイルス薬です。

塩野義製薬株式会社が製造販売をおこなっており、成人および小児のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症患者に用いられます。

タミフルのように服薬が簡便で、イナビルのように1回で治療が完了するお薬の登場が望まれていましたが、ゾフルーザはこれらをかなえた期待のお薬です

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2019年1月現在では、メーカーの想定していた以上の処方がおこなわれたことにより、品薄状態が続いています

ゾフルーザとこれまでの抗インフルエンザ薬の違い

これまでインフルエンザ治療薬の中心として位置づけられていたのは、「ノイラミニダーゼ阻害剤」という種類のお薬でした。

タミフルやイナビル、リレンザなどが分類されますが、これらは細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを防ぐことで効果をあらわします。

一方で、ゾフルーザは「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤」という、全く新しい作用機序を持ったお薬です。

インフルエンザウイルス遺伝子からの転写反応を阻害することで、ウイルス自体の増殖をさまたげます。

ただし、治療効果はタミフルに対して非劣性(劣っていないこと)が示されているものの、優位性はまだわかっていません。

用法・用量を確認しよう

ゾフルーザは、1回きりの服用で治療が完了するため、用法は簡便ですが、用量はやや複雑です。

ゾフルーザの添付文書を確認してみましょう。

12歳以上を超える場合には、バロキサビル マルボキシルとして40mg(20mg錠を2錠または10mg顆粒を4包)を投与します。

ただし、体重が80kgを超える場合には、80mg(20mg錠を4錠または10mg顆粒を8包)の投与が必要となります。

また、12歳未満では体重によって3段階に用量が設定されているので、注意が必要です。

基本的には医師が診察時に問診をおこないますが、まれに処方に間違いがある場合もあるので、患者さんの体重を確認した上で投薬をおこなうようにしましょう

ポイント!
体重10~20kgはゾフルーザ10mg、20~40kgは20mg、40~80kgは40mg、80kg以上は80mgと覚えるのがおすすめです。

ゾフルーザの長所と短所


画期的なお薬として注目を集めているゾフルーザですが、もちろん長所ばかりというわけではありません。長所と短所について、みていきましょう。

ゾフルーザの長所

1日1回の経口製剤

タミフルは経口投与で服薬が楽ですが、1日2回5日間服用する必要があり、コンプライアンスが心配ですね。

一方で、イナビルは1度の吸入で治療が完了するものの、吸入の手技にコツが必要で、うまく吸えない方もみられます。

経口タイプのお薬で、1回で服用が完了するということは、最大の長所といえるでしょう。

小児や高齢者でも服用が簡便

ゾフルーザの錠剤は非常に小さくつくられているので、服用しやすいことが特徴です。

10mgの錠剤はさらに小さいので、小児でもゼリーやアイスなどに混ぜてしまえば、気づくことなく服用できますね。

タミフルのドライシロップは苦みがあるため、お薬の服用が得意でない小児にとっても、ゾフルーザの方が嬉しいはずです

ウイルスの排出までの時間が短い

ゾフルーザでは、治療効果(症状がなくなるまでの期間)ではタミフルに対して有意差はついていませんが、ウイルスが排出されるまでの時間は短いことがわかっています。

臨床試験においても、体内からインフルエンザウイルスが排出されるまでの時間はタミフルでは72時間だったのに対し、ゾフルーザでは24時間でした。

ウイルスが減少することによるメリットは今のところ明確になっていませんが、周囲への感染を減らす可能性が期待されています。

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ゾフルーザの短所

体重によって投与量の調節が必要

ゾフルーザの短所として、体重ごとに投与量を調節する必要があることが挙げられます。

もちろん、医師が体重を確認した上で処方をおこなうので、薬剤師が用量を決定することはありません。

しかし、年齢で容易に判別ができるイナビルやリレンザに比べると、確認に手間がかかることは否めませんね。

治療費用が高額になりやすい

ゾフルーザは薬価が高いので、従来の抗インフルエンザ薬に比べて治療費が高額になりやすいという欠点があります。

薬剤名タミフルリレンザイナビルゾフルーザ
剤形カプセル、DS吸入薬吸入薬錠剤
投与方法経口吸入吸入経口
投与期間5日間5日間単回単回
価格(薬価)2,720円
(ジェネリックは1,360円)
2,942円4,279.8円4,789円
(80kg以上では9,578円)
(2019年1月時点)

最も安価なタミフルのジェネリック医薬品と比べると、最大で8,000円(3割負担で2,400円)以上の差があります

医療経済のことを考えると、全ての症例でゾフルーザを使用することは、必ずしも最善策とは限りません。

まだまだ未知の部分が多い

ゾフルーザは新しい薬であるため、まだまだ未知の部分があることも、問題点の一つです。

特に、A/H3N2亜型などのインフルエンザウイルスにおいて、耐性ウイルスの問題が指摘されています。

国立感染症研究所からも、2019年1月24日に、耐性ウイルスが患者から検出されたことが発表されています。

インフル薬ゾフルーザの耐性ウイルス、患者から検出│朝日新聞デジタル

臨床試験時(主にA香港型ウイルス)においても、大人の9.7%、子どもの23.3%において、薬剤耐性ウイルスが出現していることがわかっています。

今後の動向も踏まえて、しっかりと最新の情報を確認するようにしましょう。

ゾフルーザの服薬指導で気を付けることとは


薬剤師としてゾフルーザの服薬指導をおこなう際に、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

体重に応じて治療用量が異なることを説明する

ゾフルーザでは、体重ごとに服用しなくてはならない用量が異なります。

インフルエンザは、家族全員が罹患するということも多いため、家族内に異なる用量の患者さんがいるというケースも考えられます

十分な説明をおこなわないと、全員が同じ用法用量で服用してしまい、治療がうまくいかないという可能性も考えられます。

注意
体重が境界域にある場合には、成長に伴って適切な用量が変わってしまう可能性があります。調剤する際には、最新の体重を確認するようにしましょう。

食事との関係があることを知っておく

ゾフルーザの用法用量には、「単回経口投与」という指示のみが記載されていますが、食事との影響があることも知られています

健康成人男性に、バロキサビル マルボキシル40mgを空腹時(14例)又は普通食摂取後(14例)に単回経口投与したときのバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータを表1に、平均血漿中濃度推移を図1に示す。空腹時投与と比べ食後投与でCmaxは48%、AUCは36%減少した。

ゾフルーザの添付文書によると、空腹時投与と比べ食後投与では、Cmaxは48%、AUCは36%減少することが報告されています。

効果に対してどの程度の影響があるかは不明ですが、食後投与は避ける方が無難といえるでしょう。

すぐに服用してもらうという薬局も多いですが、その際に「食事の影響があるので、ご飯はしばらくしてから食べてください。」などのアドバイスをおこなうようにしましょう。

異常行動のリスクを説明する

ゾフルーザを含めた抗インフルエンザ薬では、異常行動のリスクがたびたび取り沙汰されます

もちろん、抗インフルエンザ自体に問題があるわけではありませんが、患者さんの中には誤った知識を身に着けている方もみられます。

異常行動については、次のポイントを説明するようにしましょう。

  • 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無または種類にかかわらず、異常行動のリスクがある
  • 少なくとも発熱から2日間は、転落などの事故に対する防止対策をおこなうようにする
  • 異常行動は、発熱から2日間以内におこることが多い
  • 就学以降の小児・未成年者の男性において、報告が多い

お薬を服用したから異常行動がおこるのではなく、インフルエンザの症状の一つとして、異常行動があるということを理解してもらえるようにしましょう。

まとめ


この記事では、ゾフルーザの概要服薬指導のポイントを解説していきました。

画期的新薬であることやその独創性から、ゾフルーザはニュースでもたびたび取り上げられています。

患者さんもテレビやインターネットで情報を得られる時代なので、医薬品の専門家である薬剤師は、さらに高い水準の知識が求められています

この記事の内容を参考にして、自信をもってゾフルーザをご説明できるように、知識を高めていただければ幸いです。

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