「薬剤師の残業は何時間くらいが平均なの?」
「残業が多くてツライ…どうすれば残業を減らせるの?」
患者さんの来局状況によって左右されるため、残業が多くて悩んでいる薬剤師は意外と多いものです。あまりに残業が多いと「転職したい」「体力的に限界」と思ってしまうことも少なくありません。
ここでは残業について悩んでいる薬剤師に向けて、残業を避けるコツや残業が少ない職場へ転職する方法などをご紹介します。
薬局薬剤師
※業種・職場や社風によっても大幅に差があることも念頭に置いた上で、統計を信頼した記事になっています。話半分程度でご覧ください。
この記事の目次
薬剤師の残業代を職場別に比較
職業 | 所定内実労働時間(時間) | 超過実労働時間(時間) | 所定内給与額 | 残業込み給与額 |
---|---|---|---|---|
薬剤師 | 160 | 11 | 367,800円 | 398,600円 |
医師 | 156 | 15 | 805,000円 | 910,000円 |
歯科医師 | 158 | 2 | 439,100円 | 450,400円 |
看護師 | 154 | 7 | 302,400円 | 334,400円 |
歯科衛生士 | 162 | 6 | 256,800円 | 268,700円 |
保育士 | 163 | 4 | 238,000円 | 244,500円 |
ホームヘルパー | 161 | 7 | 226,800円 | 240,800円 |
福祉施設介護員 | 162 | 5 | 229,700円 | 244,500円 |
プログラマー | 161 | 14 | 286,000円 | 314,600円 |
公認会計士・税理士 | 154 | 16 | 420,200円 | 472,000円 |
高等学校教員 | 161 | 2 | 453,900円 | 458,700円 |
百貨店店員 | 161 | 10 | 253,000円 | 272,800円 |
百貨店以外の販売店員 | 168 | 15 | 252,200円 | 279,700円 |
理容・美容師 | 174 | 5 | 231,000円 | 238,600円 |
電車車掌 | 140 | 10 | 279,300円 | 311,200円 |
タクシー運転手 | 163 | 16 | 208,100円 | 239,700円 |
営業用バス運転手 | 166 | 41 | 230,600円 | 296,600円 |
航空機操縦士 | 139 | 1 | 874,300円 | 897,600円 |
一般科学工 | 158 | 10 | 197,100円 | 213,300円 |
ビル清掃員 | 161 | 7 | 168,100円 | 177,600円 |
- 所定内実労働時間:労働時間の平均値
- 超過実労働時間:残業時間の平均値
- 所定内給与額:基本給の平均値
- 残業込み給与額:残業代を含む月給の平均値
薬剤師の平均残業時間は月に11時間でした。もっとも残業時間が長いのは営業用バス運転手で41時間、短いのは航空機操縦士で1時間です。今回紹介した20の職業を見ると、薬剤師の残業時間はちょうど平均くらいという結果になりました。
比較対象は医療職種をベースに選んでいますが、多忙な職業で有名な医師と同じくらいに薬剤師の残業時間は長いです。
残業時間の多い職業は想像どおりの結果
- 営業用バス運転手:41時間
- 公認会計士や税理士:16時間
- タクシー運転手:16時間
- 医師:15時間
- 百貨店以外の販売店員:15時間
薬剤師は「所定内実労働時間・160時間」・「超過実労働時間・11時間」なので、週5勤務で考えると1日あたり約8時間の勤務、残業時間は1日あたり約35分ほどです。
数字だけを見るとそれほど過酷ではありませんが、実際に「毎日30分残業あるからよろしく!」と言われることを想像するとゾッとしますね。
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2010年~2019年の薬剤師の残業時間推移
年度 | 所定内実労働時間(時間) | 超過実労働時間(時間) | 所定内給与額 | 残業代込みの給与額 |
---|---|---|---|---|
2019 | 160 | 11 | 367,800円 | 398,600円 |
2018年 | 162 | 12 | 347,100円 | 379,900円 |
2017年 | 164 | 10 | 360,800円 | 388,300円 |
2016年 | 165 | 10 | 336,500円 | 363,500円 |
2015年 | 163 | 11 | 353,500円 | 381,600円 |
2014年 | 160 | 11 | 346,500円 | 376,000円 |
2013年 | 162 | 12 | 340,400円 | 370,600円 |
2012年 | 162 | 11 | 343,200円 | 372,600円 |
2011年 | 163 | 9 | 323,700円 | 346,900円 |
2010年 | 163 | 10 | 343,000円 | 367,500円 |
月間で約1時間程度の誤差があるものの、平均すると残業時間は約10時間前後です。
薬剤師は勤務時間を想定しやすい職業
薬剤師の残業時間の推移を見ると、他職業に比べて薬剤師は残業を含めて勤務時間を想定しやすいかもしれません。
もちろん職場による違いはあるものの、薬剤師の月間の労働時間は「160~165時間」、残業時間は「9時間~12時間」です。
過去8年において大きな変動がないため、今後も薬剤師の勤務時間平均は同じ水準で推移しそうです。
従業員別に見た薬剤師の残業時間
従業員数 | 残業時間 |
---|---|
10~99人 | 9時間 |
100~999人以上 | 9時間 |
1000人以上 | 14時間 |
従業員の規模によって残業代に変化があるのかを調べた結果、従業員が多いほど残業代も多くなる傾向にあることが分かりました。
もちろん職場の人数によって残業時間は大きく変わりますが、企業の規模を見て残業の有無を見極めるのも1つの手段です。
薬剤師の職場別に見た残業の理由
薬剤師とひとくくりにされますが、薬剤師の仕事先はさまざまですよね。職場によって残業が発生してしまう理由は異なります。
製薬企業(MR)
製薬企業の中でもMRはとくに残業が多くなってしまうことを覚悟しておかなければなりません。
朝6時に家を出て夜の23時ごろに帰宅する日々が何日も続くなんて話を実際にMRをしている薬剤師から聞いたことがあります。
残業が多くなるのは、プレゼンの準備やら、勉強会の会場のセッティング、お弁当の手配などやるべきことがたくさんあるからです。サービス残業がもっとも多い職種と言っても過言ではないでしょう。
知り合いのMRには、年収1,000万円を超えてはいるものの、朝早くに家を出て帰りは日付が変わる前という方もいます。お仕事がどれだけ大変かがうかがえますね。
薬局薬剤師
調剤薬局
調剤薬局での残業の多さは店舗によってピンきりですが、とくに一人薬剤師の店舗はほぼ間違いなく残業が多い傾向にあります。
薬剤師が一人しかいないので営業時間内に予製を作ったり薬歴を書いたりという作業がどうしても難しくなるんですね。薬局を閉めてから何時間か残って仕事を片付けるケースが多いので、定時で帰るのが厳しい職場です。
一人薬剤師ではなくても、処方せん枚数がキャパを超えると、店舗にいる薬剤師だけでは手が回らなくなり残業して業務をさばかなければいけなくなります。
風邪がはやる時期はとくに残業が多くなりやすいです。
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規模の大きい病院
病院はどこも忙しい傾向にあるのですが、中でも地域を代表するような規模の大きい病院は残業が増えやすいと言われています。
なぜなら、日中は調剤や服薬指導をしたり病棟を回ったりで忙しいため、なかなか薬歴を書く時間がないからです。病院で働いている知人は、勤務時間が終わってすぐに帰る薬剤師の方が少ないと言っていました。
また緊急入院対応やカンファレンスなども不定期にあるため、予想しないタイミングで残業が発生してしまうことも多いようです。
夜の22時や23時まで残って作業をしたり調べ物をしたりしている薬剤師も少なくないと聞きます。
ドラッグストア
これは実際に私がドラッグストアで働いていたときの体験談です。ドラッグストアの薬剤師はどこも人手不足に陥っています。そのためあらかじめ10時間勤務とか14時間勤務とかのように、長く働くことを前提としてシフトを組まれていることが多くあるのです。
またサービス残業が非常に多いのも特徴です。繁忙店だと毎日2時間くらいはサビ残があるケースも少なくありません。
もちろん店舗によってはしっかり残業代をくれるところもあるものの、残業が多いことには変わりないと言えます。
とくに店長に昇進するとぐっとやることが増えるので、それに伴って職場に拘束される時間も長くなってしまうでしょう。
薬局薬剤師
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残業が多くなりやすい薬剤師の職場の5つの特徴
- 人手不足
- チームワークが取れていない
- 人の入れ替わりが激しい
- 優秀な人材がいない
- そもそも残業が発生しやすい
たとえば、調剤薬局で勤務する場合も職場によっては「毎日残業が1時間」や「月間で残業が1回あるかどうか」など、かなり差が激しいです。
薬剤師の残業時間の平均を見て「そんなに少ないの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
これから薬剤師の転職を検討する際に残業が多い職場の特徴はしっかりと抑えておきたいところです。
1.人手不足の職場は忙しい
薬剤師が不足している職場では、どうしても残業時間が増えやすいです。
また残業時間だけではなく、有給休暇を消化しづらいなど、1人あたりの仕事量が増えることから多忙な生活を余儀なくされます。
2.チームワークがないと仕事が円滑に進まない
職場によっては人間関係がギクシャクすることがあり、それによってチームワークが取れずに仕事の効率化や円滑化というのが難しくなるケースがあります。
転職では、キャリアアドバイザーを通すことで多少は職場内の情報も入手できるため、事前情報として出来る限り残業についての情報収集に努力しておくのがオススメです。
3.人の入れ替わりが激しいと仕事が安定しない
こちらは「チームワークが取れない」と同じような理由ですが、何かしらの問題がある職場では薬剤師の入れ替わりが激しいケースがあります。
人がころころと入れ替わると、やはり安定して頼れる人材が少ない状況になるので、仕事量が増えることから残業という流れに至りやすいです。
4.優秀な人材がいないと負担が増える
優秀な人材が在籍しているかどうかも大事なポイントですね。
仕事ができない人ばかりが集結しているところへ転職すると、当然ながら他の人の仕事を手伝わされる可能性があり、根本的に1日の仕事量を所定内実労働時間でこなせないと残業が発生します。
またミスがあった場合に、薬の再配達の回数が増えるなど、残業が日常茶飯事という状況になりやすいです。
5.病院勤務で残業は常識
病院といえば残業が常識でもある職場ですが、薬剤師の場合は医師と違って残業があるかどうかは病院によります。
病院によっては院外処方が多いところがあり、そうした職場では人手不足といった特殊なケースでない限りは比較的残業が少ないです。
しかし学会や勉強会など、病院勤務ならではの忙しさというのもあるため、薬剤師として病院に勤務する目的や担当する仕事などによっても残業の増減が変わってきます。
病院で働きたいけど残業は避けたいという状況なら、転職先の候補となる病院の情報を細かく見ておくことが大事です。
詳しくお仕事ラボの口コミ・評判が分かる!派遣案件にも強い薬剤師転職サイト
薬剤師が残業を避けるコツは?
薬剤師の転職で残業を避けるコツというのは、他職業と同じで「転職時に残業に関して細かく情報を確認しておく」という以外にとくにありません。
また日々の勤務で残業を減らすには、チームとして仕事のミスを減らすことが残業を減らすことに繋がります。
理不尽な残業に注意
残業の少ない調剤薬局を検討している薬剤師の方は多いと思います。まずは理不尽な残業例を合わせて紹介しておきましょう。
在宅業務を行っている調剤薬局において、「ピッキング担当者のミス」と「配達担当者のミス」が重なってしまうことが時たま起こります。
実際は二人の責任だけれど当日に配達を担当した自分が閉店後に残業として再配達することになった、という残業がちらほらと起こってしまうのです。
また、仕事の役割分担に疑問を感じる職場では、窓口での薬の渡し間違い等々の再配達を手の空いている人がいかない、といった残業もあります。
こうした残業の多くは「誰かのミス」によって発生するため、自分だけではなくチーム全体としてミスを減らしていく意識を持つことが大切です。
人事担当に人手不足であることを伝える
当然のごとく、薬剤師の人数が十分にいる職場ほど残業は少なくなります。また逆に薬剤師不足の職場ほど一人の薬剤師が背負う仕事が増えるので残業も増えてしまうのが特徴です。
薬剤師の人数を調整している部署は、意外なことに職場がどのような状況で仕事を回しているのかまでは把握していません。実際にこのような事例がありました。
日頃からギリギリの人数で回している調剤薬局で、体調不良により急きょ欠員が出たときのことです。普段から人手不足なのに、欠員でさらに人員が少ない状況になってしまいました。結局はその日に出勤だった薬剤師たちがお昼休憩すら削ってなんとかその日を終わらせました。
この後、恐ろしいことに一人少なくても店舗が回ると知った人事が、なんと「一人いなくても回るんだね。じゃあ来月からベースの薬剤師数を一人減らすから。」と言って、一人マイナスの状態をデフォルトにしてしまったのです。
一人少なくても回るんじゃなくて、休憩を削ってまでなんとか回した、という事実を知らない人事が無情にも薬剤師を減らしてしまったんですね。このようなケースは意外と多くの職場で起きています。
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パートや派遣薬剤師で働くことも視野に入れてみる
パートや派遣薬剤師として働けば残業時間を大幅に減らすことができます。正社員と違って仕事量や責任が少ないため、時間になれば大抵の場合、すぐに帰れるからです。
パートだとお給料が減りそうだと思うかもしれませんが、働き方によっては正社員の給料を超えることも可能です。
派遣薬剤師だと余裕で正社員の給料を超えることも少なくありません。どうしても残業が嫌な方はパートや派遣薬剤師も視野に入れてみてください。
詳しく薬剤師のパート・派遣の違いがすぐ分かる!それぞれのメリットは?レギュラー・スポット・紹介予定派遣
薬剤師が残業の少ない職場へ転職する方法
残業しなくてよい職場で働くためには、転職する方法もあります。しかしただ転職するだけでは、残業が少ない職場で働くことはできません。
友人のつてを借りる
つてを借りると言っても、友人の紹介で転職するというわけではありません。友人が働いている職場の情報を聞き出すのです。
気になる職場で働いている友人がいたら、ぜひリアルな情報を仕入れてみてください。求人情報や公式サイトからだけではわからない情報を入手できます。
リアルな情報を入手できるので、転職してみたら残業が意外とあったというような事態を避けることが可能です。
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転職サイトを活用する
現環境が残業によって多忙なら、転職サイトで残業の少ない求人情報をチェックして、理想の転職先を探してみてはいかがでしょうか。
薬剤師の転職サイトとして「マイナビ薬剤師」と「薬キャリ」は求人数が非常に多いため、残業重視で求人を比較検討しやすいのでオススメです。
また、求人に記載されている情報だけでは把握できない部分もあるため、積極的にキャリアアドバイザーに相談しながら残業の少ない転職先を探してみてくださいね。
本気で転職を考えてなかったとしても、いろいろな求人情報を眺めるだけで気休めになったりはします。登録していない人はぜひどうぞ。
正社員からパートに転職することで、残業を減らし自分らしい人生を楽しく過ごされている方の実体験もありますので、こちらもぜひ参考に読んでみてください。
パートという働き方の魅力が伝わるはずです。
派遣・パートで薬剤師をやるメリット&趣味や特技を生かして兼業する新しい働き方とその豊かさを、実際にやっている人に聞いてみた!【インタビュー!】
マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は「残業月10時間以下」という検索条件があるため、スムーズに希望の求人を探せます。
また、キャリアアドバイザーに相談すれば「残業なし」から転職先を見つけることも可能です。
薬キャリ
薬キャリも転職エージェントがあるため、こちらも「残業なし」で転職先を探せます。
また、薬キャリは調剤薬局に強い転職サイトなので、残業の少ない調剤薬局を探したい方と相性がよいです。
人気の薬キャリ薬キャリの口コミ・評判やメリット!薬剤師転職サイトの中でも秀逸で薬剤師の半数が登録
まとめ
薬剤師の残業はデータ上ではそこまで多くありませんが、実際の職場を覗いてみると毎日の残業に悩まされている方も見えてきます。
店舗がどのような状況で回っているのかを上の人たちはほとんど知りませんので、薬剤師の人員がたりないと感じたらすぐに上の人へ伝えてください。
どうしても残業が気になるときは転職するのもよい方法です。転職サイトを使えば鮮度の高い職場の残業事情を入手できます。
上手に転職サイトを活用して働きやすい職場を見つけてみましょう。
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