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薬剤師の治験業務・治験コーディネーターや治験薬管理者の仕事内容・年収・求人をまとめてみた!

治験業務

「新しいお薬が作られる過程に関わりたい」
「治療薬がなくて困っている患者さんを助けたい」

このような薬剤師に向いているのが治験に携わる仕事です。今回は治験コーディネーターと治験管理者の仕事内容や年収について説明します。

薬局薬剤師

治験コーディネーターになる方法や具体的な仕事内容を紹介しています。ぜひ参考にしてくださいね!

薬剤師なら注目したい治験業務とは?

治験業務の内容
治験業務は、新しい薬を開発する際に「臨床研究」「臨床試験」を行い、そのプロセスを経て厚生労働省へ申請を行うための業務です。

申請については、薬機法の「第十四条・医薬品、医薬部外品、及び化粧品の製造販売の承認」に関連する内容が記述されています。

薬機法 第十四条・1項
医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品を除く。)、医薬部外品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)又は厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない
薬機法 第十四条・3項
第一項の承認を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、当該申請に係る医薬品が厚生労働省令で定める医薬品であるときは、当該資料は、厚生労働省令で定める基準に従つて収集され、かつ、作成されたものでなければならない。

治験業務には薬剤師が必要!

治験業務では、治験薬の管理者を選任しなければなりません。

「薬剤師」・「医師」・「歯科医師」のいずれかを指名することができますが、原則は「薬剤師」となっています。

治験業務の内容

  • 被験者の管理や治験の説明
  • 治験依頼者との連絡やスケジュール管理
  • 臨床検査の準備や実施
  • モニタリングや監査の準備
  • 症例報告書の作成
「治験業務」とひとくちに言っても業務内容はかなり幅が広いものです。

治験業務を行うためには被験者が必要なので、まずは被験者を集めて説明会を行います。次に被験者に事前検査を受けてもらい、問題なければ治験開始です。

治験がスタートすると、モニタリングや症例報告書の作成など、関連業務を行います。こうして治験が終了すると、厚生労働省に申請書を提出する準備を行い、書類を提出したら承認待ちです。

薬剤師の治験業務では、「治験コーディネーター」と「治験薬管理者」という2つの職種が代表的なので、それぞれの仕事内容や待遇を比較しながら治験求人を探してみてくださいね。

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治験コーディネーターの将来性

治験コーディネーターの将来性 治験計画届出の件数
参考:薬物の治験計画届出件数の推移 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

治験コーディネーターは、治験が行われる限り必要とされる職種です。医薬品医療機器総合機構が公表している資料によると、治験計画届出の件数は年々、増加傾向にあることがわかります。

そのため、直近の状況を見る限りでは治験コーディネーターの将来性は期待できると言えそうです。

ただし、治験施設支援機関で働いている治験コーディネーターの数はやや減少傾向にあります。

治験施設支援機関で働いている治験コーディネーターの数
参考:日本SMO協会データ2019

単に治験コーディネーターの数が減っており人手不足になっているだけの可能性もありますが、今後の動きには注目しておきたいところです。

薬剤師が治験コーディネーター(CRC)になる方法と仕事内容

治験コーディネーターの仕事内容・求人内容
治験コーディネーターは「Clinical Research Coordinator」を略して、「CRC」と呼ばれています。

CRCの仕事内容は名前のとおり、「治験開始」から「治験終了」までをコーディネートするため、一連のプロセスに関して全般的な業務を担っているのが特徴です。

治験業務は被験者や治験依頼者に対応しながらも、医師や治験機関内部と連携を取って業務を進めることになるので、治験コーディネーターの仕事内容はとても幅が広いと言えます。

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治験コーディネーターは、病院に治験担当として雇われている薬剤師が行うパターンと、治験支援施設に所属している方が治験を行う医療機関に派遣されるパターンとがあります。

治験コーディネーターの仕事内容

  • 被験者の対応:説明や検査の立ち合いなど
  • 治験依頼者の対応:プロジェクトの相談や監査の立ち合いなど
  • 医師との連携:治験実施や症例報告書の作成など
  • 治験機関内部の連携:役割分担の相談やトラブル発生時の対処など
治験業務は関係者が多いため、それぞれの関係者に対して仕事があります。

治験コーディネーターは治験業務全体の仕事を担うことになるので、スケジュールやプロジェクトを軸に全体像を把握して、各業務において適切な対応をしていかなければなりません。

患者さんや医師、医療機関とうまく連携を取りながら、治験をスムーズに行う補助をしていくのが治験コーディネーターの仕事です。治験薬に関わるすべての方とコミュニケーションをうまく取っていく必要があります。

治験に使われるお薬は、小さな子供が誤って飲まないように普通のボトルとは違い、複雑な構造をしているボトルがほとんどです。ボトルの開け方をわかりやすく説明するのも治験コーディネーターの仕事です。

治験報告書の作成や、治験実施計画書に適合する患者さん(被験者)を探す仕事も行います。

「責任感」や「管理能力」が問われる職業でもあるため、求人情報でも経験者を優遇しているものが多いです。

治験コーディネーターになるには

治験全般に関わっていく治験コーディネーターになるには、2つの方法があります。1つは治験担当を募集している病院で働く方法。2つ目は治験支援施設で働く方法です。

実際に求人を探してみると、多くが治験支援施設の求人であることがわかります。働きたい病院があっても、なかなか治験担当の募集が出ていないことが多いかもしれません。

そのため治験支援施設に所属して治験コーディネーターとして働くことが一般的です。

治験コーディネーターになるための専門資格は不要

治験コーディネーターになるために、とくに必要な資格はありません。

薬剤師としての専門知識と、治験業務を進めていくうえで必要なコミュニケーション能力をもっていることが重要です。

もしも治験コーディネーターとして働きながら業務に役立つ資格を何か取っておきたいということであれば、日本臨床薬理学会が認定している「認定CRC」を取得するのもよいでしょう。

治験コーディネーターとしての活動実績や学会に参加し、認定CRC試験に合格することで取得できます。

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治験コーディネーターとして働き始めた後に取得できる資格ですが、もっていることでより専門的に踏み込んだ業務ができるようになるでしょう。

治験コーディネーターとして働くメリット・デメリット

治験コーディネーターとして働くメリット・デメリット

治験コーディネーターの道は、病院や調剤薬局など一般的と言われる職場と比べると少し珍しいものになります。では治験コーディネーターとして働くことは、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

治験コーディネーターのメリット

  • 新薬の開発に関われる
  • カレンダー通りの出勤になる
  • 仕事の進め方を自分で好きに決められる

新薬が無事に承認されて使われるようになれば、これまで治らなかった病気が治るかもしれませんし、病に悩む方の生活を少しでも楽にできるかもしれません。新薬開発には、さまざまな希望が詰まっているのです。

自分が関わった治療薬が市場に出たときの嬉しさは、表現できないほどのものでしょう。

治験コーディネーターは、病院もしくは治験支援施設で働くことになります。どちらもカレンダー通りの出勤となることが多いので、土日はほとんど休みです。

調剤薬局や病院だと土日のどちらか、または両方とも出勤になることも少なくありません。そう考えると、治験コーディネーターは薬剤師の職種の中でも土日休みをとくに取りやすい仕事だと言えます。

仕事のスケジュールもある程度は自分で決められるので、頑張って仕事を進めれば休みを増やすことも可能です。

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土日は基本休みであること、スケジュールの進捗具合によっては休みを調整しやすいことが大きな特徴ですね。

治験コーディネーターのデメリット

  • 高年収は期待できない
  • 調剤業務を経験できない

治験コーディネーターの年収は、薬剤師の平均年収(約530万円)と比べると、相場が100~200万円ほど下がります。そのため薬剤師から治験コーディネーターに転職すると、多くの方は年収が今よりも下がってしまうでしょう。

調剤業務をやることもないので、もしも治験コーディネーターからまた薬剤師に戻ろうと考えたときにブランクが気になってしまう可能性もあります。

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治験コーディネーターの年収は低い場合は350万円ほどです。薬剤師の年収と比べるとどうしても低くなってしまいます。

薬剤師の治験コーディネーター求人

薬剤師の治験コーディネーター求人

  • 経験:臨床や治験の経験が問われる求人が多い
  • 雇用形態:正社員、非正規雇用、両方あり
  • 年収:350万円~500万円
  • 福利厚生:雇用保険や労災保険など充実
  • 休日休暇:週休2日や育児休暇など充実
治験コーディネーターは年収が高いというイメージを持っている方が多いと思いますが、これは本当に求人によると言えるでしょう。。

マイナビ薬剤師で治験コーディネーターの求人情報を探してみると、年収「350万円~550万円」とかなり幅が広くなっています。

実際の求人を1つ見てみましょう。

治験コーディネーター 求人 薬剤師
参考:マイナビ薬剤師 2021年7月時点

雇用形態は正社員だけではなくアルバイトや契約社員なども多いですが、いずれも臨床や治験の経験がある方が対象となっている求人が多いものです。
転職成功に向けては「経験」や「やる気」などがポイントになってきます。

治験コーディネーターの“サポート”ならパート求人もあり

治験コーディネーター 求人 薬剤師 パート
参考:マイナビ薬剤師 2021年7月時点

治験コーディネーターと聞くと、なんとなく正社員をイメージしてしまいますが、実は上のようにパートの求人もあります。

パートなので、どうしても治験コーディネーターとして第一線で働くことは難しいのですが、サポート役として活躍もできるのです。

サポート役とはいえ治験に関わる仕事ができるので、正社員は厳しいという方はパートでも求人を探してみてください

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まずはパートから治験業務にチャレンジしてみて、仕事内容が自分に合っているかを確かめてから正社員になるのもいいかもしれませんね。

治験コーディネーターの求人がある転職サイト

治験コーディネーターの薬剤師求人を探すなら、マイナビ薬剤師がおすすめです。マイナビ薬剤師は求人検索に「治験コーディネーター」という条件が用意されているので、簡単に求人内容をチェックできます。

治験コーディネーターの求人がある転職サイト マイナビ薬剤師
参考:マイナビ薬剤師

その他、「薬キャリ」や「ファーマキャリア」など、他の転職サイトにも治験コーディネーターの求人情報はあります。

しかし、サイトによって「治験コーディネーター」や「CRC」といった検索条件が用意されているかどうかが異なるので、転職エージェントに相談する方が待遇を含めて魅力的な求人をスムーズに見つけやすいです。

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大手転職サイトとして知られる薬キャリやリクナビ薬剤師では残念ながら「治験コーディネーター」という選択枠は用意されていません。そのためマイナビ薬剤師がもっとも治験コーディネーターの求人を探すのには便利そうですね。

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マイナビ薬剤師の評価
求人数
(4.5)
信頼度
(5.0)
対応力
(5.0)
満足度
(5.0)
メインでの使いやすさ
(5.0)
総合評価
(5.0)

マイナビ薬剤師<公式サイト>

薬剤師が治験薬管理者になる方法と仕事内容

治験管理者の仕事内容と求人内容
治験コーディネーターは治験業務を全体的に行うのに対して、治験薬管理者は「治験薬に関する仕事」に留まります。

また、こちらも「責任感」や「信頼」が求められるので、経験者が優遇される求人が多いです。

治験薬管理者の仕事内容

  • 治験薬の受取りや返却
  • 治験薬の保管管理
  • 治験実施や同意書などの確認
  • 処方箋の内容や注意点の確認
  • 管理表記入や調剤のダブルチェックなど
治験薬管理者は、治験薬の受領書や納入書などの記録を付け、被験者に渡した薬の回収や治験依頼者への残薬の返却など、治験薬に関する全般的な仕事を担うことになります。

治験実施に向けては、治験期間や被験者の同意書、あるいは治験薬の処方内容や注意点など、調剤業務を含めて「保管管理」や「確認」が主な仕事です。

調剤薬局や病院の業務と似たような感じではありますが、「治験」であることからも絶対にミスが許されない仕事なので、責任感を持って仕事を全うできる方に向いています。

治験管理者になるには

治験管理者はその名の通り、治験の管理者、つまり治験の責任者のような立場になります。治験を実施する医療機関の長によって治験管理者が任命される決まりです。基本的には薬剤師が任命されます。

治験管理者になるためには医療機関の長に任命される必要があるため、管理者としてふさわしい薬剤師にならなければ、なるのは難しいでしょう。

薬剤師の治験薬管理者求人

  • 経験:CRC経験を問われるケースが多い
  • 雇用形態:正社員や契約社員
  • 年収:500万円前後
  • 福利厚生:雇用保険や労災保険など充実
  • 休日休暇:週休2日や育児休暇など充実
薬剤師の治験管理者求人は、かなり募集が少ないです。

2021年7月時点では、マイナビ薬剤師で「治験コーディネーター」+「管理職」の条件で検索すると、1件だけヒットしました。

薬剤師の治験薬管理者求人 治験コーディネーター
参考:マイナビ薬剤師 2021年7月時点

薬キャリやファーマキャリアなど、他の転職サイトで検索しても同じようになかなか求人が見つかりません。

基本的に雇用形態は正社員です。非正規雇用の場合も契約社員までに留まります。アルバイトやパートで治験管理者を任せられるケースは少ないのが現状です。

年収は平均を算出するほどのデータがありませんが、治験コーディネーターの上位職という考え方からすると、「400万円~600万円」あたりが相場だと思われます。

治験薬管理者求人のある転職サイト

薬剤師の転職サイトで治験薬管理者求人を探すなら、転職エージェントを活用するのがおすすめです。

企業にもよりますが、最初に治験コーディネーターとして採用して、実績次第で治験管理者にステップアップさせるという方針を取っているところも多いです。

治験コーディネーターの求人情報は「薬剤師」or「看護師」が対象となっている、あるいは資格がなくても治験や臨床の経験があれば採用可能な求人もあります。

しかし治験薬管理者は「薬剤師」しか就けない職種なので、最初から治験薬管理者を目指して就職活動するよりも、治験コーディネーターからスタートする方が早いケースもありそうです。

薬局薬剤師

「マイナビ薬剤師」や「薬キャリ」など、大手転職サイトでコンサルタントに相談をしながら転職を進めてみてくださいね。