今回は、初のインタビュー記事です。1つの読み物として読みやすいように、記事として加工させていただいた内容で、敢えてインタビューのような見せ方ではなく「派遣・パートで薬剤師をやりつつ、趣味・特技を生かして兼業する新しい働き方と豊かさ」についてお伝えします!
キャリアプラン・今後の人生を考えるきっかけとなれば幸いです。
この記事の目次
自己紹介&薬剤師歴
まずはインタビューに答えてくれた薬剤師の自己紹介や簡単な経歴をご紹介します。
自己紹介
パート薬剤師・自宅でピアノ講師・メディカルライターの「3足のわらじ兼業主婦」(30代)の「M」です。穏やかめな関西人の夫と2人家族で現在妊活中。
薬剤師歴
薬剤師としては、全部で6箇所での勤務を経験しております。
都内の薬科大学を卒業。
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①新卒で中規模の調剤薬局チェーンに就職。2年間正社員として勤務。
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②フルタイムパートとして中規模の調剤薬局チェーンに1年勤務。
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③大手調剤薬局チェーンに3年勤務。
~結婚して関西に引越し後~
④フルタイムパートとして中規模の調剤薬局チェーンで2年勤務。
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⑤派遣薬剤師として1年勤務。
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⑥現在は個人経営の薬局で週3日15時間程度のパート薬剤師として勤務。
※パート薬剤師として勤務しながら、薬剤師としての経験や知識を生かして不定期でメディカルライターのお仕事・ピアノ講師をしています。
正社員、派遣、パートの働き方の違いの大きな差は?
正社員やパート、派遣とあらゆる働き方を経験しているMさん。それぞれの働き方を経験して、どのような点に違いを感じましたか?
正社員【越えられない壁】派遣&パート
正社員と、派遣&パートでは大きな壁(差)がありますね。いい意味でも悪い意味でも。
正社員は、とにかく責任の重さが違います。もちろん派遣やパートで勤務していても患者様の命に関わる仕事である以上責任は大きいですが、正社員時代は患者様に関わる業務以外のところでもプレッシャーがありました。
認定を取らなければならない、在庫を絞らなければならない、あまり意味のない研修オンパレード、ジェネリック変更のノルマ、会議(懇親会付き)出席etc…
本社勤務や管理職などのキャリアアップを元々考えていなかった私にとっては結構な苦痛でした。
派遣とパートの違い
派遣とパートではあまり大きな違いはないように思います。(派遣では2社しか経験していないのでそう感じるのかもしれませんが・・・)
大きな違いは時給ですね。派遣は平均的に時給が高く、パート薬剤師の平均時給の2倍にもなる4,000円でした! 面白いくらいに貯金ができました・・・。
詳しく薬剤師のパート・派遣の違いがすぐ分かる!それぞれのメリットは?レギュラー・スポット・紹介予定派遣
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パートや派遣という働き方のメリットは?
正社員と比べると、パートや派遣はかなり違った働き方になります。パートや派遣ならではのメリットは何だと思いますか?
休みやすい
正社員に比べると断然お休みが取りやすいです!もちろん有休も取得できます。
会社や店舗によると思いますが、私が正社員で勤務していた会社は希望休もろくに取れず、有休も忌引や病欠以外での利用は滅多に許されず退職時に消化するという状態でした。
時間と心に余裕が持てる
派遣やパートには正社員のように「月◯◯時間以上働かないといけない」という縛りがありません。
社会保険に加入するには週30時間以上(一部の企業では20時間以上で加入可能)、雇用保険に加入するには週20時間以上というハードルはありますが、正社員の週40時間以上に比べると大分負担が軽減されています。
私は時間の余裕ができたと共に、心の余裕も一気に生まれました。
派遣、パートなど正社員ではない働き方のデメリットは?
休みやすかったり時間に余裕を持てるのが派遣やパートのメリットですね。ではデメリットとしては何を感じたでしょうか。
社会的に安定しない派遣
派遣のデメリットは、いつ契約が終了するのか分からないことです。時給が高いので一気に稼げますが、正社員に比べると安定しないですね。
ただ、私が派遣された薬局は運よく「常に派遣を募集している薬局」だったので慰留していただきました。
(その薬局で勤務している方々は、薬剤師が集まりにくいへんぴな地域だからどんなに募集しても来ないと嘆いていました。)
そしてボーナスはありません。(私が知らないだけかもしれませんが、派遣でボーナスは聞いたことはありません。)
派遣ほどではないけど正社員ほどは安定しないパート
パートも同じく、正社員ほど安定しないことがデメリットです。
ボーナスも基本的にはありませんが、寸志(繁忙期に数万円程度)をくれる会社はいくつかあります!
パートでも社会保険に加入していれば、それなりの額のボーナスを頂ける場合もあるようです。
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正社員という働き方に見切りをつけたきっかけ
時間の制約が正社員だと多いですが、安定というかけがえのない強みもありますよね。それでもなぜ正社員を辞めたのでしょう?
人生を賭けたくらい大好きな、音楽をやる時間がないのが辛かった…
大学3~4年の頃、プロを目指して本格的に音楽活動をしていました。(ちょっとだけ自慢させてください・・・)レコード会社や音楽事務所のスカウトもいくつかいただけたりして、結構いい感じだったんです!
ただ、私は厳しい家庭で育った箱入り娘。芸能界や音楽業界なんてタブー中のタブー。
友人にアリバイ工作を頼みながら家族には極秘で頑張っていました。
本当はバイトをしながら音楽に専念したかったのですがフリーターなんて我が家では絶対許されないため、とりあえず友人と一緒にとある中規模の調剤薬局チェーンに就職しました。
そしたら運悪く人間関係的にも仕事量的にも一番キツいと噂される店舗に配属されてしまいました・・・!ぐぬぬーッ!
企業全体もほんのりブラックめで、残業や研修や休日出勤は日常茶飯事。
今まで音楽に費やしていた時間がどんどん削られていきました・・・。
覚悟してはいましたが、辛いものがありました。
地獄の新卒いびり
しかも配属された店舗は、30代~40代の女性薬剤師の仲良し5人組(全員独身・個性強め)が好き放題していました。
新卒=奴隷とでも思っているんじゃないか?といわんばかりに振る舞われました。
- 1時間前に出勤して薬局全体を掃除
- 自分がしたミスでなくても平謝りしなければ余計怒られる
- 1日200枚の処方箋を新卒2人で走りながら調剤
- タイムカード退勤をしっかり押した後にがっつり残業
など・・・地獄の日々でした。
思い出して話しているだけでも、なんだかちょっとイライラしてきますね!笑
ある日、プツンと糸が切れた
音楽活動ができない、休みの希望が通らない、いびられる日々。仕事と家の往復。1年半耐えました。
ある日、髪の毛が混入した散剤が監査で見つかり呼び出されました。
明らかに私の髪ではない(まず色が違う。)けどひたすら怒鳴られる。
「髪をばっさり切ってついでに色も黒くしてきなさい」
とまるで厳しい校則の如く命令され、その瞬間に私の中でこれまでの鬱憤がはじけました。
もう我慢ならなかった私は、速攻で本部に電話。これまでのことを事細かにぶちまけて異動希望を出しました。
すぐにまともな店舗に異動させてもらえましたが、一度はじけた心ははじけっぱなしになり、半年後に寿退社と嘘をつき晴れて退職しました。
もう自分を殺さない。自分が望むように生きる。
そう決心して。
月収の変化
正社員とパート、派遣でどれくらい月収に差がありましたか??みんなが気になるお金の話、よろしくお願いします!
ここは読者の皆さん気になるところだと思いますので、収入についても思い切ってぶっちゃけます!
正社員時代
手取り23~24万円/月、ボーナスは夏冬2ヶ月ずつでした。新卒だったこともあり、収入に関しては不満はありませんでした。
パートデビュー
時給2,000円×週30時間で数年勤務していました。
ボーナスもなくなり、正社員時代より手取り収入は減りましたが、無理なく生活できるくらいにはいただいていたので全く問題はありませんでした。
時間と心の余裕はプライスレスですね。
経験年数アップによるパートの時給アップ
パート薬剤師3社目で、経験が豊富ということで時給が2,500円になりました。夏冬には寸志(数万円)も頂いておりました。
時給アップは、1日の処方箋枚数200枚以上の総合病院門前と在宅・施設を経験していたことが大きかったようです。
新卒で勤務していた鬼店舗での日々は無駄ではなかったと今では思えます。(ここで基本的な業務の全てをスパルタで学びました・・・)
派遣での時給大幅アップ
派遣での時給は驚くべき金額でした。
1つめの薬局はなんと時給4,000円!
2つめの薬局でも時給3,500円いただいていました!
派遣薬剤師をしている期間にたくさん貯金できましたが、通勤がどちらも遠く妊娠を希望していたため今後のことを考えて近所の薬局で働くことを決めました。
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正社員を辞めてからのライフスタイルの変化
自由のきくパートや派遣として働きはじめてから、どのようにライフスタイルは変化しましたか?
昼は薬剤師、夜は音楽に没頭
正社員を辞め、私は両親の反対を押し切り一人暮らしを始めました。
門限が無い(これまでは20時、どんなに遅くても22時でした)というのはこんなにも自由なのかと衝撃を受けました!
大好きな音楽活動を再開し、夕方まで薬局→夜は練習やライブ。
紆余屈折ありメジャーデビューとまではなりませんでしたが、これまでの人生の中で最も充実し意味のある日々だったと思います。
料理やスポーツも楽しむように
音楽活動がプロ志望→趣味の延長程度に落ち着いた頃、時間があるので料理教室に通ったりヨガやテニスを始めたり新たな趣味を楽しむようになりました。
正社員時代のような勤務だったら、私のように元々病弱でインドアな人間は休日は寝て休むことしかできなかったと思います。
薬剤師×ピアノ講師×メディカルライター×主婦という役割に
結婚してマイホームを建てた際、防音室を作ってもらい、そこでピアノ教室を始めました。
生徒は数人程度ですが、週3日ほど楽しくレッスンしています。
薬剤師の時給は高額なので、やはり薬剤師としての収入がメインです。現在は時給2700円でパート薬剤師をしています。
時々メディカルライター(医療系サイトの執筆、薬の使用ガイドなど)の仕事も受けながら、忙しくも充実した日々を送っています。
振り返ってみると、なんだかんだ一番大変なのは主婦業ですね。旦那が多忙のため時間のある私が全ての家事をするしかなく・・・。
週の時間の使い方
- 月:午前薬局・午後ピアノ講師
- 火:オフ(お家のこと)
- 水:午前薬局
- 木:ピアノ講師
- 金:午前薬局・午後ピアノ講師
- 土日:オフ(お家のこと)
このような感じで過ごしています。
オフの日は料理など家事をしたり、エステに行ったり旦那と出かけたり、1日中寝てみたりいろいろです。あまり無理をしないように楽しんでいます。
心理的な変化
やりたいことができるようになって、心の持ち方に何か変化はありましたか??
①ストレスの軽減
正社員時代はあまりのストレスで生理が止まる・頭痛・腹痛など体調を崩していました。痩せていた(やつれて食欲もなかった)のもあり、貧血で倒れることもよくありました。
パートや派遣に転向してからはそういった体調不良が一切無くなりました。
食事を楽しめるようになったので一気に5kg太りましたが・・・。笑 結果として、健康体を手に入れました。
②自己肯定感のアップ
正社員で仕事と家の往復しかできなかった時は「何のために生きているんだろう」「このまま仕事だけして死んでいくのか」という考えが頭の中を駆け巡っていました。
また、上司からも「覚えが悪い」「どうしようもない」など自己否定の言葉を日常的に投げつけられていたので、自分の中で自分の価値がどんどん下がっていきました。
正社員を辞めて音楽活動を再開してからもトラウマで自己否定はしばらく続きましたが、1年もしないうちに薄れてきました。
時間の余裕が心の余裕となり、自分を癒していったんだと思います。
派遣やパートが向いている人、向いていない人
人それぞれ合う働き方があるかと思います。Mさんの経験から、派遣やパートはどのような人に向いていて、どのような人に向いていないと思いますか?
向いている人
主婦の方・他に仕事がある人・趣味に時間を割きたい人は派遣やパートを強くお勧めします!
また、ひとつの店舗に留まりたくない・短期間で貯金したい方は派遣オススメです。
地方だと超高額時給&住居費をすべて出してくれるという薬局もあるほどで、長期旅行気分で勤務するのもすごく良いと思います。
私も結婚する前にしておけばよかったと少し後悔しています。
ただし派遣の場合は即戦力が求められるので、ある程度経験のある方が向いてると思います。
※薬剤師が不足している地域では、圧倒的高待遇かつ地方なので物価が安く、短期間で貯金をするには向いているかもしれませんね。
向いていない人
将来的に薬局を開業したい!など薬剤師としての大きな夢がある方は、正社員での勤務をオススメします。業務以外にも学ばなければならないものがたくさんあると思うので。
詳しく【徹底解説】派遣薬剤師の転職でおすすめ派遣会社・時給相場・メリット・デメリットなどまとめました!
派遣やパートの案件を選ぶ際のポイント&見極め方
求人によって当たり外れもありますよね。よい求人を見極めるポイントを教えてください!
良い案件を掴むには
高時給・人間関係が良い・仕事内容が充実しているなどといった良い案件は求人が出てもすぐ無くなります。そして離職率も低い傾向にあるのでなかなか求人が出ません。
常に動向をチェックし、転職サイト(仲介業者)の担当者さんと密な連携を取りながら動いていったらいいかと思います。複数社、複数の担当者さんと緩くやりとりさせてもらっています。
「地雷案件」に注意
ずっと募集している薬局は要注意です。人が定着しない何らかの理由があるということです。
以前とある高時給パート(調剤薬局)の面接に行ったのですが、面接&店舗見学の時点でやばい雰囲気を汲み取ったので辞退させて頂きました。
どこの薬局も店舗見学ができると思うので、案件を見極めるために見学は必須です!
事前に転職サイトの担当者さんに伝えておけば、確実に見学できます。
オススメ薬剤師転職サイト
Mさんが実際に使った薬剤師転職サイトでオススメを教えてください!
薬キャリ
パート・派遣共に求人案件が非常に多いです。私も薬キャリを利用して現在の薬局に入社しました。
派遣の場合は勤務3ヶ月(通常は1年)で産休育休が取得可能なことが特徴です。
人気の薬キャリ薬キャリの口コミ・評判やメリットがすぐ分かる!薬剤師転職サイトの中でも秀逸で薬剤師の半数が登録
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マイナビ薬剤師
パートの求人案件がとにかく豊富です。ただし薬剤師の派遣案件はありません。
就職に特化した超有名サイトなので実績も多く安心です。
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ファルメイト
派遣ではこちらを強くオススメします。私もファルメイトで派遣薬剤師をしていました。
他の会社に比べて時給が数百円高く、フォローも本当にしっかりしているので安心して働くことができました。
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現在の働き方の満足度
正社員時代のツライ経験などもあり、現在の働き方に落ち着いたMさん。現在の働き方の満足度は何点でしょうか?
ほぼ100点
薬剤師・ピアノ講師・ライターと、自分がしたかった事が全てできているのですごく満足しています。最近商売繁盛によって少し詰め込みすぎているので、それぞれの仕事をほんの少しずつ減らそうかと考えています。
もうひとつしてみたい仕事
美容が大好きなので、化粧品開発に興味があります。「薬剤師が開発した◯◯」をネットで時々見かけますよね。
私もいつか出来たらと考えています。そのためにはまずは勉強ですね!
これからのこと〜母になることを目指して妊活中〜
満足度の高い働き方ができているようで何よりですね。これからの目標や読者に伝えたいことってありますか?
不妊治療との両立
不妊治療はスケジュールとの戦い。卵子と精子が出会って受精するには絶妙なタイミングがあるため、身体の状態によって明日突然クリニックに行かなくてはいけないというイレギュラーはしょっちゅう起こります。
今勤務している薬局はそういった通院で急に休んだり早退しなくてはならない時も快く承諾してくれるので非常にありがたいです。(もちろん、出来る限りその分他の日に出勤したり時間を延長したりして貢献しています。)
プレママ&ママ薬剤師には派遣やパートがお勧め
正社員の場合は不妊治療・妊娠・育児との両立は相当な覚悟がないとできないと感じます。
私の周りの正社員をやっていた妊活仲間は、不妊治療のためにほぼ全員仕事を辞めパートになりました。
また妊娠中や育休明けも、正社員はかなり高いハードルがあると感じます。
薬剤師は基本立ち仕事なので妊娠中は負担が大きいし、育休明けも薬局の営業時間・ブランク・育児との両立などのことを考えるとなかなか大変。
パートや派遣だと自分で無理なく働ける時間を決めることができるので心身ストレスなくさまざまなことと両立できます。
働いているからには産休育休をとりたい!
パートや派遣でも条件を満たしたら産休育休が取得可能です。
週20時間以上の勤務で雇用保険加入すると、1年間育児休暇給付金が受け取れます。
参考:厚生労働省のQ&A 育児休業給付
また、週30時間以上(一部の企業は週20時間以上)で社会保険に加入していれば、正社員と同様に産休中に出産手当金も受け取れます。
私は他の仕事があるのでこれらの条件を諦めましたが、これらの恩恵を受けないのはもったいない!
妊娠を考えている方は是非検討してみてください。
ブランクからの復帰が心配な方、仕事と家庭との両立について考えたい方は、こちらもご覧くださいね^^