「薬剤師は売り手市場だから好きなだけ転職しても大丈夫」
こんな考え方は危険です。いくら売り手市場の薬剤師であっても、過度な転職はあなたの立場を悪くしてしまう原因に。
今回は、人事担当の経験をもつ薬剤師の私が、短期間で転職を繰り返す薬剤師のデメリットを紹介していきます。
これから転職活動を始める薬剤師さんは、1つの注意点として参考にしてみてくださいね。
薬局薬剤師
この記事の目次
薬剤師にも転職回数は大いに関係あり!短期間で転職を繰り返すのは避けておこう!
薬剤師に限らず、短期間で転職を繰り返すのはマイナス評価につながるので避けておく方がいいです。
「経歴」や「転職理由」から悪い印象を持たれてしまい、有利に転職することが難しくなります。
なぜ、短期で転職を繰り返すのはダメなのか?
- 転職理由に疑問を持たれるから
- 面接で転職理由を聞かれやすくなるから
- マイナス評価で採用されにくいから
しかし短期間で転職を繰り返すと、次の転職の時に「履歴書の経歴」で分かってしまうので意味がありません。
転職理由に美談を書いて対策するという手もありますが、人事も経験した私から見ても、やはり転職回数が異常に多いのは何か怪しさを感じるものです。
通常は面接で転職理由を深く突っ込まれることはほとんどありませんが、転職回数が多い場合はその疑問を晴らすために理由を聞かれることも多いです。
結局、憶測も含めて転職回数がマイナス評価に繋がってしまい、希望に沿った転職を実現しづらくなります。
薬局薬剤師
薬剤師辛いあるある!職場ごとに特有のストレス・辞めたいと思う瞬間をまとめてみました。アナタの「ツラい」を、少しでも受け止めます…
周囲からはこう見えています・・・
- 気分屋な人・・・
- いつ辞めるのだろう・・・
- 何か人間関係に問題のある人なのかな・・・
- 採用してもすぐに辞めるだろう・・・
転職回数が多いと必ず印象が悪くなるというわけでもなく、人柄が良ければとくに問題がないこともあります。
しかし面接官や経営者の立場から見ると、「この薬剤師さん、採用してもすぐに辞めるだろう・・・」と思われる可能性は高いですよね。
そう思われてしまうと転職先を見つけることが難しくなるため、ムダに転職回数を増やすことは避けておく方が無難というわけです。
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転職を繰り返しても印象が落ちない就労期間は何ヶ月?
転職を繰り返す場合、どのくらいの周期ならマイナス評価にならないのかは気になるポイントですが、これは一概に答えはありません。
一般的に20~30代だと2~3回、40代だと4回以上転職していると多いという印象を持たれます。
たとえば年に1度のペースで転職を繰り返しても、「1年しか在籍してくれないのか・・・」と思われるわけで、出来る限り長く在籍する方がマイナス評価にはなりずらいです。
また短期転職せざるをえない場合でも、毎回の転職に周囲が納得するような理由を持たせることも重要です。
転職回数が多くても仕方ないケースもある
本当は長く働きたかったけど、やむを得ず転職や退職しなければならない場合もあります。たとえば以下のような状況のときです。
- 会社が倒産した
- セクハラやパワハラが横行していた
- 妊娠や出産をした
- 引っ越しをした
- 目的があって退職した
会社の状況によっては、どうしても働き続けられないこともありますよね。とくにセクハラやパワハラはむしろ転職を進めたいくらいです。
女性であればライフイベントによって仕事を続けられないことも多いので、必ずしも繰り返しの転職が悪とは言えません。
転職回数が多くてもマイナス評価になりづらい雇用形態
- 正社員:?
- アルバイトやパート:△
- 契約社員:〇
- 派遣:〇
非正規雇用の中でも、契約社員や派遣で就労するときは最初から就労期間が決まっているので、転職回数が増えてもとくにマイナス評価につながることはありません。
アルバイトやパートの場合、スポットバイトや単発バイトで職場を転々とする場合は問題ありません。しかし中長期の就労を目的とする場合、「1ヶ月に1度の転職で年間12回」という経歴だと、少し違和感がありますよね。
こちらも何回までの転職ならOKなのかという明確な線引きはありませんが、短期間で転職を繰り返す羽目になりそうな場合は派遣や契約社員として転職しておく方が評価は落ちにくいでしょう。
薬剤師が転職を繰り返すデメリット
転職を繰り返すデメリットは、すぐ辞めそうと思われたり気分屋と思われたりするだけではありません。
薬剤師としてのキャリアを築いていく上でも壁になってしまいます。
年収が上がりにくくなる
一般的に年収は、役職を得ることで上がっていきます。しかし転職を繰り返す方というのは、短い期間しか同じ職場にいないのでなかなか役職がつきません。
病院から調剤薬局、調剤薬局からドラッグストアのように職種を変えることで年収アップすることも可能ですが、同職種での転職を繰り返していると、いつかは年収が頭打ちになってしまうでしょう。
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表面上の仕事しか経験できない
新人薬剤師とベテラン薬剤師とでは見ている世界がまったく違いますよね。最初は目の前の仕事をこなすことで精一杯ですが、慣れてくるともっと周りが見えるようになってきます。
同様に同じ職場に1年しかいない人と5年いる人とでは、仕事への取り組み方や考え方、見え方が異なるものです。
長く働いて自分が店舗の責任者として仕事を任されるようになると、仕事の進め方だけでなく危機管理や薬剤師の育成、店舗の運営などさまざまなことに気を配らなければなりません。
転職を繰り返すと、上の立場にならないと見えない景色を一生見ることができないのです。
自分では経験を積んだつもりになっても、実は浅いところしか触れていないという事態になってしまいます。1番恐いのは、浅い部分しか知らないことに気づけないことです。
結果として、自己評価を周りの評価が下回るので、仕事でうまくいかないことも出てくるかもしれません。
解決能力が育たない
職場で何か嫌なことがあっても、「また転職すればいいや」という思考に至りやすくなります。
繰り返し転職をすることで、なにか問題が起きても、どうやって問題を解決すればいいか考えたり行動したりする能力が失われてしまうのです。
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薬剤師が1度の転職に意味を持たせるためには?
転職回数が多い薬剤師の周囲からの見え方が分かったところで、1度の転職に重みを持たせるよう意識しながら転職活動を進めていきたいところですね。
どうして転職回数が増えるのか?
- 転職の段階で失敗している
- 不満の解決方法が転職しかない
- 忍耐力が足りない
- 実績を積まずに理想を追いかけすぎ
しかし今回のテーマのように、転職回数が多すぎるというのもマイナス評価につながるので、転職の判断というのは本当に難しいところです。
基本的に転職回数をムダに増やさないためには、1度の転職先で全力を尽くすことが大切です。そうすることで、転職後の不満を抑えやすくなるため、自然とムダな転職も減るはずです。
希望条件を整理して転職エージェントをフル活用しよう!
- 希望条件をリストアップする
- 希望条件に優先順位をつける
- 非公開求人から探す
- コンサルタントに提案してもらう
- 交渉で待遇アップを狙う
希望をリストアップする際に優先順位をつけておくと、求人探しもスムーズとなります。
また転職エージェントは積極的に活用してください。担当者が薬剤師求人を提案してくれたり、求人によって交渉してくれることもあります。
できるだけ1つの職場で長く職歴を積もう!
薬剤師の転職活動では、1つの職場で長く職歴を積むように心がけてみてください。
正社員や中長期のアルバイトやパートで転職する場合、このスタンスは自分と企業の双方にとって好ましい結果です。
さらに
長期在籍は収入が安定することから住宅ローンを組みやすいなど、プライベートに好影響となるメリットもあります。
転職回数が多い薬剤師でも転職しやすくなるコツ
薬剤師が売り手市場であることは間違いのない事実です。実際に私の知り合いには1~2年おきに転職を繰り返し、30代前半にして転職回数が7回もある薬剤師もいました。つまり転職回数が多い=転職できないではないのです。
転職回数が多くても、これから紹介することに気をつければ転職できる可能性はぐんと高まります。
転職理由はできるだけポジティブに伝える
どんな転職理由も、必ずポジティブな理由に言い換えて伝えましょう。これは転職を成功させる鉄則です。
「人間関係が悪かった」「年収に納得がいかなかった」など、どちらかというとネガティブな理由で転職する方が多いのではないでしょうか。私の周りで転職した薬剤師を見ていても、ほとんどの方がネガティブな理由で転職しています。
転職回数が多い方は、ほぼ間違いなく面接で転職理由を聞かれるでしょう。そこで正直に「人間関係が悪かったので…」といっては、確実に面接官に悪いイメージをもたれます。
人間関係が悪かったのなら「新しい環境で新しいことにチャレンジしたい」、年収が低かったのなら「もっとキャリアアップしていきたい」など、上手に言い換えて伝えましょう。
向上心があることをアピールする
転職してから何をやりたいか、向上心をアピールすることも大切です。
転職回数が多いとどうしても「またすぐに辞めてしまうのでは?」と思われてしまいます。これを払拭させるために、向上心をアピールするのです。
「転職して○年後には管理薬剤師になれるよう、積極的に学んでいきたい」
「御社で経験を積み、最終的には店舗運営に関わりたい」
など、未来を見せるようなアピールをしましょう。これだけで「うちでは長く働いてくれそうだ」と面接官に安心感を与えられます。
1つの職場に収まりたくない・・・そんな薬剤師は派遣を検討しよう!
できるだけ同じ職場で働いていたほうがよいのはわかっている、だけど思ったようにいかないことだってありますよね。
また人によっては「1つの職場に長く収まりたくない・・・」といったケースもあるでしょう。
そんな薬剤師たちにオススメしたいのが
派遣は正社員のように長期雇用を前提としていません。そのため働きたい期間だけ働けるのが最大のメリットであると言えます。
詳しく【徹底解説】派遣薬剤師の転職でおすすめ派遣会社・時給相場・メリット・デメリットなどまとめました!
派遣の基本情報
- あなたの雇い主は派遣会社
- 派遣会社から派遣先へ出向いて就労する
- 仕事ごとに契約期間が決まっている
- トラブルがあっても派遣会社が間に介入してくれる
- 薬剤師派遣は時給が高い
派遣で働くためには派遣会社を見つけて登録をしなければなりません。登録の段階では雇用関係にはならず、派遣会社から仕事を紹介されて契約書にサインをすると、自分と派遣会社の間で雇用関係が成立します。
仕事は各案件ごとに契約するという仕組みなので、たった1日だけの仕事でも必ず契約書にサインをします。待遇や福利厚生など契約内容についてはしっかりと確認しておくようにしましょう。
薬剤師はアルバイト等と同じく派遣も求人が非常に多く、しかも高時給で仕事を見つけることができます。
派遣薬剤師の年収はいくら?
派遣って正社員よりも給料が低そうだけど、年収はいくらくらいになるの?と思いますよね。
派遣薬剤師の時給はだいたい3,000円前後、高いところだと5,000円くらいあります。
派遣薬剤師として1日に8時間、月に20日に働いたときの年収を時給別に見てみましょう。
- 時給3,000→年収576万円
- 時給3,500円→年収672万円
- 時給4,000円→年収768万円
- 時給4,500円→年収864万円
- 時給5,000円→年収960万円
これなら「派遣で生活できるのかな?」と不安な方でも安心ですね。
薬局薬剤師
薬剤師派遣も転職サイトで探すのがオススメ!
派遣薬剤師として働きたいのなら、派遣を紹介してくれる薬剤師転職サイトに登録する必要があります。
転職エージェントに相談する場合も、派遣求人に関して相談から提案を受けることも可能です。
普通に「派遣会社を探す」→「登録」→「派遣会社から仕事の紹介」という流れで転職するよりも、転職サイトを利用する方が最初から希望にマッチした仕事を見つけやすいというメリットがあります。
派遣薬剤師として働きたい方にオススメの転職サイト
薬剤師の転職サイトは現在20社近くもあります。しかし派遣薬剤師の求人を扱っているサイトは多くありません。
せっかく転職サイトに登録したのに派遣の求人がない!とならないように、オススメの転職サイトをご紹介します。
薬キャリ
派遣薬剤師の求人を探すなら薬キャリはまず登録しておかなければなりません。派遣の求人をもっとも多く扱うサイトだからです。
雇用形態を「派遣」でしぼって検索すると6,325件ヒットしました。(2019/11月現在)
参考:薬キャリ
実際に薬キャリを見てもらえばわかりますが、時給3,500~4,000円くらいであればゴロゴロと求人が見つかります。
参考:薬キャリ
実際に薬キャリで探してみたところ、最大時給4,500円の求人もありました。短期でも働けて時給が高いので、生活に必要なお金は確保しつつ自由に仕事をしたい方にいかがでしょうか。
人気の薬キャリ薬キャリの口コミ・評判やメリット!薬剤師転職サイトの中でも秀逸で薬剤師の半数が登録
薬キャリに登録してみよう!
ファルマスタッフ
次にオススメしたのがファルマスタッフです。
ファルマスタッフは派遣薬剤師にとても力を入れている会社で、高待遇の求人を掲載していることはもちろん、「キャリア支援研修」や充実した福利厚生も魅力的となっています。
ファルマスタッフで派遣薬剤師の求人を検索したところ、5,748件の求人がヒットしました。(2019/11月現在)
参考:ファルマスタッフ
ファルマスタッフには求人を検索するときに「高額派遣(4,000円以上)」で絞って探すこともできるので、とにかく高時給で働きたい方にオススメです。
参考:ファルマスタッフ
実際に探してみると、最大時給4,800円の求人が見つかりました。
詳しくファルマスタッフの口コミ・評判が分かる!19年の実績・母体が日本調剤という安心感。調剤薬局へ転職したい薬剤師におすすめの理由
ファルマスタッフに登録してみよう!
まとめ
薬剤師は転職しやすい職業ではありますが、むやみに転職を繰り返すと、未来の自分の首を締めることになる恐れがあります。
年収が上がらない、出世できないなどの他に、悲しいことに転職理由にかかわらず薬剤師の性格や人格まで疑問に思われてしまうことがあるのです。
妊娠や出産、セクハラやパワハラなどやむを得ない理由を除き、どうせ転職先が見つかるからと安易に転職するのはできるだけ避けましょう。
短期間で辞める可能性がある場合は、派遣やパートなど働き方を工夫すると、影響が出にくいのでオススメです。
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