「薬剤師になったけど、絶対に正社員として働かないといけないの?」
「仕事だけでなくプライベートの時間も確保しながら生活するにはどうしたらいいの?」
周りの薬剤師を見ると、正社員で働いている方が多いと感じますよね。正社員として働くことが当たり前のような雰囲気があるため、とくに何も考えず正社員をしている薬剤師も多いのではないでしょうか。
しかし、働き方が多様化している現代、あえて正社員ではない働き方をしている薬剤師が増えてきました。
今回は「正社員で働くのとパートで働くのとでは具体的には何がどう違うの?」と疑問に思っている方に向けて、正社員とパートの違いやそれぞれのメリット、デメリットを詳しくご紹介します。
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この記事の目次
正社員orパート?薬剤師の働き方の基本的な違い
正社員はフルタイムで働くもの、パートは短時間だけ働くものというイメージをもっている方が多いでしょう。正社員とパートの違いは、勤務時間だけではありません。
雇用体系
パートの場合は正社員と比べると所定労働時間が非常に短いのが特徴です。
正社員だと週に40時間の勤務が基本となりますが、パートの場合はとくに決まっていません。そのため週に4~5時間程度のみ働くという選択も可能です。
給料
正社員は月にいくら給料を貰えるのかが、あらかじめ決まっていますね。年俸制の場合は年間で貰える給料が決められています。
そのため働く日数によって貰える給料が左右されません。一方でパートの場合は時給制なので、働いた時間の分だけお給料を貰うことになります。
休みの取りやすさ
休みの取りやすさは間違いなくパートの方が上でしょう。正社員のようにガッチリと働く日にち日数が決められていないので、自分の予定に合わせて休みを取ることができます。
異動や転勤の有無
正社員は異動になる可能性があります。もちろん異動したくないと希望を出せるところがほとんどですが、異動なしにすると給料が下がってしまうことが多いです。
一方でパートは、雇用されている職場で働くことになるので、異動がありません。ずっと同じ職場で働けます。
薬剤師が正社員で働くメリット・デメリットは?
休みの取りやすさや異動の有無を見ると、正社員よりもパートの方がよい働き方のように見えてきますね。しかし、正社員にしかないメリットもたくさんあります。
メリット
安定した収入と継続雇用前提の勤務体系
正社員で働くことの1番のメリットは、やはり安定した収入が手に入ることでしょう。毎月決まったお給料が貰えるのは正社員だけです。しかもよっぽどのことを犯さない限りは、雇用は継続的に続きます。
1度入社さえしてしまえば、辞めない限りは定年までお仕事を続けることが可能。圧倒的な安心感と安定感があります。
ゴールデンウィークや年末年始は仕事が休みになる日も多いですが、それでも出勤日数にかかわらず一定の給料が貰えることがメリットです。
職場、会社の中でのキャリアアップが望める
もっともっと自分のスキルを高めたい、もっと上の立場まで上り詰めたい。正社員で働くとこのようなことも実現できます。
継続的な雇用が前提なのでキャリアアップが望めるのです。パートだと勤務時間も短いですし長い期間務めるとも限らないのでキャリアアップはなかなかできません。
ボーナスが貰える
正社員はパートと違ってボーナスが支給されます。支給方法や支給金額は職場によって違いますが、基本的には7月と12月の年に2回の支給です。
数十万単位のお金がいつもの給料とは別に貰えるので、ボーナス時期になると顔がほころんでいる方をよく見かけます。
パートでもボーナスが貰えることはありますが、多くても寸志の数万円程度。正社員と比べるとお小遣い程度にしか貰えません。
※年俸制を採用している一部の職場では、正社員でもボーナスが出ないこともあります。
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手当が充実している
住宅手当や社会保険、年金など手当が充実しています。パートでは正社員ほどの手当を貰えないため、「働いた分以外のお金はほぼ貰えない」という状況が基本です。
会社からの恩恵を受けられるのは正社員だけでしょう。
デメリット
もちろんメリットばかりではなく、デメリットもあります。
時給換算するとパートより低くなることもある
これは雇用条件や職場の環境にもよりますが、正社員で働いた方が低時給になるケースもあります。職場によってはサービス残業が非常に多いところもありますよね。
サビ残が多いと、給料は増えないのに勤務時間だけが増えていきます。時給換算にすると1,600円程度になってしまったという事例もあるのです。
自分の時間を作りにくい
正社員で働いているとあらゆる責任を負わなければなりません。仕事量も増えます。そのため出勤前や出勤後にたまっている仕事を片付けたりする必要もときには出てくるでしょう。
正社員だと休日に行われる勉強会が強制参加になっていることもあるため、仕事関係でどんどんプライベートの時間が削られてしまいます。
異動がある
多店舗展開している企業だと異動があります。異動の頻度は人それぞれなので一概には言えませんが、早い方だと3か月おきのペースで店舗が変わっていた薬剤師もいました。
次々に店舗が変わると、その度に新しい人間関係に慣れなければいけませんし、業務内容も覚え直しです。異動によって通勤時間が倍になってしまうケースもあります。
勤務時間外の出勤を求められることがある
急に欠員が出て、その穴埋めのためシフトより早い時間の出勤を当日の朝いきなり求められたり、休みの日に電話がかかってきて出勤できないかと頼まれることがあります。
休みだと思っていた日が急に仕事になるのは、正直よい気持ちはしません。
正社員にはない、パート薬剤師のメリットは?
ではパートで働くメリットはいったい何なのでしょうか。こちらも詳しく見ていきましょう。
転勤や異動がないため、安定して同じエリアで働ける
パートの場合は転勤や異動がありません。まれに他の店舗に応援に行くことはあるかもしれませんが、パートは雇用されている職場で働き続けることが基本です。
転勤や異動がないのは想像しているよりも強い安心感を得られます。とくに配偶者がいる方、一軒家を買っている方からすればずっと同じところで働けるのは本当にありがたいものです。
時短勤務が可能
毎日8時間も働くのはちょっと…という方でもパートなら安心です。短い方ですと、1回の勤務で3時間程度しか働かない方もいます。このように勤務時間に幅を利かせることができるので、ライフスタイルに合わせて働くことが可能です。
他の仕事と掛け持ちができる
勤務時間や勤務日数を自由に設定できるので、他のお仕事と掛け持ちすることもできます。正社員は時間に融通が利かない上に、そもそも掛け持ち禁止の職場がほとんど。
しかしパートなら、他に何の仕事をしてもとくに問題ありません。掛け持ちができることを活かして、薬剤師とはまったく関係のないお仕事をしている方もいます。
趣味の時間が増える
働く時間を自由に調整できるので、仕事以外に当てる自分のための時間を増やせます。正社員だと1日が仕事だけで終わってしまうことも珍しくありません。
一方でパートなら、勤務時間の調整が可能です。時間の融通が利くため仕事以外に自分がやりたいこともどんどんできます。まとまった休みを取って旅行に出るなんてことも可能です。
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定時で帰れる
パートは何時から何時までというように、その日に働く時間があらかじめシフトで決められています。定時になればよっぽどの理由がない限り残業せずに帰ることが可能です。
正社員だとこうはいきませんよね。帰りづらい雰囲気があったり、仕事が終わらなくて残業になったりとなかなか時間ぴったりに帰れません。
決められた時間だけしか働かなくていいのはパートの大きなメリットです。
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薬剤師はパートでも意外と高い収入が狙える!
正社員よりも稼げないというイメージのあるパートですが、はたして本当にそうなのでしょうか。時給2,000円から4,000円までのパターンに分けて、月にどれくらいパートで稼げるのかを計算してみました。
週5日(月20日)、1日8時間勤務のフルタイムで働く場合、時給ごとの月収・年収は?
まずは正社員と同じように、フルタイムで働いたときの月収と年収を見ていきます。
時給 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
2,000円 | 32万円 | 384万円 |
2,500円 | 40万円 | 480万円 |
3,000円 | 48万円 | 576万円 |
3,500円 | 56万円 | 672万円 |
4,000円 | 64万円 | 768万円 |
時給2,500円になると、正社員と変わらないくらいの年収になりますね。さらに時給3,500円、4,000円となると正社員で働くよりも高い給料を貰うことが可能です。
週2日(月8日)、1日8時間勤務で働く場合
では次はフルタイム出勤ではなく、1日8時間、週に2日勤務した場合のお給料を見てみましょう。
時給 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
2,000円 | 12.8万円 | 153.6万円 |
2,500円 | 16万円 | 192万円 |
3,000円 | 19.2万円 | 230.4万円 |
3,500円 | 22.4万円 | 268.8万円 |
4,000円 | 25.6万円 | 307.2万円 |
時給2,000円でも週に2日勤務したら月収10万円を超えますね。時給4,000円になると月収は25万を超えるので、パートの割にかなり稼げるのではないでしょうか。
高時給で働きたいなら派遣薬剤師もおすすめ
パートでも高い時給の求人があることは確かですが、数が多いかと聞かれるとそうではありません。どちらかと言えば時給3,000円を超えるパートの求人は珍しいと言えます。
もしも時給3,000円、4,000円の求人を効率よく見つけたいと思ったようでしたら、派遣薬剤師の求人をぜひ探してみてください。派遣薬剤師は驚くほど高時給の求人がありますよ。
たとえば次の求人を見てみてください。
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扶養内勤務(年収103万円以内)で働きたい場合はどのような条件で働くのがオススメ?
パートで働く方の中には、扶養内で働きたいという方もいるでしょう。こうした働き方は「扶養内勤務」ともいいます。
もし扶養内で勤務したい場合はどういった条件で働けばよいのでしょうか。時給2,000円の場合で考えてみましょう。
1日8時間で週に2日だけの勤務でも年収は153万6千円。薬剤師は時給が高いので、この時点ですでに年収103万円を超えてしまいます。
勤務日数を週1に減らすと年収76万8千円。これで扶養内勤務におさまります。
ちなみに時給2,000円で年間103万円ギリギリまで働きたい場合は、1ヶ月の勤務時間を42時間程度にする必要があります。これで年収は100万円ちょっと。1日5時間勤務で週2日程度働くとこれくらいの年収になります。
時給2,000円は薬剤師の平均的な時給ですが、それでもあっというまに年収103万円を超えてしまいます。扶養内で働けるような条件の求人はあまりないので、そもそも扶養内勤務で働こうとはしない方がよいのかもしれません。
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※無資格者の方はご登録いただけません正社員とパートの大きな違いは「1週間の時間の使い方」に大きな差が出ること
パートでも時給や勤務日数次第では、正社員に劣らないくらい稼げることがわかりましたね。むしろ、高い時給のところで働けば正社員の給料すら超えてしまいます。
では正社員とパートの大きな違いは何でしょうか。それは「1週間の時間の使い方」に大きな差があることです。
正社員として働いた場合の1週間の使い方
正社員として働く場合、1週間はほとんど仕事で終わってしまいます。月曜日から金曜日までフルタイム出勤、土曜日は自宅で体を休めて疲れを取り、日曜日はどこかにお出かけというパターンが多いのではないでしょうか。
正社員だと時間ギリギリに出社するわけにもいかないので、家を出る時間も余裕を持たなければいけません。家に帰っても疲れがたまっているので、自分の時間はあまり取れません。
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パートとして働いた場合の1週間の使い方
パートの場合は何日に出勤するか、何時間働くかなど、働く条件を自分の都合に合わせることが可能。そのため、月曜日から金曜日までフルタイムで働いて土日は休みという働き方もできますし、1日おきに出勤なんて働き方もできます。
まとまった休みをとって旅行に行ったり、友人や家族とお出かけしたりもできますね。仕事もプライベートもどちらの時間も確保しやすいので、ワークライフバランスをうまく調整しながら生活できます。
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実際に、薬剤師はパート・派遣での働き方にチェンジし、自分の時間の確保に成功した方のインタビュー記事も参考までにどうぞ。
派遣・パートで薬剤師をやるメリット&趣味や特技を生かして兼業する新しい働き方とその豊かさを、実際にやっている人に聞いてみた!【インタビュー!】
正社員という働き方は人によっては損
正社員は雇用が安定しており、会社に属している限りは来月も再来月も決まった金額の給料が振り込まれます。ボーナスもありますし、キャリアアップしていくことで年収アップすることもできるでしょう。
安定を求める人には正社員という働き方は向いています。しかし「自分の時間がもっと欲しい」、「仕事だけで一日が終わるのは嫌だ、「もっと他のことにチャレンジしたい」と考えている方が正社員で働くと、損してしまうこともあるのです。
正社員は時間の融通がききにくいので、仕事以外に何かやりたいことがある方には向いていません。
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正社員が向いている薬剤師、パートが向いている薬剤師
ここまで正社員とパートの違いをお話してきました。それぞれ働き方が大きく違うため、人によってどちらの働き方のほうが合っているのかが変わります。
ではいったい、どのような方が正社員とパートそれぞれに向いているのでしょうか。
正社員が向いている方
まずは正社員に向いている方をご紹介していきます。
同じ職場で安定して働きたい方
正社員はとにかく安定して働けることが特徴。毎月決まったお給料を貰えるのは正社員だけです。ふとした用事が入ってどうしても仕事に行けなくなったとしても有給があります。
そのため、何かあっても大幅に給料が減ることはありません。また正社員は、継続して働くことを前提として雇われているので急にお仕事がなくなる心配もなし。とにかく安定した働き方をしたい方に向いています。
キャリアアップをしたい方
異動や転勤により働く店舗が変わる可能性はあるものの、辞めない限りは同じ会社で働くことになります。長い期間同じ会社で働くため、キャリアアップが可能です。
パートだと、どんなに仕事を頑張っても給料が上がることはほぼありません。しかし正社員だと、頑張りや成果がお給料に反映されます。どんどん上の立場に行きたい方、出世意欲の強い方は正社員が向いているでしょう。
勤務日数が変わっても給料に響かない働き方をしたい方
正社員で働くメリットは安定性があること。繁忙期や閑散期によって働く日数は月ごとに違います。また祝日が続く5月、お盆、年末年始も出勤日数が少なくなりますよね。
正社員だと今月は休みが多かったから給料も減ってしまうということがありません。勤務日数に左右されずに毎月決まった額のお給料を貰えます。
パートが向いている方
次に、パートが向いている方の特徴を見ていきます。
自分の時間、家族の時間を大切にしたい方
パートは正社員と比べると、時間を自由に使えるのが特徴。働く時間や勤務日数をある程度は自由に調整できます。そのため自分の時間や家族の時間を大事にしたい方に向いている働き方です。
転勤や異動をしたくない方
家族を持っている方、一軒家を買った方、今住んでいる場所から引っ越したくない方はパートが向いています。パートは転勤や異動がありません。どんなに長年働いていても「来月から転勤ね」と言われることは決してないのです。
異動があまり好きじゃないという方もいるでしょう。異動になると新しい人間関係を再び築かないといけません。仕事内容も少し変わります。パートならずっと同じ職場で働けるので急に働く環境が変わることがありません。
いろいろなことにチャレンジしたい方
「薬剤師の資格を持っているけど、薬剤師以外のこともしたい」このように考える方は意外と多いもの。実際に薬学部を出ていながら飲食店で働いていたり、エステサロンを開いたりしている薬剤師もいます。
パートで働くという選択をすれば、このように他にやりたいことにチャレンジできます。休みの日に資格の勉強をしたり、他の仕事をしたりと自分の人生を満足のいくように送ることが可能。
やりたいことがたくさんあるという方はパートが向いています。
まとめ
働き方が多様化してきた現在、正社員という働き方にとらわれずにいろいろな働き方をするかたが増えてきました。
パートだと給料が少ないから生活ができないと思われている方もいるかもしれませんが、時給次第では正社員を超えることも可能。時間に融通の利きやすいパートを選択することで人生の選択肢を増やすことができます。
「他にやりたいことがある」
「仕事だけで人生を終わらせたくない」
このように考えている方はぜひパートも視野にいれてみましょう。自分に合った働き方を探している方は転職サイトに登録してみるのもいいですね。転職サイトを利用することで希望の時給、勤務日数で働ける確率が一気に上がります。
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