どんな職場や職種でも、新人のうちはミスをしてしまうものです。ミスがプレッシャーとなり、さらなるミスを呼んでしまうこともあるでしょう。
しかし、あまりにミスばかりが続いてしまうと、周りから「使えない」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。
一度悪いイメージがついてしまうと、それを払拭するのはなかなか難しいので、できれば避けたいですよね。
そこでこの記事では、新人薬剤師のあるべき姿勢とコミュニケーション・ステップアップに必要なポイントを解説していきます。
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この記事の目次
「使えない」と言われる新人薬剤師の特徴とは
まずは「使えない」と言われてしまいがちな、新人薬剤師の特徴をみていきましょう。
自分からすすんで行動しない
「指示されないと動かない」「周りの空気を読んで行動できない」など、自分からすすんで行動できない新人は、「使えない」と言われてしまいがちです。
何も仕事がないときは、先輩薬剤師に声をかけて指示を仰ぎましょう。その際には先輩の様子を見て、立て込んでいるときは避けることがポイントです。「空気が読めない」と言われたくはありませんよね。
また仕事において、応用力や想像力は非常に重要です。勝手に行動せず、わからないことを質問することも必要ですが、何でもかんでも質問することは避けましょう。
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コミュニケーション能力が乏しい
薬剤師は、医師や看護師、医療事務などのさまざまな職種と連携しなければなりません。情報を共有してスムーズに仕事をおこなうためには、高いコミュニケーション能力が求められます。
また患者さんの中には、気難しい方や怒りやすい方もいるので、注意が必要です。ケガや病気で不安定になっており、デリケートな患者さんもみられます。
コミュニケーション能力は、仕事を続けていくことで、少しずつ身についていきます。しかし「あいさつができない」「相手の目を見て話せない」など、最低限のコミュニケーションがとれなければ、「使えない」と思われてしまいます。
まずは周りのスタッフの方とコミュニケーションをしっかりと取り、親睦を深めましょう。敬語を学び、失礼のない対応をすることも重要です。
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同じミスをくり返す
同じミスをくり返してしまうことは、「使えない」と言われてしまう原因の一つです。
一度の失敗はだれにでもあるものですが、二度、三度とくり返してしまうことは、絶対に避けなくてはなりません。
同じミスを起こさないように、一度失敗をした業務には細心の注意をはらうようにしましょう。しっかりとメモをとり、たまに見返して復習することも重要です。
また同じ失敗をしてしまわないように、失敗例を縦堀り・横堀りして、同じようなミスを回避するようにしましょう。
・マイスリー10mgを高齢者に調剤してしまった失敗例
マイスリーは、高齢者には5mgから投与をしなくてはならないことが、添付文書にも明記されています。
65歳以上の患者さんに対して10mgが処方されていれば疑義照会が必要ですが、新人のうちはマイスリーは10mgと思い込み、誤ってそのまま投薬してしまいがちです。
多くの場合はダブルチェックで気付き、次から気を付けるように先輩薬剤師から指導があるでしょう。同じ失敗をくり返してしまうことは禁物です。
しかし今後は、マイスリーだけに気を付ければよいかというと、そうではありません。類似薬効のお薬であるルネスタはどうなのでしょうか?デパスは?ハルシオンは?これらを間違えてしまっても、「また新人が同じミスをしたよ」と言われてしまいかねません。
マイスリーでミスをしたならば、同じような薬にはどのようなものがあるのか、他の薬も同様なのか、しっかりと確認するようにしましょう。
誰もが最初はみんな新人!
今はベテランの薬剤師でも、働き始めは必ず新人です。新人時代を経験していない薬剤師なんて一人もいません。
「あの新人、使えないな」と思っている中堅・ベテラン薬剤師も、「使えないって思われていないかな…」と心配な薬剤師もまずは一旦落ち着きましょう。
はじめのうちは仕事ができなくて当たり前です。ただし何度も同じミスを繰り返したりうまくコミュニケーションが取れなかったりすると、使えないと思われてしまうこともあります。
新人時代は誰もが通る道です。
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新人薬剤師が「自分って使えないな」と思った瞬間
周りからどう思われているかどうかはさておき、「自分、使えないな…」と思うことってありませんか?
私も何度かそう思ったことがありました。
一包化でミスをする
一包化って、処方内容によってはとても時間がかかりますよね。1時間近く一包化に費やすこともまれにあります。
やっと出来上がった一包化を監査してもらうと「ここ、薬が抜けているよ!」と指摘されることがたびたびありました。
ただでさえ時間がかかる一包化をして周りに負担をかけているのに、その上ミスまでするなんてと酷く落ち込んだ経験が何度もあります。
分包機によってはきちんと入れたはずの錠剤が飛ばされることもありますが、ミスが続くと「分包機じゃなくて自分のせいだ」と落ち込みを増すものです。
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ロスを出してしまう
半錠にする作業は、慣れるまでなかなか難しいものです。割線がついているものはまだなんとか上手に割れますが、線のないものはお世辞にも半錠とはいえない仕上がりになってしまうこともあります。
半錠に失敗した錠剤を先輩薬剤師に見せると「それ、ロスね」と言われとても申し訳ない気持ちになったことが何度もあります。
患者さんの質問に答えられない
服薬指導のとき、とくに小児の処方箋だと患者さんから質問を受けることが頻繁にあります。
「子供が薬を飲まないんだけど、どうすればいいですか?」
と新人の頃に聞かれた私は、咄嗟に答えることができませんでした。お薬によってはジュースに混ぜると苦味が増すものがあると何となく知ってはいたものの、しっかりとは把握していなかったため曖昧な回答しかできなかったのです。
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周りと比べて仕事が遅い
仕事に慣れるまでは、どうしても一つひとつの業務に時間がかかってしまいます。
6年制になって薬局や病院で実習を積んだ経験のある薬剤師とはいえ、社会に出ればまだまだ新人です。棚の位置を覚えられずピッキングに時間がかかったり、レジ操作でもたついてしまったりといろいろとあるでしょう。
レジ締め操作や思わぬトラブルに見舞われて就業時間を大幅に超えても業務が終わらないことも珍しくありません。
「なぜ自分はこうも仕事に時間がかかるのだろう」と周りと比べてしまい、憂鬱になった経験が誰しも一度はあるのではないでしょうか。
新人薬剤師が「辞めたい」と思う理由
おそらくほとんどの薬剤師は一度くらい心のどこかで辞めたいと思ったことがあるのではないでしょうか。私が新人薬剤師だったころに辞めたいと思った実際の理由をご紹介します。
その1 ミスしすぎて落ち込む
これは新人薬剤師あるあるですね。新人のころは不慣れな業務が多く、ミスをする頻度がどうしても高くなります。私も薬剤師になってすぐの頃はいろいろとやらかしました。
調剤した後に処方箋の原本を患者さんに渡してしまう、ピッキングミス、お会計ミス、上手に半錠にできない…など言い出したらきりがありません。
1つミスをすると気分が落ち込み、さらに新たなミスを生むという悪循環に陥ったこともありました。
その2 先輩薬剤師に怒られる
先輩薬剤師は新人薬剤師である私を指導するために、ときには叱ってくることもあります。もちろん愛を込めた怒りですので先輩薬剤師が悪いということではありません。
しかし注意や叱られることが続くと精神的に参ってしまいますよね。
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その3 通勤時間が長い
私が配属された店舗は、自宅から電車を乗り継ぎ一時間半かかる場所でした。通勤だけで一日3時間もかかってしまうのです。
電車が遅れたら片道だけで2時間以上かかることもありました。
事前に「通勤は最大で一時間半かかる」と知らされていたものの、まさか自分がこんな遠い店舗に配属になるとは思っておらず、もやもやしながら通勤を続けていました。
通勤時間はもちろん給料が発生しないので、単純に自分の自由時間が減るだけです。一日が仕事だけで終わる日々がどんどん嫌になり辞めたいと考えるようになりました。
その4 仕事が忙しい
適度な忙しさは心地よくもありますが、あまりに忙しい職場は新人薬剤師にとってストレスとなってしまうことも少なくありません。
- 忙しいのに素早く仕事を進められない
- わからないことがあっても先輩薬剤師に聞きにくい
- 覚えることがたくさんあって消化しきれない
忙しいことが理由で、仕事がうまくいかなくなってしまうのです。忙しいほうがいいのか、暇なほうがいいのかは人によって違いますが、あまりに忙しすぎる場合は仕事への影響が出てしまいやすいでしょう。
その他、「薬剤師のツライあるある」や「薬剤師になって後悔したこと」なども以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも読んでみてください。
薬剤師辛いあるある!職場ごとに特有のストレス・辞めたいと思う瞬間をまとめてみました。アナタの「ツラい」を、少しでも受け止めます…
新人薬剤師の心がまえ6選
新人薬剤師が守るべき心構えには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは5つのポイントをご紹介します。
その1 元気よくあいさつをしよう!
あいさつは、コミュニケーションの基本ともいえるものです。
薬局のスタッフ全員に、朝のあいさつや休憩のお礼、帰りのあいさつをしましょう。患者さんに対するあいさつも、忘れてはいけません。「こんにちは」「お大事に」と、心を込めて対応しましょう。
新人に大切なのは、「元気さ」や「フレッシュさ」です。明るく元気に、あいさつをしましょう。
その2 仕事を覚えたいという意気込みを見せよう!
新人のうちは、どれほど努力をしてもまだまだ半人前なものです。
少しでも早く一人前になり、薬局や患者さんのために働けるように、仕事を覚えたいという意気込みを見せましょう。
具体的には、積極的に質問をする、仕事に前向きに挑戦する、責任感をもつことが大切です。やる気をアピールしましょう。
その3 目標設定をしよう
新人のうちは薬の知識も少なく、調剤の手順や日常業務、マナー、接客スキルなど覚えることが多いものです。
しかし無計画に「あれもこれも」と手を伸ばしてしまうと、すべてが中途半端になってしまうおそれがあります。
一歩ずつステップアップできるように、目標設定を行いましょう。今週・今月の目標のように短期的な目標だけでなく、年間目標を設定することも大切です。
その4 時間厳守、身だしなみにも注意を!
時間を守ることや身だしなみを整えることは、社会人にとってはマストです。
仕事がまだ一人前ではないにもかかわらず、これらのマナーが欠落していると、「新人のくせに」と目を付けられてしまいます。
マナーを守ることに新人もベテランもありませんが、それでも新人のうちは特に注意を払うようにしましょう。
その5 教わったことはメモをとろう!
新人のうちに心がけるべきことの一つとして、「メモをとる」ということがあります。
教えてもらったことはすべてメモを残し、後でまとめて復習するようにしましょう。
メモをとらずに忘れてしまい、同じ質問を何度も繰り返してしまうということは、絶対に避けなくてはなりません。
その6 自分のミスはしっかりと認める
使えないと言われやすい薬剤師ほど、自分のミスをなかなか認めてくれなかったり、何かと言い訳をしたりする傾向が見られます。
ミスを認めないことで自分を正当化しても、周りが自分を見る目は変わりません。むしろ「言い訳ばかりする」と悪いイメージをもたれてしまうでしょう。
自分のせいで起こったミスでなければ当然しっかりと理由を伝えるべきですが、自分に非があるときは素直に認めるのが無難です。
【落ち込まないで!】新人薬剤師は周りより指導を受けやすい存在
新人薬剤師と何年か経験のある薬剤師とを比べると、どうしても新人薬剤師のほうが知らないことは多くあります。
そのため「これはこうして」「もっと○○したほうがいいと思うよ」など、自信喪失につながる言葉を周りから貰うこともあるでしょう。しかし、落ち込みすぎる必要はありません。
新人のうちは周りから指導を受けて当たり前です。経験のある薬剤師と比べると指導回数が多くショックを受けてしまうかもしれませんが、「そういうものだ!」と思っておくと少しは心が楽になるのではないでしょうか。
それでも上手くいかない新人薬剤師ができる解決策は?
ここまでご説明した心がまえを守り、一生懸命仕事にのぞんでもうまくいかない、そんなときにはどうすればよいのでしょうか。
まずは同僚・先輩に相談してみよう
ミスが続いてツライときは、自分ひとりで抱え込んでしまうのではなく、同僚や大学の同期に相談してみることがオススメです。同僚や同期も、同じように悩んでることが多いものです。勉強方法や解決方法を共有することもできますね。
ときには先輩や上司に相談してみるのもよいでしょう。先輩や上司が仕事の失敗について悩んでいることを知れば、失敗のフォローや対策をしてくれるかもしれません。
悩みを正直に話すことは、決して悪いことではありません。むしろ相手を信用していることのあらわれでもあるので、良好なコミュニケーションを生み出すことにもつながります。
時間が解決してくれることもあるので、1年間は全力で頑張ってみよう
はじめのうちは失敗が続いたとしても、経験を積んでいくうちに慣れることもあります。仕事に慣れれば余裕も生まれ、ミスも減ることでしょう。
まずは1年間、全力で頑張ってみましょう。少し早めに出社して勉強したり、業務終了後に勉強して帰ることも、可能であればオススメです。
サービス残業が日常化することは良いものではありませんが、若いうちにした努力は一生モノです。自分への投資と考えて、全力で取り組みましょう。
デキる薬剤師の行動を真似してみる
どの職場にも一人は必ず仕事が回るよう上手く采配をとれる方がいるのではないでしょうか。
仕事で何か行き詰まったときや思わぬハプニングがおこったときは「その人ならどう動くか?」を考えてみてください。仕事ができる薬剤師に一瞬だけなりきってみましょう。
すると、いろいろな考えが思い浮かぶはずです。「この人ならこうするだろうな」ということを実践してみると、意外とうまくいくことが多くあります。
どうしてもうまくいかないなら、転職で再スタートを
ミスを責められてツライ、嫌がらせをされる、精神的にまいってしまうなど、どうしても改善の余地がないようであれば、転職をすることがオススメです。
悩みながら働き続けても、自分自身のステップアップにつながらなければ、その職場に居続ける意味はありません。心や体の不調をまねいてしまっては、元も子もありません。
薬局や病院の中には、経験年数が浅くても「第二新卒」として扱ってもらえる職場もあります。悩みながら働き続けるのではなく、思い切って新しいスタートを切りましょう。
まずはこの3社に登録すれば、情報量は十分です!
登録後は、自分の働き方や悩みを理解してくれて、必要な情報を与えてくれるエージェント・担当者を探しましょう^^
※無資格者の方はご登録いただけませんまとめ
新人薬剤師のあるべき姿勢とコミュニケーション・ステップアップに必要なポイントについて、解説していきました。
「使えない」と言われるケースの中には、新人側に原因があることも珍しくありません。マナーが悪い、勉強もしない、メモもとらない。そのような姿勢で失敗をしてしまうから、責められてしまうのです。
この記事を参考にして、新人薬剤師としての姿勢として問題がないか、自分自身を見つめなおしてみましょう。
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また、どうしても「接客が苦手」「人と関わらない仕事がいい」という薬剤師がいましたら、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。