薬剤師の結婚相手として多いのが、同じ薬剤師です。かくいう私も薬剤師であり、お相手も薬剤師です。そのためか「生活は余裕だね」とか「お金には困らないね」と周りから言われることがたびたびあります。
しかし本当に薬剤師どうしのカップルや夫婦なら安泰と言えるのでしょうか?ここでは気になる薬剤師夫婦の世帯年収の実際や、社内恋愛しやすい職場、薬剤師どうしで付き合うとどういう生活が待っているのかなどをご紹介します。薬剤師どうしの実際をリアルにお届けします!
この記事の目次
薬剤師同士のカップル・夫婦って多いの?
冒頭で薬剤師の結婚相手として多いのは薬剤師であることに少し触れました。あなたの周りにも薬剤師どうしでくっついているカップルや夫婦はいないでしょうか?「そういえばあの夫婦も薬剤師どうしだなぁ」なんて思い当たる方もいるでしょう。
薬剤師のうち、どれくらいの方が薬剤師どうしてカップリングしているのかを見てみましょう。社内恋愛しやすい職場もご紹介していきます。
結婚した薬剤師の約30%は薬剤師同士!
DI Onlineが調査した結果によると、薬剤師が薬剤師と結婚している割合は31.7%とのことです。薬剤師カップルのおよそ3組に1組は薬剤師どうしだと言えますね。
その他、薬剤師以外の医療従事者である看護師や医師などと結婚している方が14.1%、医療従事者ではない方と結婚している割合が残りの約50%を占めました。つまり薬剤師の約50%が、薬剤師を含めた医療従事者と、残り約50%がそれ以外の方と結婚していることになります。
薬剤師との出会い方
薬剤師はどうやって結婚相手を見つけているのでしょうか。大学を卒業して働き始めてみるとわかるのですが、薬剤師って意外と出会いがありません。そもそも薬剤師の6割ほどは女性です。
男性からすれば多くの女性と会えるチャンスとも言えますが、女性からすればそのまったく逆です。私が働いていた職場では薬剤師6人のうち5人が女性でした。ではどうやって結婚相手を見つけているのか、結局は学生のときに付き合ってそのまま結婚したとか、職場で出会って結婚したというケースが多いのです。
ストレートで薬学部に合格し、留年や国試浪人することなく薬剤師になれたとしてもすでに24歳。ちょっとでもタイミングを逃せば結婚の機会が遠のいてしまいます。
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社内恋愛しにくい職場としやすい職場
結婚のことについて考えている薬剤師からしたら、どこの職場なら社内恋愛をしやすいのかも気になるところです。薬剤師の就職先として人気の調剤薬局、病院、ドラッグストアの3か所について社内恋愛のしやすさを見てみましょう。
調剤薬局
まずダントツで社内恋愛が厳しいと思われる職場は、調剤薬局です。調剤薬局にいるのはほぼ薬剤師か事務さんだけ。先述したように薬剤師は女性が多い職種ですので、女性薬剤師か事務さんとしか出会うきっかけがありません。
事務さんも女性ばかりですので、調剤薬局で出会いを求めるのはかなり難しいでしょう。
病院
いろいろな医療従事者と出会う可能性があるのは、やはり病院です。医師と出会うことを目的として病院に就職する薬剤師もいるとかいないとか。医師とめでたくゴールインしたという話は残念ながら私の周りでは聞いたことがありませんが、看護師と出会って結婚した薬剤師はちらほらいます。
大きな病院に勤めれば薬剤部にも男性薬剤師が何人もいますので、薬剤師同士での出会いも期待できるでしょう。なお病院勤務は、残業が多く当直もあることから、結婚した女性薬剤師はどんどん辞めていきます。
そのためか、病院実習でお世話になった病院の薬剤師さんたちは、長く勤めている方ほど未婚の方が多いように感じました。
ドラッグストア
ドラッグストアに就職してくるのは薬剤師だけではありません。これから登録販売者を目指す高卒の方も多く入社してきます。大手のドラッグストアだと毎年200人近くも入社してくるので、出会いの場として最高なのではないでしょうか。
一緒の時期に働き始める同期が多い上に、店舗の異動によってさまざまな方とお仕事をすることになるのでその中で恋が芽生えることは珍しいことではありません。
薬剤師どうしが付き合い始めることも多いですし、男性薬剤師が高卒の若い子と仲良くなって付き合い始めることもあります。高卒×薬剤師の組み合わせはとても多かったですね。
社内恋愛しやすいのは病院・ドラッグストア
職場によってもちろん状況は違いますが、病院やドラッグストアだと社内恋愛がしやすいでしょう。調剤薬局はちょっと難しいんじゃないかなと思います。大手の職場ほど社員の人数が多いので、職場での出会いを求めている方は大手企業に就職するとよいでしょう。
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薬剤師どうしのカップル・夫婦の日常あるある
約30%の方が薬剤師どうしで結婚しているわけですが、薬剤師どうしで結婚するとどのような日常生活が待っているのでしょうか。私の経験を少しお話します。
ちょっとした疑問をすぐに聞ける
自分も相手も薬剤師なので、仕事でわからないことがあったらすぐに聞けます。最近では「アスピリンの腸溶錠って粉砕していいの?」、「嚥下障害がある患者さんにこれだけの量の薬を処方する意味ってあると思う?」といった会話がありました。
他には「薬剤師届出票の提出忘れないようにね!」、「一包化しすぎて親指が痛い」といった会話もあります。ちょっとした薬剤師のつぶやきを聞いてくれる相手がいるって意外といいものです。
相手の勤務パターン次第ではなかなか会えない
調剤薬局どうしの場合はよいのですが、病院やドラッグストアだとどうしても勤務時間が不規則になりますよね。そのため一緒の家にいるのになかなかゆっくり顔を合わせる時間が取れないこともあります。
彼が朝から夕方まで、私がお昼から夜中まで働くシフトが続いていたときはほとんど家で会話をすることがありませんでした。私が家に帰るころには、彼はすでに寝ていたので、驚くほど会話をしていなかったですね。
一緒にご飯を食べることもできません。休日も合わないので、どこかにお出かけしに行くこともできませんでした。
相手が勉強熱心だと何かと焦る
これまで平凡に働いていた彼が突然、「○○認定薬剤師を取る!」とか、「○○に転職するためにTOEICの勉強を始めた!」とか言い出すと正直焦ります。どんどん学んで薬剤師のレベルを上げていく彼と比較して、私は認定薬剤師などを取るつもりはありませんでした。
「このままじゃ同じ薬剤師なのに差が開いてしまう」と不安になりましたね。いつも近くにいるからこそ、薬剤師の知識の差も顕著に感じてしまいます。
子供の学費を気にしがち
両親が薬剤師だと、必然的に子供も薬剤師という職業に興味を持ちます。実際に薬剤師の親が薬剤師であるケースは多いものです。学生時代の同級生にも親が薬剤師という子が何人もいました。
そうなると「子供がもしも薬剤師になりたいといい出したら、はたして学費を出してあげられるのか」という問題が発生します。私立大だと卒業するまでに1,200万円ほどかかるため、なかなか全額を負担するのは厳しいものです。
薬剤師どうしの夫婦であれば普段の生活でお金に困ることはあまりないかと思いますが、私立の薬学部に奨学金なしで子供を通わせてあげられるかは微妙でしょう。
「子供のために学費を貯めておかないと」といって、貯金に勤しむ薬剤師夫婦もいるため、意外とお金に関して悩むことも多いです。
職場で菌やウイルスを貰いやすい
どこで働いていても、感染症のリスクは高くなります。マスクをしていても、何かを貰ってしまうことは意外と多いです。私はインフルエンザがうつったことがあります。私のお相手もインフルエンザをどこからか貰ってきてダウンしていることがありました。
さらに片方が何かを貰ってくると、それがもう片方にうつることもあるので油断なりません。「何かを貰いやすい」のは薬剤師どうしのカップルや夫婦にはあるあるでしょう。
本の貸し借りができる
お互いに本をたくさん持っているので、「あの本をちょっと読みたいな」となったときに、貸し借りができます。わざわざ買わなくても借りられるのは便利です。
買おうか迷っている本を相手が持っていた場合は「あの本、どうだった?」と感想を聞けるのも良いですね。
薬剤師夫婦が共働きすると世帯年収はいくらになるか
薬剤師が共働きをすると、いくらくらいの世帯年収になるのでしょうか。お金のことはやっぱり気になりますよね。大まかな数字にはなりますが、薬剤師夫婦の世帯年収を計算してみました。
厚生労働省から発表されている賃金構造基本統計調査をもとに計算していきます。
正社員×正社員
薬剤師の平均年収は約550万円です。そのため正社員どうしの夫婦の場合は、単純に2倍して約1,100万円の世帯年収が期待できます。この数字がもっとも現実的な数字でしょう。ただ病院のようにあまり年収が高くないところで働いている薬剤師どうしだと1,000万円には届きません。
逆に年収の高い田舎の調剤薬局や、製薬企業などで働いている薬剤師どうしだと世帯年収は1,500万円前後にまで伸びる可能性があります。
正社員×パート
フルタイムで働いているパートと正社員の組み合わせの場合、世帯年収は1,000万円に届くか届かないかくらいになります。パートの時給を2,000円とするとフルタイム出勤で年収384万円になりますので、1,000万円近くとなるでしょう。
パートをされている方の中にはもちろんフルタイムでない方もいます。週に3回、1日5時間くらいの勤務をしているパートの場合は、年収が144万円になりますので世帯年収としては約600万円くらいになるでしょう。
どれくらいの生活レベルが期待できるか
正社員どうしの夫婦だと世帯年収が1,000円ほどになります。1,000万円と聞くとなんとなく裕福な気がしますが、実は生活レベルとしてめちゃくちゃ高いわけではありません。
奨学金を借りながら大学に通い、借りたお金を返済しながら生活している薬剤師もとても多いので、お金持ちではないけどお金に困らない生活ができる程度でしょうか。
【コラム】薬剤師の嫁を貰うと勝ち組って本当?
「女性の職業の中だと薬剤師は勝ち組」
「薬剤師の嫁が欲しい」
といった声をネットで見かけることもありますが、これについてみなさんはどう思うでしょうか。正直言って、勝ち組かどうかはその人によるとしか言いようがありません。
パート薬剤師でも時給2,000円ほどあるので、子育てをしながらでもある程度の収入が見込めるのは事実です。しかし「薬剤師は高収入」というイメージだけがどうも先歩きしているような気がしてなりません。
薬剤師は大学に6年も通っています。1,000万円以上も奨学金を借りている薬剤師もそこらじゅうにいるものです。
薬剤師という肩書の裏にはたくさんの苦労が詰まっているため、薬剤師の嫁=勝ち組とは一概に言えないのではと思います。
まとめ
薬剤師の結婚相手の約30%は薬剤師です。学生のときからお付き合いをしていてそのまま結婚するパターン、職場で出会って結婚するパターンがあります。調剤薬局のように女性がとくに多く、他の職種の方と出会うきっかけの少ない職場だと、社内恋愛は難しいかもしれません。
薬剤師どうしで結婚すると、ちょっとした疑問もお互いに聞けるので勉強になることも多いです。世帯年収も1,000万円前後にはなりますので、食いっぱぐれることもないでしょう。