かかりつけ薬剤師として活動するために取得するべき資格として、「研修認定薬剤師」があります。
研修認定薬剤師を取得・維持するためには、学会や講演会に出席して単位を集めなくてはなりません。
しかし仕事が忙しい薬剤師にとっては、単位集め、非常に苦労します。
そんなときは、インターネットで講習を受けられる、e-ラーニングを活用してみましょう。
この記事では、薬剤師向けe-ラーニングの中でも人気のある「MPラーニング」について、筆者の体験記も交えてご紹介します。
MPラーニングとは?
まずはMPラーニングの特徴についてみていきましょう。
研修認定薬剤師とは
薬剤師の資格は、一度取ってしまえば更新の必要がありません。そこで免許を取得した後も知識を習得し続けている薬剤師だと証明するのが、この研修認定薬剤師の資格です。
日本薬剤師研修センターの公式サイトには、次のように書かれています。
認定薬剤師とは、研修認定薬剤師制度のもと、倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学及び薬事関連法規・制度など、良質の薬剤師業務を遂行するために、自己研鑽した成果について、一定期間内(新規4年以内、更新3年毎)に所定の単位を取得したと申請した後、認定された薬剤師です。
認定されたことにより、他の医療従事者や患者様からの信頼を高め、常に時代に即した薬学的ケアを行える薬剤師であることを示すことができます。
また、この認定は、免許の更新と同じ効果を期待するものでもあります。
引用:研修認定薬剤師制度とは
また研修認定薬剤師の資格は、かかりつけ薬剤師になるために必要な資格です。昨今ではかかりつけ薬剤師になることで算定を取れるようになったため、かかりつけを取ることがほぼ義務化されている職場も見受けられます。
そのため研修認定薬剤師の資格は、薬剤師なら取っておくべき最低限の資格とも言えるでしょう。
なお研修認定薬剤師を取得する方法については、別の記事で詳しく解説しています。
MPラーニングの特徴
MPラーニングは、公益財団法人 日本薬剤師研修センターが単位申請可能な研修会として認めている、インターネット研修のひとつです。
MPラーニングを総評すると、幅広い領域を網羅したコンテンツであり、利用料金も安いことから、多くの薬剤師さんにオススメできます。
教材コンテンツは株式会社メディセオが企画・制作し、株式会社プロアシストが配信機関としてコンテンツを提供しています。
「メディセオ」と「プロアシスト」の頭文字をとって、MPラーニングという名前がつけられたのですね。
利用料金について
MPラーニングの料金体系は、次のとおりです。
受講のみの場合では12,570円、シールを希望する場合では15,870円となります。
ほとんどの方はシールのために本サービスを利用すると考えられるので、15,870円が基本の料金となりますね。
またすでに研修認定薬剤師を取得済みの方は、シール申請の可能な更新用コースを8,380円で利用可能です。
シール発行の流れは?
MPラーニングのコンテンツは、1つの講義につき30分を目安に作成されています。(ただし、確認テストを除く)
1つの講義で1単位ではなく、3つの講義(合計90分)を受講することで、1単位の受講シールが発行されます。
こちらは日本薬剤師研修センターの指導により、90分の講義を1単位とみなしていることによるものです。
また単位の発行は、自動的におこなわれるわけではなく、その都度の発行申請をおこなう必要があります。
シールの発送時期は、毎月月末を締め日として、翌月の15日前後を目安に発送されるので、タイムラグがあることに注意してください。
MPラーニングの長所・短所
研修認定薬剤師を取得するためのコンテンツとして、さまざまな会社がe-ラーニングを提供しています。
MPラーニングの長所や短所には、どのようなものがあるのでしょうか。
MPラーニングの長所(メリット)
e-ラーニングの中でも料金が安価
MPラーニングの最大の長所といえるのは、利用料金が安価ということです。
同じようなサービスの中には、年間の利用料金が3万円を超えるものや、1単位ごとに数千円が必要なものもあります。
またMPラーニングでは、利用料金の15,580円の中にシールの発行手数料や発送料も含まれているので、追加で費用が発生することもありません。
MPラーニングだけで40単位すべてを取得可能
他のプロバイダーが提供しているe-ラーニングでは、単位申請に使用可能なインターネット研修の単位が、制限されている場合もあります。
これらの場合では、学会や講演会に出席して追加の単位を取得しなくてはならないため、手間や費用がかかってしまいます。
しかしMPラーニングでは、利用できる単位数に制限が設けられていないため、40単位すべてを申請に利用できます。
確認テストが解きやすい
MPラーニングのテストは良心的な問題が多く、講義さえ聞いていれば問題なく正解できるものばかりです。
また正解しなくても答えを確認できるので、復習をおこなう場合にも、講義をすべて見返す必要はありません。
なお確認テストはあくまでも学習に対する確認であるため、合格点は設定されていないということです。
講座数が豊富!
2019年8月時点で、なんと784レッスンが用意されています。そのうち643レッスンはスマートフォンにも対応しているため、通勤時間などを利用しても受講可能です。
このうち29レッスンは研修認定薬剤師の単位発行対象外となっていますが、それでもかなりの数を受けることができます。全部で261単位分のレッスンがあるので、幅広く興味のある分野を学べます。
MPラーニングの短所(デメリット)
コンテンツの視聴時にボタンを複数回押す必要がある
多くのe-ラーニングでは、コンテンツを流しっぱなしにして単位を取得することを防止するために、定期的に「次へ進む」などのボタンを押さなくてはなりません。
MPラーニングでは、コンテンツが細かく区切られているため、30分の視聴時間の間に10~20回程度ボタンを押す必要があります。
講義をきちんと聞いている場合でもこの作業は必要となるため、わずらわしさを感じることがあるかもしれません。
※正直、これ結構面倒です…! 仕様・意義はわかるけど…!
確認テストの回数が多い
他のプロバイダーが提供しているコンテンツでは、90分の講義に対して1回のテストがおこなわれるものもあります。
一方で、MPラーニングでは30分の講義に対して1回のテストがおこなわれるため、1単位を取得するために3回のテストを受けなくてはなりません。
しかし30分ごとに知識の定着を確認できるので、デメリットばかりではありませんね。
コンテンツの作成日が古いものもある
MPラーニングでは、毎月いくつかの新しいコンテンツが追加されています。
しかし古いものでは10年以上前に追加されたものもあるので、学説やデータがやや古いものもみられます。
医療の世界は日々変化しているので、講義だけで完結するのではなく、新しい情報やガイドラインを確認することも重要です。
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【体験レビュー】実際にMPラーニングを登録・受講してみた
ここでは、実際にMPラーニングに登録して、講習を受講した筆者の体験レビューをご紹介します。
なおこちらはすべてスマートフォン(iPhoneXS)を使用して、登録・受講をおこなっています。
まずは購入してみよう!(購入の流れ)
登録は、左上にある「新規受講お申込み」の中にある、「一般の方」からおこないます。
はじめに利用規約の同意画面が出てくるので、「同意する」を選択しましょう。
メインとなる「MPラーニング受講コース+シール取得コース」を購入してみます。
支払い方法として、ここではクレジットカードを利用していますが、郵便払込みにも対応しています。
ID、パスワードのほか、住所や薬剤師登録番号も必要です。薬剤師免許を手元に用意して入力をおこないましょう。
登録後すぐに、支払いリンクの記載されたメールが届きます。
VISAやMaster、JCBなどの主要ブランドであれば問題なく使用できます。
筆者の場合はスムーズに登録が進み、ここまで10分で登録・支払いがすべて完了しました。
受講はどんな感じ?(受講の流れ)
続いて、受講の流れをご紹介します。
MPラーニングはスマートフォンにも対応している講義も多いので、こちらも登録と同様にスマートフォンを使用しています。
スマートフォンを使用する場合では、パソコン用とは異なる専用のフォームが起動します。
MPラーニングでは数多くのコンテンツが用意されているので、さまざまな分野の知識を深められます。
ここでは、「生薬・漢方薬の基礎知識」を履修します。
画面を回転させ、横画面で受講することで大きな画面になります。
聞き逃した場合には、下部の「ノート」をタップすることで、講義の内容を文章でチェック可能です。
1つの章は3分前後の動画となっており、章ごとに再生が停止するので、手動で次の章にすすむ必要があります。
確認テストは、10問構成で、選択式(3~4択程度)となっています。
正答も表示されるので、復習もしっかりとおこなえますね。
MPラーニングでは3講座で1単位となるので、残り2講座を受講することで、1単位の申請をおこなえます。
章を移動する場合の手順も、スマートフォンに比べると軽減されています。
また確認テストの結果画面においては、スマートフォンでは正答だけが表示されますが、パソコン版では該当する講義スライドも表示されます。
間違えた問題の確認をおこなう際にも、は非常に便利ですね。
自宅でパソコンを利用できる環境にある場合には、パソコン版の利用も試してみましょう。
受講を終えた感想は?
ここまで登録と受講を終えましたが、とくにストレスは無く、非常にスムーズに利用できました。
コンテンツの内容においても、あくまで筆者の主観ですが、実践に役立つ内容だと感じました。
利用者目線で気になるポイントとして、確認テストの難易度がありますが、比較的平易であり点数も単位に関係しないため、気楽に受講することが可能です。
一方で、欠点を挙げるとすれば、スマートフォンを利用した場合のブラウザの仕様などは、一部使いにくいと感じることもありました。
シームレスに再生を行えるような専用のアプリなどがあれば、さらに便利になるのではないでしょうか。
まとめ
MPラーニングの特徴や登録方法について、解説していきました。
現在では、研修認定薬剤師を取得したいと考える方は多く、単位申請が可能な学会や講演会の枠はすぐに埋まってしまいます。
希望が折り合わず、なかなか参加できないという方にとっても、e-ラーニングの存在はありがたいものですね。
研修認定薬剤師の単位取得向けに、さまざまな会社がe-ラーニングのコンテンツを提供しています。
会社ごとに特徴があり、料金や研修の条件も異なるので、自分のニーズに合ったサービスを利用することが重要です。
この記事を参考にして、自分に合ったe-ラーニングを見つけてくださいね。