リクナビ薬剤師を運営するリクルートから、「ヤクチエ」というアプリが出ているのをご存知でしょうか?ヤクチエはシリーズとしてアプリが出されており、現在は添付文書、検査票、早見表の3種類がリリースされています。
アプリ上でお薬の情報を簡単に調べられる優れもののヤクチエは、ダウンロードして活用している薬剤師もとても多いです。今回はこのヤクチエのアプリでできること、実際に使って感じたことなどをご紹介していきます。
この記事の目次
薬剤師目線での使い勝手を徹底追求!完全無料で使える「ヤクチエ」シリーズがすごい!
参考:ヤクチエアプリのご紹介|薬剤師の知恵シリーズ【リクナビ薬剤師】
ヤクチエとは「薬剤師の知恵」を意味するもので、リクナビ薬剤師が薬剤師のキャリアを応援するために開発した
完全無料
のアプリなのです。
「ここから先は有料ね…」と、途中からはお金を払えば見れますなんてこともありません。
そのためちょっとした調べ物をするときに活用している薬剤師がとても多いのです。あなたはもう使っていますでしょうか?冒頭でも述べたようにヤクチエのアプリには3つの種類があります。まずはそれぞれについて簡単に特徴を見ていきましょう。
ヤクチエ添付文書
参考:ヤクチエアプリのご紹介|薬剤師の知恵シリーズ【リクナビ薬剤師】
ヤクチエ添付文書は、医療用医薬品の添付文書を簡単に検索できるアプリです。医薬品名で検索できるのはもちろんのこと、識別コードや記号からも添付文書を検索できます。
さらに薬の写真や薬価も表示されるので、添付文書としてだけでなく薬の形状や薬価を知りたいとき、識別コードから薬を判別したいときにも活用できる便利なアプリです。ちなみに添付文書の情報は1か月に1度更新されます。
- 識別コードから医薬品の判別
- 薬の写真
- 薬価
を調べたいときにも使えます。
ヤクチエ検査値
参考:ヤクチエアプリのご紹介|薬剤師の知恵シリーズ【リクナビ薬剤師】
検査値を調べたいこともありますよね。私も薬局で患者さんに「血液検査をしたんだけどこの数字って高いのかしら?」と聞かれたとき、とっさに検査値を思い出せずにあたふたしてしまった経験があります。
そんなときにサッと調べられるのがこのヤクチエ検査値です。1,166にも及ぶ検査項目を網羅しているので、何を検索してもほぼヒットします。
使われる頻度の高い検査値に関しては、わざわざ検索しなくても見られるように早見表としてまとめられているので、スピーディーなアクセスも可能です。
また検査値の基準値以外に、数値に異常があるとどのような疾患の恐れがあるのかなど検査値に関連する情報も充実しています。
ヤクチエ早見表
参考:ヤクチエアプリのご紹介|薬剤師の知恵シリーズ【リクナビ薬剤師】
ヤクチエ早見表は、ステロイドの強度や睡眠薬の効果持続時間、抗ヒスタミン薬の眠気の強度など、患者さんによく聞かれるけど知っていないと答えられないような項目をいつでも確認できるようにしたものです。
ヤクチエ早見表では以下の6つのデータをチェックできます。
- ステロイド剤の強度
- 睡眠薬の効果の長さ
- 抗血小板薬・抗凝固薬の休薬期間
- 後発品と適応が違う先発品
- 降圧剤配合剤の成分
- 抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の眠気強度・運転可否
もちろん、利用は完全無料です。
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ヤクチエシリーズを薬剤師が実際に使用してわかったいいところ・悪いところ
添付文書や検査値、早見表とどれもとても便利そうですよね。ダウンロードしておけば、いつでもポケットから取り出してすぐに調べられるので、現場でも重宝しそうです。ではこれらのアプリの使い心地はどうなのでしょうか。
実際にすべてのアプリを使ってみました。使ってみて感じたアプリのよいところや改善点をご紹介していきます。
ヤクチエ添付文書の実際の使用感
画面を開くとこんな感じです。
「販売名/一般名から検索」と「識別コード/記号から検索」の2通りの方法で検索できます。「販売名/一般名から検索」をタップすると、このように処方頻度の高い医薬品は、検索候補として自動的に出てきます。
ではロキソニン錠の添付文書を調べてみましょう。トップ画面に実際の写真が載っていますね。写真をタップすると拡大表示がされるので、細かく見ることもできます。
一般名や識別コード、薬価、さらには一包化や粉砕の可否まで簡単に見られます。さすがに一包化や粉砕については可否しか記載されていないので、錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブックなみの情報は入手できません。
ちょっと調べたいときには便利かもしれません。左上の目次から禁忌や効能効果など見たい情報に素早くアクセスもできます。
「同成分薬価」をタップすると、同じ成分を含んでいるお薬の薬価がずらっと出てきます。薬価の比較も非常に簡単です。
このように一覧でずらーっと薬の名前が出てくるので、後発医薬品の種類を知りたいときにも便利です。
ちなみにですが、右上にある「PDF」をタップすると、馴染みのあるいつもの添付文書の形でも見ることができます。
ヤクチエ添付文書のオススメポイント
普通の添付文書には載っていない、お薬の写真も見られるのはとてもいいですね。患者さんから「この薬を飲んでいるんだけど、飲み合わせは大丈夫?」と聞かれたときも、しっかり確認しながら情報を調べられます。
写真つきなので患者さんが薬の名前をはっきり覚えていなくても、写真を見ながらの確認もできますね。
とくに病院や調剤薬局のようなパソコンですぐにお薬の情報を調べられる環境でない方は重宝するのではないでしょうか。
聞かれた際はレジ横に置いてある今日の治療薬で調べてお答えしていたのですが、新しい薬は載ってないんですよね。しかも探すのにけっこう時間がかかります。でもヤクチエ添付文書があればスマホ1つあれば簡単にささっと検索が可能。お客様を待たせずに調べられるよいツールです。
ヤクチエ添付文書の残念ポイント
動きももたつくことなく検索できて、非常に使い勝手はよいと感じました。もし可能であればPDFで表示した添付文書を印刷できる機能があると便利かなと思います。添付文書の電子化も進められる流れができているので、ぜひ検討していただきたいところです。
それからお薬の写真を撮って、その写真からお薬の判別ができると、識別コードの入力の手間が省けてより便利だなと思いました。
ヤクチエ検査値の実際の使用感
検査値は、項目名から自分で入力して検索することも可能ですし、分類検索や50音検索などから見たい情報を探し出すこともできます。
一般によく使われる尿蛋白やビリルビン、ヘマトクリットや血小板数などの項目はアプリトップ画面左下の「早見表」をタップすることで簡単にアクセス可能です。
試しにアルブミンを検索してみました。基準値がパッと見てすぐにわかる他、値が高値のとき低値のときとで体がどのような状態になるのかも確認可能です。これは学生さんが調べ物をするときにも便利そうですね。
ヤクチエ検査値のオススメポイント
基準の値だけでなく、値が低くなったり高くなったりしたときの体の状態や、その検査値がそもそも何を示しているのかなどの情報もわかります。そのため検査値の数字だけでなくなぜこの数値を見るべきなのか、数値が何を表しているのかまで学べて便利です。
よく調べる項目に関しては、お気に入りに入れておくことで、検索しなくてもすぐに見られるのもポイント。
ヤクチエ検査値の残念ポイント
膨大な検査項目の中から必要なものを迅速に調べられるとても便利なアプリですが、やはりこちらも印刷できるようになっていると、さらに使いやすいかなと思います。
ヤクチエ早見表の実際の使用感
ステロイド剤の強度、睡眠薬の効果の長さなど6種類のデータを一覧で見られるヤクチエ早見表は、見たい項目をタップしていくことで情報を探すことが可能です。
試しにステロイド剤の強度一覧を見てみます。ストロンゲストからウィークまでそれぞれ一般名やメーカー名、剤形や効能効果などを調べられますね。
右上の虫眼鏡マークをタップすれば医薬品名や「湿疹」「日光皮膚炎」といったワードで情報を絞り出すことも可能です。
一覧表以外にも、ステロイド配合剤の一覧や外用量の目安、各部位の吸収率なども見れますね。
ヤクチエ早見表のオススメポイント
よく聞かれるけど、しっかり答えられるほどには答えられないというようなデータを一覧としてすぐに検索できるのはとても便利!どの一覧表も現場で一度は絶対に聞かれるようなものばかりなので重宝します。
ヤクチエ早見表の残念ポイント
載っている情報はいいのに、肝心の表が見づらいのが最大の残念ポイントです。縦・横にずっとスライドしていかないとすべての情報を見ることができません。
情報量が多いので仕方のないことかもしれませんが、何度もスライドしければ見たい情報にたどりつかないのは不便に感じます。
ヤクチエ添付文書のようにPDFファイルとしても見られるようになっていると、全体像がつかみやすくてよいかもしれません。
ヤクチエシリーズの評判
ヤクチエシリーズは、2017年にはすでにダウンロード数が10万件を突破しました。
シリーズの中でもヤクチエ添付文書について、リクルートが使用者の声を調査していますのでご紹介します。
実際にヤクチエ添付文書を利用する頻度
ほぼ毎日使っている方もいるんですね。週に1度以上使っている方は全体の70.8%となっています。
ヤクチエ添付文書を使ってよかったと思うこと
アプリを起動すればすぐに添付文書の情報を見られるので、わからないことを調べるのに最適です。ついつい後回しにしがちな調べ物も、その場でさっと使えるのは便利ですね。
疑義照会や在宅訪問で活用している方も目立ちます。
在宅訪問時『ヤクチエ 添付文書』を携帯するか
アプリは24時間いつでもどこでも使えることから、在宅訪問時に活用している方が多くいます。
ネットで検索すると文字が読みづらかったり知りたい情報までなかなかたどり着けなかったりするので、アプリは便利ですよね。
参考:インフォメーション|リクルートメディカルキャリア
ヤクチエシリーズの対応端末と使用可能環境
ヤクチエの3つのシリーズをすべて実際に使用してみました。どれも欲しい情報をスマホで簡単に確認できるのでとても便利ですね。
もちろん改善されるともっとよい!という点もありましたが、患者さんに何か聞かれたときのお守りとしてダウンロードしておくのもよさそうです。最後にこのヤクチエのアプリたちがパソコンやオフライン環境でも使えるのか?という点についてご説明していきます。
パソコンからは使用できない
ヤクチエのアプリは残念ながら、パソコンでは使えません。パソコンで使えるのなら、職場のパソコンにダウンロードして使えますが、そうはいかないようです。対応機種はAndroidまたはiOSのみです。
Windowsなどでは使用できませんのでご注意。なおiPadでは使用可能です。
オフラインでの利用も可能
ヤクチエのすべてのアプリは、オフラインでも使えます。電波がつながらないところ、飛行機や新幹線の中でもすべての機能が使用可能です。
ヤクチエで不具合が起こる?
まれにデータが見れなくなるなどの、軽微な不具合が起こっているそうですが今はアップデートにより改善されています。今後も発生する可能性があるかもしれませんが、きちんと修正対応してくれるので問題なく使えるでしょう。
ヤクチエアプリのダウンロード先
以下のURLからダウンロードできますので、気になった方はぜひ実際に使用してみてください。iPhoneの方もAndroidの方も下記のURLからダウンロードページに進めます。
まとめ
ヤクチエのアプリは、無料だとは思えないほど便利なアプリです。以下に該当する方にとくにオススメできます。
- 職場にパソコンがない方
- 在宅医療をしている方
- 患者さんの質問にスピーディーに答えたい方
スマホさえあればオフラインでもすぐにアクセスできるので、ダウンロードしておくといざというときに役立つでしょう。急な質問にも答えられるようになるので、薬剤師のお守りとしても使えますね。
個人的には印刷できたり、一覧表をPDF表示できるともっとよいのかな?と思いました。今後さらに期待です。