他の職場よりも年収が高いことで、少しずつ人気が増してきているドラッグストア。
「ドラッグストアではどんな仕事をするの?」
「OTCのみで働くメリットやデメリットは?」
など、気になることも多いのではないでしょうか。しかし、知り合いの薬剤師にはなかなか踏み込んだ話を聞くのが難しいこともありますよね。
そこでここでは、ドラッグストアで勤務経験のある私が仕事内容や実際に感じたメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。
薬局薬剤師
詳しく薬剤師のアルバイト、平均時給は○○円!時給が高い求人の特徴とは?ドラッグストアは土日・夜間出れる有資格大学院生に人気のバイト
この記事の目次
ドラッグストアは大きく3つの種類に分類される
ドラッグストアで働きたいと思っている方は、まず自分がドラッグストアでどのような働き方をしたいのかハッキリさせておかなければなりません。
なぜなら、ひとくちにドラッグストアと言っても、店舗の形態によって仕事内容がまったく異なるからです。
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OTC専門店
OTC専門の場合はまったく調剤を行わない働き方となります。薬剤師しか販売できない要指導医薬品や第一類医薬品の販売をメインに、すべての医薬品を販売していく業務です。
OTC専門で働くと日用品や化粧品の案内や、レジ業務、その他発注やPOP作りなど仕事内容の幅が広がるのが特徴となります。
調剤併設店(OTCあり)
調剤併設店は大きく2つに分類されます。1つがOTCも扱う調剤併設店です。
私が見たことのある店舗だと、時間帯で調剤をやる時間とOTCの売り場に出る時間を決めている店舗、メインは調剤業務だけどお客様から呼ばれたら売り場にも出ていく店舗とがありました。
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調剤併設店(OTCなし)
調剤併設店であっても、最低限の要指導医薬品や第一類医薬品しか扱わない店舗もあります。つまり業務内容は普通の調剤薬局とまったく同じです。
このような店舗を完全分離型の調剤併設店と呼ぶこともあります。
- OTC専門店→医薬品だけでなく化粧品や日用品とあらゆるジャンルに触れたい方にオススメ。店舗運営について詳しく学びたい方もOTC専門の方が有利に学べます。
- 調剤併設店(OTCあり)→調剤もOTCも経験したいという方に向いています。ただし店舗によってそこまでOTCに触れられないこともあるので注意。
- 調剤併設店(OTCなし)→業務内容は通常の調剤薬局と同じです。完全に売り場と分離されているところであればOTCの売り場に呼ばれることはありません。
ドラッグストア薬剤師の年収はどれくらい?
ドラッグストアは年収が高いとよく言われますよね。いったいどれくらい高いのでしょうか。大手ドラッグストアの新卒での初任給を見てみましょう。
ドラッグストア薬剤師の平均年収
- ウエルシア 約560万円
- スギ薬局 約450万円
- マツモトキヨシ 約450万円~500万円
調剤薬局の初任給が約400万円から450万円、病院だと約350万円から400万円のところが多いことを考えると、いかにドラッグストアの年収が高いのかがわかりますね。
たとえば以下の求人を見てみてください。
参考:マイナビ薬剤師 2020年6月時点
日本調剤は全国に600店舗以上を展開する大手の調剤薬局です。調剤薬局の中でもとても知名度が高いところですが、年収は400万円となっています。
次に以下のドラッグストアの求人も見てみてください。
参考:マイナビ薬剤師
ウエルシアはドラッグストアの中でもとくに年収が高い企業ですね。517~600万円で募集されているので、調剤薬局との差は最大で約200万円にもなります。
奨学金返済のためにドラッグストアを選ぶ薬剤師も多い
年収が他の業種よりも高いことから、奨学金返済のためにドラッグストアを選ぶ方も多いです。奨学金を借りながら大学に通っていた方も多いと思うのですが、借りていた額によっては毎月5万円近く返さなきゃいけないこともあります。
そうなると病院や調剤薬局のお給料では、少し心もとないですよね。だからドラッグストアを選ぶ薬剤師が増えてきています。
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こんな高待遇求人もある!
ちなみにですが、ドラッグストアの中でも地方にあるドラッグストアだと年収が爆上がりする傾向にあります。たとえばこんな求人。
参考:マイナビ薬剤師 2020年6月現在
こちらは島根県にある調剤併設の求人ですね。最大で年収750万円以上も目指せる高待遇求人です。病院や調剤薬局で年収700万円の求人はなかなか見つからないでしょう。
とことん高収入を目指したい方は、地方のドラッグストアが狙い目です。
高待遇ドラッグストア求人が探せる転職求人サイトはここ!
まずはこの3社に登録すれば、情報量は十分です!
登録後は、自分の働き方や悩みを理解してくれて、必要な情報を与えてくれるエージェント・担当者を探しましょう^^
※無資格者の方はご登録いただけませんドラッグストア薬剤師の仕事内容
ではここからは、ドラッグストアの仕事内容についご紹介します。
「ドラッグストアの薬剤師ってレジばかりなイメージ」と思われている方も多いかもしれませんが、意外なほどに仕事は多岐にわたります。
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レジ業務
レジはOTCか調剤併設かは関係なく触れることになります。私が働いていたドラッグストアでは、業務のうち8割くらいはレジでした。
ただし、ただレジをしているわけではないので安心してください。レジ業務兼、お薬の相談に乗るという感じなので患者さんの悩みを聞いて薬を勧める業務も同時にこなしていくことになります。
レジ業務の割合については、配属になる店舗によって大きく異なるものです。レジと言っても医薬品専用のレジしか担当しない店舗、通常のレジにメインで入る店舗、レジ業務ではなくバックヤードでの作業がメインの店舗とそれぞれ大きく違います。
調剤
調剤併設店で働けば、もちろん調剤も行います。することは普通の調剤薬局と同じです。ただしドラッグストアということもあり、要指導医薬品や第一類医薬品を買われる方の対応が多くなります。
また「便秘薬でオススメはどれ?」なども普通に聞かれるので、第二類医薬品や第三類医薬品に関しても対応しなければなりません。
しかし調剤併設店であっても、調剤室とOTCの売り場が完全に分かれている場合は、ほぼ調剤だけをこなしていくことになります。
POP作り
ドラッグストアに買物に行くと、必ずPOPがついていますよね。必要に応じてそうしたPOPの制作も行います。これはOTC専門店で働く方が主に行う仕事です。
広告が入ったりセールになったりするたびに新しくPOPを作る必要があるので、想像しているより大変なもの。一人でPOPを作るとなると丸一日かかることも。
手書きで作るときもありますし、パソコンでソフトを使って作るときもあります。
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売り場作り
こちらもOTC専門店の方が行う仕事ですね。季節ごとに見せる商品は異なります。冬ならホッカイロや風邪薬、夏なら制汗剤や虫さされをよくお店で見かけますよね。
その時期に応じて売れる商品、売りたい商品が異なるので売り場もその都度変えていく必要があります。
これもなかなか大変な仕事で、丸一日かかっても終わらないことだって珍しくありません。
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発注
意外と難しいというかセンスが必要になるお仕事がこの発注。とくにOTC専門店での発注はとても大変です。
日々の売上個数を商品ごとにしっかり把握していないと在庫が過剰になったり、逆に欠品してしまったりします。
お店の売上にも大きく関わるので手を抜けない仕事です。私はなかなか発注がうまくならず、よく近場の店舗に在庫を借りに行っていました。
自分の発注ミスによって在庫がなくなり、機会ロスするとかなりの罪悪感があるので本当に神経を使うお仕事です。
調剤併設店だと店舗ごとに発注ルールが決められているのでまだやりやすいと思います。私がいた調剤併設店では、1箱開けたら1箱発注するというルールだったのでとても楽でした。
お店の数値管理
ドラッグストアは売上と粗利を非常に重視する職場です。そのため日々、お店の数値を追いかけていく必要があります。
先日の売上はいくら?今月の売上はいくら?目標の売上を達成するには1日にいくら売ればいい?と毎日細かく計算しなければいけません。目標の売上や粗利を達成できるように数値の管理も欠かせないものです。
OTC専門店で働くメリットとデメリット
ドラッグストアには調剤併設店とOTC専門との2つの働き方があります。まずはOTC専門で働くメリットとデメリットを見ていきましょう。
OTC専門店で働くメリット
OTC専門店にはここでしか経験できないことがたくさんあります。その経験が主なメリットとなるでしょう。
自分で考えてお薬をお客様に提案する力がつく
私が実際にドラッグストアで働いていて感じたメリットは、この自分で考えてお薬を提案できる力が身につくというものです。OTC医薬品を買いに来られる方は処方せんを持っていません。
お客様の症状を自分でヒアリングして、自分でピッタリのお薬を選ぶ必要があります。これは調剤薬局や病院だとできない経験ですよね。
私は調剤をするよりも、お客様の相談にのってお薬を提案するお仕事のほうが楽しいと感じました。「処方箋通りにお薬を渡すのではなく、自分でお薬を選びたい」と頭の片隅に少しでも疑問を持っている方なら楽しくお仕事ができると思います。
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健康食品や化粧品など多くの商品に触れられる
健康食品や化粧品などにも触れられるのは、OTC専門の楽しみでもありますね。
驚くほどたくさんの商品に触れられるので「こんな商品もあったんだ!」といった発見もよくあります。医薬品だけでない幅広い知識の習得が可能です。
出世が早い
一概に言えることではないのですが、調剤併設店よりもOTC専門の方が出世が早い傾向にあります。OTC専門の方が自分の実力がお店の数値として可視化されやすいためです。
OTC専門店で働くデメリット
ではデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
医療用医薬品を勉強できない
OTC専門だと処方せんを扱いません。そのため医療用医薬品の知識を思うように習得できないデメリットがあります。
「せっかく薬剤師になったのに調剤をしないなんて…。」と、これを理由にドラッグストアを遠ざける方も多いです。
私自身もOTC専門のドラッグストアで働いていたので、同じようなことを悩んでいました。でも結局はどこで働こうが勉強するかしないかはその人次第。
病院や調剤薬局と比べると勉強しにくい環境ですが、ドラッグストアでも引けを取らず知識豊富な薬剤師はたくさんいますよ。
とはいえ忙しくてなかなか勉強時間を確保しにくいので、私はTwitterで情報を発信している薬剤師をフォローして最低限の知識だけ日々追っていました。
販売ノルマがある
常に利益と粗利を追い求めるドラッグストア。そのために販売ノルマがあります。売れ行きがよくないと店長からお叱りを受けることも。
私は「なんでこれだけしか売れてないんだ!」とこっぴどく怒られたことがあります。
薬剤師以外の仕事が多い
レジ業務や売場作りなど、薬剤師の資格を持っていなくてもできる仕事もたくさんあります。むしろ薬剤師以外の仕事の方が多いかもしれません。
調剤併設店で働くメリットとデメリット
次に調剤併設店で働くメリットとデメリットを見ていきましょう。普通の調剤薬局とは何が違うのかが気になるところですね。
調剤併設店で働くメリット
まずはメリットから見てきましょう。
調剤とOTCの両方を経験できる
調剤併設店の場合、調剤・OTCのどちらも経験できます。どっちもやってみたいという人にはぴったりですね。
ただし店舗によっては調剤併設になっていても、薬剤師は調剤だけと完全に業務が分割されているところもあるので要注意。
調剤だけの場合でも普通の調剤薬局で働くより給料が高い
調剤併設店で働く場合、調剤だけする場合と調剤とOTCの両方をする場合があります。たとえ調剤だけの店舗で働いたとしても給料は調剤薬局よりも高め。
調剤をしながら一般の調剤薬局の給料よりも高い額を貰えます。
さまざまな科目の処方箋に対応できる
ドラッグストアでは定期的に異動があります。そのため就職した後も何度か働く店舗が変わることが少なくありません。そのため数多くの科目に触れられる機会があります。
調剤併設店で働くデメリット
次に調剤併設店で働くデメリットを見てみましょう。
調剤よりもOTC業務を多くさせられることがある
店舗によるところではあるのですが、調剤併設店であってもOTC業務を長くさせられることがあります。調剤をやりたいと思っている方にとっては大きなデメリットです。
同じ店舗で何年も働くのは難しい
ドラッグストアは非常に多くの店舗を経営しているため、異動が多いです。同じ店舗に何年も配属されたままというのはレアなケース。
数ヶ月おきに異動になることもあるので、長く同じ職場で働きたい方には向いていません。
一般的な調剤薬局よりも残業が多い傾向にある
これも店舗によるところはありますが、残業が多い店舗を多く見かけます。毎日1時間~2時間ほど残業している方も実際に見かけました。
中には定時で帰っている方もいましたが、配属店舗によっては残業続きとなる恐れがあります。私の知人は定時で帰れることの方が少ないと嘆いていた薬剤師もいました。
しっかり自分の希望を伝えておかないと、やりたいことができない店舗に配属されてしまうことも。
ドラッグストアでの勤務に向いている薬剤師とは?
ドラッグストアの業務は病院や調剤薬局と比べると、一味違います。向き不向きがわかれやすい職種ですので、自分に合うかどうかをチェックしてみましょう。
自分で考えて行動するのが好きな方
ドラッグストアでは常に「どうすればもっと良くなるのか」を考えて仕事をする必要があります。
- 売上を伸ばすには?
- 売りたい商品を手に取ってもらうには?
- 粗利を上げるには?
- 時間までに仕事を終わらせるためには?
- どこにどの商品を並べると売上につながる?
毎日がちょっとした実験の繰り返しです。解決策の提案→実行→改善というプロセスを繰り返しながら数字の変化を追うことが好きな方には、とても向いている仕事でしょう。
勤務時間が不規則でもOKな方
調剤がメインの調剤併設店であれば毎日ほぼ決まった時間に帰れますが、OTC専門やOTCありの調剤併設店だと日によって勤務時間が大きく異なります。私の場合は朝8時から仕事のときもあれば、14時からのときもありました。
家に帰り着くのが夜中になってしまうこともあります。
「ドラッグストアは給料が高いけど、帰りが夜中になるのはムリ」と言ってドラッグストアを敬遠する薬剤師もいるので、不規則な勤務で体が耐えられるかどうかはよく考えておきましょう。
レジ業務が多くても苦痛にならない方
店舗によっては、ほぼ丸一日レジ業務になります。とくに社員数が多く売上の大きなドラッグストアほど薬剤師はレジ固定のことが多いです。
ひっきりなしに要指導医薬品や第一類医薬品を購入されるお客様がレジに来るので、そもそもレジから出ようと思っても出られません。少しでもレジから出ると「一類です~!」と他のスタッフに呼び戻されてしまいます。
逆に規模が大きくなく社員が1~2人しかいない店舗であれば、レジに入らずその他の業務をしなければいけないのでむしろレジに入る機会は少ないです。
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休日が固定されなくても大丈夫な方
土日祝日が休みとなることが多い病院や調剤薬局とは違い、ドラッグストアの休日は完全にランダムです。シフトが出るまでいつが休みになるかわからないので、予定を立てにくいと感じることがあります。
しかも土日祝日は来客数が増えるので休みになる確率は低いです。いつ休みになるか予想がつきにくいはドラッグストアのデメリットかもしれませんね。
ただし平日の休みも悪いものではありません。どこに出かけても混雑していないので、買い物や観光はしやすいですよ。
ドラッグストアで希望通りの働き方をしたいなら転職サイトを活用しよう
ひとまとめにドラッグストアと言っても、OTC専門店なのか調剤併設店なのかで仕事内容が大きく異なります。また調剤併設店であっても、まったくOTCを扱わないところから、OTCもバンバン扱うところまでさまざまです。
「OTCも勉強したかったのに調剤しかできない店舗に配属になってしまった」となってしまったら、とてもじゃないですけどやる気を維持することは難しいですよね。
こうならないために、ドラッグストアに転職する際は必ず転職サイトを利用しましょう。
転職サイトを使うことで自分がどういった店舗でどのような仕事をしたいのか、希望をしっかり汲み取ってもらった上で求人を紹介してもらえるのでミスマッチが起こりにくくなります。
オススメはマイナビ薬剤師
薬剤師転職サイトにはいくつもの種類がありますが、ドラッグストアを目指すならマイナビ薬剤師がオススメ。なぜなら圧倒的にドラッグストアの求人数が多いからです。
マイナビ薬剤師では非公開求人を除いても19,831件(2020年6月現在)のドラッグストア求人があります。ドラッグストアの求人数が少ないところだと2,000~3,000件ほどしか扱いがないことを考えると、マイナビ薬剤師の求人数がいかに多いかがわかりますね。
希望の店舗を探すには求人の母数が多いに越したことはないので、ドラッグストアの求人を多く扱うマイナビ薬剤師をぜひ活用してみましょう。
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まとめ
ドラッグストアは、調剤薬局や病院とはまったく異なる業務が多く待ち受けています。さまざまな業務をこなしていくことがメリットに感じる方もいれば、デメリットに感じる方もいるでしょう。
好みが大きく分かれる職種と言っても間違いありません。しかし合う方にとっては、とても楽しい職場でもあります。
ドラッグストアは、高年収が目指せてさらにさまざまな業務に関われることが特徴です。とくに自ら考えて患者さんに合う薬を提案したい方にはピッタリだと言えます。
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