「薬剤師として自衛隊で働くことに興味があるけど、仕事内容がいまいちつかめない」
「どうやったら薬剤官になれるのかを知りたい」
自衛隊で働いている薬剤師は数が多くないので、気になることがたくさんあるでしょう。
ここでは薬剤官になる方法から仕事内容、年収について詳しくご説明します。
薬局薬剤師
この記事の目次
自衛隊組織で働く薬剤師(薬剤官)の特徴
自衛隊でも薬剤師が働くことができます。薬剤官という仕事はあまり身近でないため、知らない方も多いかもしれません。
自衛隊の薬剤師は公務員として扱われます。公務員であるため福利厚生は民間の企業よりも充実していることが多く、休日もカレンダー通り休めることが多いです。
自衛隊薬剤官として働くメリット・デメリット
自衛隊と聞くとなんだか仕事が大変そうなイメージがありませんか?簡単に薬剤官として働くメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット
- 公務員として働けるので給料が保証されている
- 病院薬剤師と同じような働き方もできる
- 体力作りができる
薬剤官は国家公務員です。そのため急に年収が下がったり業績不振だから給料が振り込まれない…といったことはありません。退職金も民間と比べるとかなりの金額が貰えます。
公務員なので共済年金にも加入できますね。まれにですが自衛隊が運営している自衛隊病院に配属されることもあります。
自衛隊病院に配属されれば一般的な病院薬剤師と同じようは働き方も可能です。薬剤師とはいえ訓練も受ける必要があるため、体力作りもできます。
デメリット
- 薬剤師国家試験以外に公務員試験に合格する必要がある
- 海外への異動もある
- 薬剤官として実際に働けるまで時間がかかる
- 転勤が多い
薬剤師国家試験だけでなく公務員試験にも合格しなければなりません。薬剤師国家試験の勉強だけでも大変ですが、そこにさらに公務員試験ものしかかってきます。
異動も多い職種であり、時には海外で働くことになる可能性も。また薬剤官になるためには薬学部を卒業してから少なくとも3年はかかります。自衛隊に入ってからもしばらくは訓練が続くためです。
転勤が多いのも大きなデメリットでしょう。住宅手当や異動手当が支給されるものの、頻繁に転勤があるので1つの地域にとどまって働きたい方には向きません。
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自衛隊の薬剤師の仕事内容
薬剤官の仕事は他の薬剤師と比べると少々毛色の違う仕事です。
自衛官の健康管理
薬剤官は自衛隊で働く方の健康管理を行うのが主な仕事。自衛隊は海外で働くこともあるのですが、衛生状況の悪いところに行くと体調を崩してしまうことがあります。
体調を整えるために医薬品を選んだり、医薬品の在庫を切らさないように調整することも必要です。
自衛隊病院に配属されたら病院薬剤師と同じように調剤や服薬指導などの業務を行っていきます。
責任感や判断力が求められる
- 責任感
- 正しい判断力
薬剤官の判断1つで隊員の体調を管理できなくなることもあります。必要なお薬はどれなのか、在庫を切らさないためにはどうしたらいいのかを考えて行動することが必要です。
お薬の在庫状況がよくない場合は、同種同効薬で対応することもあるでしょう。
薬剤師としてのスキルに加え責任を持って業務にあたること、とっさのときでも正しい判断ができることが必要です。
自衛隊の薬剤師になるまでに必要なこと
薬剤官になるための流れは以下の通りとなります。
自衛隊幹部候補生の応募資格を確認
- 20歳以上28歳未満で大学を卒業、または卒業見込みの者
- 日本国籍を有する者
他にも細かい応募資格がありますが、犯罪を犯していなければ関係ないものばかりですので重要なのは上記の2つです。
応募できる年齢が決まっているため、薬剤官を目指せる年齢にはリミットがあるので注意です。
また日本国籍を持っていない方は受験できませんので注意してください。
また第二次試験にて行われる身体検査では、以下の項目をクリアする必要があります。
※画像をタップすると拡大できます。
(参考:自衛隊幹部候補生採用案内)
基準を満たさない項目がある方も残念ながら薬剤官になることはできません。
薬局薬剤師
実質チャレンジできるのは24~28歳の4年間
募集要項には20歳以上28歳未満と書かれていますが、薬学部は6年制なのでストレートに卒業しても24歳です。そのため実質24~28歳になるまでの期間しか受験できません。
地方協力本部の情報をチェックする
自衛隊には、未来の自衛官をスカウトする部署である地方協力本部と呼ばれるところがあります。各都道府県に設置されているので、薬剤官を目指す方はぜひ自分が住んでいる地域の地方協力本部のサイトをチェックしておきましょう。
ここでは東京の地方協力本部のサイトを見てみます。サイトにアクセスしてみると、採用情報や各職種のについての情報が掲載されています。
「薬剤官になりたいけど、どうやったらなれるの?」と悩んでいる方のために、個別相談も行っているようです。
薬局薬剤師
自衛隊幹部候補生でもきつい訓練が必要
自衛隊幹部候補生の教育カリキュラムを見てみてください。
※画像をタップすると拡大できます。
(参考:海上自衛隊)
見てわかる通り、非常に厳しい訓練が待っています。薬剤官とはいえ、訓練は避けて通れない道です。
最初の1年は戦技訓練や戦術、実技などを学んでいきます。自衛隊幹部候補生の寮で集団生活をしながら厳しい訓練に耐えなければなりません。
これが終わると再び約1年間、薬剤実務研修を受けなければなりません。薬剤師として自衛隊に入っても体力的にきつい訓練は必ず受ける必要があります。
自衛隊の薬剤師は高年収!
狭き門をくぐりぬけ、過酷な訓練を耐えた方だけがなれる薬剤官。なるのが大変ということもあり薬剤官の待遇はとてもよいです。
年収は650万円
薬剤官の年収は約650万円です。多くの薬剤師が年収500~600万円ほどで働いていることを考えると、高い年収であることがわかります。
福利厚生も充実
自衛隊幹部候補生の募集ページを見てみると、福利厚生として以下のものが記載されていました。
- 防衛省共済組合施設(宿泊、野球場、テニスコートなど)
- その他提携している保養施設
- 会員制リゾート
- 会員制スポーツクラブ
- 貯金事業
- 貸付事業
- 物資販売事業
テニスコートやスポーツクラブを割安で利用できるようです。自衛隊らしい福利厚生ですね。
また薬剤官は公務員ということもあり、週休二日制や夏期特別休暇なども完備されています。
薬剤科幹部候補生のキャリアアップ
海上自衛隊のキャリアアップを例に見てみましょう。
※画像をタップすると拡大できます。
(参考:海上自衛隊)
自衛隊には階級制度があります。入ってすぐは曹長です。そこから3尉→2尉→1尉→3佐というように階級が上がっていきます。
修士課程を卒業した薬剤師だと3尉を飛ばして曹長から2尉に上がることが可能です。修士卒の方が昇給は早くなります。階級が上がると年収も上がる仕組みです。
※画像をタップすると拡大できます。
(参考:海上自衛隊)
まとめ
薬剤官は薬剤師の仕事ではあるものの厳しい訓練が必要なため、体力に自信のある方に向いている仕事です。
受験できる年齢が制限されている他、身体検査にも合格しなくてはいけないため、薬剤官になるのは狭き門と言えます。
とはいえ薬剤官の平均年収は約650万円と多く、福利厚生も整っているのが特徴です。
気になる方は自衛隊幹部候補生の募集ページから電話でも問い合わせができますので、一度仕事について相談してみるのもよいでしょう。