「指導薬剤師」や「認定指導薬剤師」と略されることもある認定実務実習指導薬剤師。
何かしら認定資格を取りたいと考えている薬剤師がまず挑戦しやすいのがこの認定実務実習指導薬剤師の資格です。
しかしどうすれば認定実務実習指導薬剤師になれるのか、どういった役割が期待されているのかお悩みの方もいるでしょう。
そこで今回は、認定実務実習指導薬剤師の取得方法や期待される役割をご説明していきます。
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この記事の目次
認定実務実習指導薬剤師は実習生の受け入れ指導に特化した資格
薬学生は5年生になると病院と薬局にそれぞれ実習をしに行きますよね。
この実習に来た薬学生の指導をするのに特化した資格が、認定実務実習指導薬剤師です。指導医の薬剤師バージョンとも言えるでしょう。
資格を持っていることで、薬学生の指導を安心して任せられる薬剤師であることを証明できます。2005年から実施が始まり、現在は日本薬剤師研修センターが認定を行っている資格です。
認定実務実習指導薬剤師の資格ができた理由
薬学部が6年制になってから、学生は病院や薬局での実務実習が義務となりました。そのため実習に来た学生を指導する薬剤師が必要になります。
認定実務実習指導薬剤師は、6年制の薬学生に対してカリキュラムにそった指導ができる薬剤師を育成するために作られた資格です。
次世代の薬剤師を育てる
実習にやって来た薬学生の指導にあたるということは、次世代の優秀な薬剤師を育てることでもあります。
ここで実習生に何を教えられるか、どういった対応を取るかで実習生の将来像が変わってしまう可能性も否定できません。
また実習は薬学生がはじめてリアルな現場で薬剤師という仕事に触れる機会でもあります。
つまり実習生にとっては指導薬剤師がもっとも身近で、しかも薬剤師の鏡としても受け取られる存在なのです。
ここで「指導薬剤師とうまくいかなかったから…」という理由で目指していた職場を辞めてしまう薬学生がいることも事実です。
実習生がここで実習をしてよかった!こんな薬剤師になりたい!と思えるような指導をすることが求められます。
自信を持って薬学生に対応できる
実習生の指導は想像以上に大変です。どこまで指導すべきなのか、どういったことを実習で教えるべきなのかスケジュールをしっかり立てて指導にあたる必要があります。
認定実務実習指導薬剤師の取得に必要な講習では、学生の指導方法や実習のカリキュラムについても学べるため、自信をもって薬学生の指導にあたることが可能です。
ただし認定実務実習指導薬剤師の資格がなくても実習生の指導は可能
認定実務実習指導薬剤師の資格を持っていれば、自信を持って学生を指導できます。
そのため実習生の受け入れをしている職場で働いている方、今後受け入れの可能性がある方はぜひ取得しておきたい資格です。
1つの職場に1人は認定実務実習指導薬剤師を持った薬剤師がいることが望ましいと言われています。
しかし認定実務実習指導薬剤師の資格がないからといって実習生の指導ができないわけではありません。あくまでも優秀な薬剤師を育てるためにあると有利な資格という位置づけです。
認定実務実習指導薬剤師の取得方法
では認定実務実習指導薬剤師の資格を取得するためには、どのようなステップを踏めばよいのかをここからがご説明していきます。資格取得までの大まかな流れは以下の通りです。
認定に必要な条件を満たす
認定実務実習指導薬剤師になるには、以下の条件をクリアしていないといけません。
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- 実務経験
薬剤師としての実務経験が5年以上あることが条件となります。なお6年制大学を卒業した薬剤師は、3年以上(1週間あたり3日以上勤務かつ20時間以上従事)の経験があればOKです。ただし学生時代に行ったアルバイトなどは実務経験に加算できません。
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- 勤務状況
継続して3年以上、薬剤師として勤務している必要があります。また勤務地は病院もしくは調剤薬局でなければなりません。
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- その他あると望ましい条件
病院勤務であれば院外処方を推進しているところ、調剤薬局であれば健康サポート薬局の基準と同等の体制を持っていることなどが望まれます。
ワークショップ・講習会への参加
ワークショップは毎月全国で開かれています。大学が会場となることが多いです。また講習会への参加も必要となります。
ワークショップの詳細は「2020年度 認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップ(薬学教育者ワークショップ) 開催一覧」から確認できますので、こちらでご確認ください。
内容はワークショップによって異なり、講義を受けたりディスカッションをしたりします。積極的な発言が必要となるワークショップもあるようなので、人前で話すのが苦手な方は少し緊張するかもしれません。
認定の申請時にワークショップの終了証と講習会の受講証が必要となるので、なくさないようにしましょう。
認定申請
申請には以下の書類が必要です。
- 申請書
- ワークショップの修了証
- 講習会の受講証
- 履歴書
- 薬剤師免許証の写し
- 認定通知用の通常はがき
- 認定申請料振込明細の写し
申請書はこちらのページからダウンロードできます。申請に必要な履歴書は、様式が指定されていますので、指定のものを使用してください。
※タップすると画像を拡大できます。
(ダウンロード先:認定実務実習指導薬剤師の新規申請)
申請料として税込5,500円の振込が必要となります。振り込んだ際の明細の写しが必要になるのでこちらもなくさないように注意しましょう。
認定実務実習指導薬剤師は更新が必要
認定実務実習指導薬剤師の資格は取りっぱなしの資格ではなく、更新が必要です。認定証の発行から6年間が認定の有効期間となります。
更新に必要な条件
更新をするためには以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 認定期間中に薬学生の指導実績が1例以上あること
- 現在、薬剤師として働いていること
- 認定期間中に3年以上、病院か調剤薬局で働いていること
- 更新申請をする直近の1年以上、病院か調剤薬局で働いていること
- 更新に必要な講習を受講していること
更新の手続きに必要なもの
更新の手続きに必要なものは、はじめに認定実務実習指導薬剤師の申請をしたときとほとんど同じです。
- 更新申請書
- 更新講習の受講証明書
- 履歴書
- 返信用通常はがき
- 更新申請料振込明細の写し
更新申請料は新規の申請時と同じく税込5,500円かかります。
認定実務実習指導薬剤師を取得するメリット
認定実務実習指導薬剤師に資格がなくても、実習生の指導をすることはできます。その中であえて認定実務実習指導薬剤師を取得するメリットとは何でしょうか。
今後のキャリアに活かせる
実習機関には1人以上の認定実務実習指導薬剤師がいることが望ましいとされています。そのため資格を持っていれば転職のときのアピールとしても使えるでしょう。
実習を受けた職場にそのまま就職する薬学生もいるため、よい指導ができることは企業にとってもプラスとなります。
年収アップのためではなく、薬学生の指導に有利な資格として見ておきましょう。
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自分自身の勉強にもなる
薬学生は薬剤師の卵ではあるものの、まだ薬剤師ではありません。あくまで薬学部に通う学生です。そのため実習中にわからないことがあったらバンバン質問してきます。
薬剤師が回答に困ってしまうような質問も多いです。これから薬剤師を目指す学生の指導をすることで、自分自身も薬の知識を付けていくことができます。
コミュニケーション能力が磨かれる
学生に指導をしていくうちに、コミュニケーション能力も向上していきます。指導薬剤師として活動する以上は薬について教えるだけではなく、うまく指示してピッキングや服薬指導も行ってもらわないといけません。
指導や指示の仕方を学べるので、後輩の指導にも役立てられるでしょう。
もっとも取りやすい認定薬剤師の資格
認定に必要な条件を満たし、ワークショップと講習会に参加するだけで取得できる認定資格です。試験も論文発表も必要ありません。
そのため、薬剤師の認定資格の中でももっとも取りやすい資格であるといえます。何か認定資格を取りたいと考えている薬剤師にぴったりです。
認定実務実習指導薬剤師にこれから期待されること
比較的簡単に取得ができる資格ではありますが、認定実務実習指導薬剤師はこれからも必要とされていく資格です。
取りやすい資格といえば、研修認定薬剤師の資格もありますね。
医療現場で活躍できる薬剤師の育成
指導薬剤師の人当たりや能力が薬学生に与える影響は侮れません。
薬剤師の鏡となるような指導力と知識がある指導薬剤師にあたれば「こんな薬剤師になりたい」と思ってもらえるでしょう。
一方で実習生を作業要員としてしか見ずに扱う実習先にあたると「こんな薬剤師にはなりたくない」と思われてしまいます。
指導にあたる薬剤師の腕が、そのまま今後の薬剤師の活躍に影響すると言っても過言ではありません。これから活躍していける薬剤師を育成することが期待されています。
薬学生に「薬剤師の仕事の楽しさ」を知ってもらう
実習中に担当になった指導薬剤師次第で薬学生が「薬剤師の仕事は楽しくない」と思ってしまう可能性もあります。
実習に不適切な薬局だと判断され、実習生の受け入れができなくなるケースも実際にありました。
薬学生が実習先の薬剤師から嫌がらせを受けたという話もあります。こんな実習先を増やしてはいけません。
これから薬剤師になろうとする学生に薬剤師の楽しさを知ってもらえるような指導が必要とされています。
まとめ
認定実務実習指導薬剤師は実習に来た薬学生の指導ができると証明する資格です。条件を満たせばワークショップと講習会に参加するだけで取得できます。
残念ながら取得しても年収に大きく影響する可能性は低いですが、未来の医療を担う薬剤師の育成に関わりながら自分自身も薬剤師として成長していける資格です。
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