薬剤師の転職理由ってご存知ですか?スキルアップしたい、年収を上げたいという理由と同じくらい、実は人間関係に悩んで転職される方も多いのです。
女性が多い薬剤師ならではのいざこざだけでなく、モラハラやパワハラ、セクハラに悩んで転職してしまう方もいます。
今回は実際にあったパワハラやセクハラの事例を見ながら、自分が被害者になってしまったときの対策方法などを見ていきましょう。
この記事の目次
モラハラ、パワハラ、セクハラの違いを知ろう
「◯◯ハラ」という言葉はたくさんあります。人を困らせるという意味の「ハラスメント」にさまざまな言葉をくっつけたものです。
総じて悪い意味をもつのですが、それぞれの言葉の意味をご存知でしょうか。まずはそれぞれのハラスメントの意味を確認しておきましょう。
モラハラとは
「モラルハラスメント」を略したものがモラハラです。モラルとは倫理や道徳という意味をもつもので、モラハラは倫理や道徳に反する嫌がらせという意味と捉えることができます。
具体的には、
- 話しかけても無視する
- 暴言をいう
- 嫌がらせをする
といった行動がこのモラハラにあたります。
パワハラとは
パワーハラスメントを略したものがパワハラです。モラハラと混同されがちですが、パワハラはパワー(力)を持った人が弱者に強くあたるものというもの。一般的に次のように定義されています。
企業組織もしくは職務上の指揮命令関係にある上司等が、職務を遂行する過程において、部下に対して、職務上の地位・権限を逸脱・濫用し、社会通念に照らし客観的な見地からみて、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるような有形・無形の圧力を加える行為
引用:パワーハラスメントの定義について
上の立場の人が下の立場の人に行う嫌がらせのことを言います。
よくあるパワハラの事例としては
- 殴る、蹴る
- 暴言をいう
- 嫌がらせをする
などが挙げられます。
「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、従業員向けの相談窓口でもっとも多い相談がパラハラに関することだそうです。
過去3年間にパワハラを受けたことがあるかというアンケートでは、実に32.5%の方が「何度も繰り返し経験した、時々経験した、一度だけ経験した」と回答しています。
セクハラとは
主に女性が被害者となることの多いセクハラは、セクシャルハラスメントを略したものです。性的な言葉、行動によって相手を傷つけてしまうものを言います。もちろん、女性だけではなく男性も被害者になり得ますし、異性だけではなく同性からの言動も該当することが特徴です。
均等法上では、次のように定義されています。
「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応により労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること。
引用:均等法上の「職場におけるセクシュアルハラスメント」とは
セクハラの事例としては
- 体に接触する
- 「可愛いね、彼氏いるの?」などの発言をする
といったことが挙げられます。どこからがセクハラで、どこまではOKなのかの線引きはハッキリとはしていません。被害者がセクハラだと感じだらセクハラとなります。
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実際にあった薬剤師の職場でのパワハラ・セクハラ事例
ここからは、私が実際に体験したハラスメントの事例をご紹介していきます。調剤薬局とドラッグストアで体験したものです。
電話越しにセクハラ発言を連発してくる人の話
信じられないことに、世の中にはさまざまな方法でセクハラをしてくる方がいます。
お客さんに手をわざと触られたり、握られたりということは何度もありましたが、電話を使ってセクハラをしてくる人がいるとは思いもしませんでした。
私のいたドラッグストアでは、勤務中は忙しすぎるため基本的に休憩に入っているスタッフが電話対応をするということになっていました。(休憩中なのに電話対応を強制するシステムもどうかと思いますが)
またいつものように電話を取って対応していたときに、事件は起きました。
「すみません、靴の消臭スプレーについて聞きたいことがあるんですが。」
「はい、何でしょうか。」
「うちの妻の足が臭くて…今風呂に入ってるんで、その間に相談したいんですけど」
「はい」
「どうすれば足の臭いって取れるんですか?」
(中略)
「お姉さんも足は臭いますか?臭いですか?自分で臭いと思ったことはあります?靴の臭いかいだことあります?」
「あの、すみません、相談でないのなら電話は切らせていただきます。」
「ねえ?あんたの足も臭いのか?臭わせてくれんか?」
「すみません、迷惑ですので電話切らせていただきます。」
何だこの気持ち悪い電話は!最初は妻のことを思いやる優しい旦那かと思いきや、足の臭いをかぎたいというただの変態だったのです。
電話ごしのセクハラ…今でも耳にこの電話主の声が残っているようで気持ち悪くなるときがあります。気持ち悪い電話がかかってきたと女性の上司に相談したところこんなことを言われました。
「その人はたまにかけてくるよ。男が電話に出たらすぐガチャ切りするらしい。前もセクハラの電話をかけてきたよ。男性社員に電話を変わるとすぐに切られるから、またかかってきたら電話変わりな。」と。
どうやら常習犯だったんですね。
警察に訴えたい気持ちでいっぱいでしたが、電話番号もわからなければ会話内容の録音もできないので結局、泣き寝入りでした。こんなセクハラの相手に休憩時間を潰されたことを今も恨んでいます。
店内でわざとぶつかってくる上司の話
これもドラッグストアでの話ですね。私がいたドラッグストアはとても店内が狭く、人とすれ違うのも難しいくらいのところでした。
とくにレジの中は狭すぎて、店員同士でぶつかってしまうこともあるほど。レジ中棚に薬を陳列しているタイプの店舗なので、それはもうとにかく狭いの一言。
これだけ狭いと、気をつけていても誰かとぶつかります。
むしろ、ぶつからない日はありません。誰かに当たってしまうのがそう珍しくない職場環境だったのですが、ふと「この人、わざとぶつかってない?」と思うことができてきました。
ある男性社員が後ろを通るときだけ、絶対にお尻を触れられることに気がついたのです。これが何度もあったので他の女性社員に相談したところ「私もあの人によく触られる」と答えた人が何人もいました。
狭い空間を利用してわざと触ってくる男性社員。ふわっと触れる程度なので、たまたま当たっただけかもしれないと思うとなかなか上司に相談できませんでした。
ただこの社員、前にいた店舗でも同じように女性社員に触れるなどを繰り返しており、問題となってうちのお店に飛ばされてきたとのこと。
セクハラをされているとわかっていても、大きな問題にしていいのかがわからず結局は「できるだけその男性社員に関わらない」という手段を取るほかありませんでした。
聞こえるように悪口を言ってくる上司
最後の事例は、調剤薬局で経験したものです。女性同士の人間関係のいざこざとも言えるかもしれません。私はそこの調剤薬局の薬局長に嫌われていました。理由はわかりません。
その薬局に挨拶の電話をかけたときから、私に対する扱いは雑なものでした。当時私は、立ちっぱなしが続くとしょっちゅうめまいがして、気持ち悪くなることが続いていました。
病院に行っても原因はわからないまま。そんな中、何かのタイミングで薬局内に置いてある血圧計で血圧を測定する機会がありました。血圧を計ってみると上が120。ごく普通の血圧です。
これを見た薬局長が「え?120もあるのにめまい?笑えるわ」と一言。
その後に薬局長が局内に響き渡る声で「私も血圧計ってみたけど生まれてはじめて120もいってびっくり!こんなに高いのはじめて~」とずっと笑顔で言っていました。
この他に「◯◯しといて」と自分で私に頼んでおきながら、あとになって「なんで◯◯してるの?」と言ってきたり、大声でしかも目の前で私の身体的特徴をバカにされたりしたこともありました。
話しかけても無視する上司
これもとある調剤薬局の事例です。何を言ってもとにかく無視する先輩薬剤師がいました。機嫌がいいときはコミュニケーションが取れるものの、基本むっつりしていて会話ができません。
とくに休み明けの先輩は機嫌がすこぶる悪いので、いつも月曜日が憂鬱で仕方ありませんでした。
パワハラ薬剤師を辞めさせれる方法
上司に限らず、パワハラやセクハラをしてくる人を辞めさたい。そう思うこともあるでしょう。あの人さえいなければ、快適な職場になるのに…そんなときはどうしたらよいのでしょう。
私の職場に暴言、暴行を繰り返す上司がいました。辞めさせることはできませんでしたが、降格になり、店舗異動させることができました。
そのときの話をしましょう。
仲間を作る
1人の被害者が声をあげるより、複数人が団結して行動した方が確実に状況を変えやすくなります。私の場合は、上司VS他の従業員という形にまで持っていけました。
ほとんどの従業員が上司へ不満をつのらせていたので、心を1つにしたのです。
できるだけ大人数で被害を訴える
団結した従業員がそれぞれ、社内の相談窓口に電話したり、さらに上の上司に相談したりととにかく何かしらのアクションを起こしました。
複数人が行動することで「ここの店舗はやたら相談が多いな」、「これだけいろんな人から相談が来るってことは、かなり状況がやばいのかな」と認知してもらうのが狙いです。
もしも自分が被害者になってしまったら
薬剤師として社会に出て数年程度の私でもいろいろなセクハラやパワハラを経験しています。これを読んでいるあなたも他人事ではありませんよ。
被害にあった当時の私は、何も知識がなかったためひたすら耐えることしかできませんでした。しかしこれは正しい対処法ではありません。もしも自分が被害に合ったときにどうすればいいのかを知っておきましょう。
加害者に迷惑をしていることを伝える
加害者に直接、「やめてください」と声をあげるのも1つの手です。ただ、直接相手に言えるという状況はほとんどないでしょう。そのようなときは然るべきところに訴えるなどの行動が必要です。
被害の内容を記録して証拠を残す
たとえばですが、何かを訴えるとなったときは何か証拠があった方が有利です。被害者しか詳細な状況がわからない中では、どうしてもセクハラやパワハラをされたと立証することが難しくなってしまいます。
被害者が「セクハラをされました!」と訴えても、加害者が「自分はやっていない」と言えばどうしても証拠が必要になります。
- 音声データ
- 映像
- いつ、どこでどのような発言をされたのかの記録
音声や映像で記録が残っているのが理想ですが、難しい場合はメモ書きしたものでも構いません。
会社の上層部に相談する
もし同じ職場内に相談できる人がいれば、その人に相談してみましょう。記録していたメモ、音声データを上司に見せながら相談するとよりよいです。
しかし職場内で相談しても、「職場の雰囲気が悪くなったり自分が変な目で見られるのが嫌」という心理が働いたりすることによって、状況が大きく変わることはあまり期待できません。
相談窓口がある場合は窓口に相談、ない場合は店舗の人とはまったく関係のない上層部の人へ相談をしましょう。
どうしても改善されないときは転職を!
職場の環境がどうしても改善されないこともあります。また被害を訴えたことで、職場にいづらくなってしまうことも考えられます。
自分が悪いわけじゃないのに、こんなに嫌な思いをするなんて嫌ですよね。耐えられないと思ったら、その職場から逃げてしまいましょう。
転職で一刻も早く逃げる
こちらがどんなに行動しても、残念ながら状況が変わらないこともあります。そんなときは我慢せずに転職してしまいましょう。毎日嫌なことに耐えているその時間がもったいないです。
セクハラやパワハラなどの被害を受け続け、うつ病になってしまうこともあります。薬剤師は転職しやすい職種ですので、我慢して働き続けるくらいなら早く転職してしまった方が何倍もマシです。
パワハラやセクハラが蔓延している会社はいつか壁にあたる
パワハラやセクハラに耐えながら働くことは、時間がもったいないだけではありません。未来の自分にまで影響を及ぼします。なぜならこのような劣悪な環境がまかり通っている会社は、今後必ず何かの壁にぶち当たるからです。
まともな会社であれば、そもそもパワハラやセクハラが起きた時点ですぐに何かしらの対処をしてくれます。もし放置すれば、就業環境が最悪な状態になり、薬剤師や他の従業員もすぐに辞めてしまうでしょう。
辞めるまではいかなくても、絶対に就業環境の悪さが仕事中の態度に出てしまいます。
これによって負の連鎖が起き、会社の評判や経営状況が傾くことも考えられるでしょう。つまり我慢して働いていても、未来の自分が気持ちよく働ける保証なんてないのです。
どうしてものときは「退職代行を使って逃げる」のもあり
しかしどうしても「退職したいと言い出せない」「退職したいと言っても流されて聞いてくれない」といったことが起こる可能性もあります。ひどい場合だと退職届を出してもその場で破られてしまうケースもあるとか。
そのようなときは「退職代行」を使うのもありです。自分の代わりに退職代行サービスが、退職に必要な手続きをすべて済ませてくれます。
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まとめ
驚くことに、薬剤師の職場にもさまざまなハラスメントに悩まれている方が大勢います。しかもその大半は誰にも相談できずに1人で抱え込んでいるのが現実です。
薬剤師の職場が、今働いている職場しかないということは決してありません。耐えられないときは遠慮せずに転職してしまいましょう。退職が難しい場合は退職代行サービスを使うとスムーズに退職できるでしょう。