薬剤師としてはたらく中で、「薬剤師になるんじゃなかった」「進路を間違えたのではないか」「毎日つらくて辞めたい」と後悔したことはありませんか?
薬剤師に限らず、このような悩みは多くの職業においても、少なからず耳にするものです。
まわりの薬剤師が仕事のことをどのように考えているのかを知ることは、実はとても重要なことかもしれません。
この記事では、薬剤師になって後悔した8つの理由と、その対応策をご紹介していきます。
薬局薬剤師
この記事の目次
薬剤師になって後悔した9つの理由
薬剤師が後悔することの多い理由を、9つに分けて解説していきます。
1.やりたい仕事ではなかった
こちらは、薬剤師という仕事そのものがやりたかった仕事ではなかったというパターンです。
薬剤師になるためには薬学部に入学しなくてはならず、早いタイミングで進路を決めなくてはなりません。
高校から理系と文系が分かれていることも多く、早ければ中学生のうちになりたい仕事を決める必要があります。
得意科目との兼ね合いや周囲のすすめで薬学部に入学してしまった場合、自分のやりたい仕事ではなかったということもあるのです。
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2.医療職カーストに悩む
多くの医療従事者の悩みでもありますが、医療界には医師を頂点とした、一種のカースト制度ようなものが存在しています。
多くの医療会では医師→看護師→薬剤師といった流れでカーストが存在しているのではないでしょうか。もちろん病院によってはカーストがないところもあります。
医師がチーム医療のリーダーであることに疑いの余地はありませんが、薬にかかわる場面においても、医師に決定権があることがほとんどです。
医師の選択した薬物療法が明らかに間違っていたとしても、薬剤師の意見には耳を傾けず、患者さんにそのまま投薬されてしまうことも珍しくありません。
「何のためにいる医薬品の専門家なんだろう」「こんなことなら薬剤師なんか必要ないのではないか」などと悩み、仕事がいやになってしまうこともありますね。
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3.薬剤師内のカースト制度に悩む
カースト制度は薬剤師という小さなコミュニティー内でも存在しています。国立卒の薬剤師が私立卒の薬剤師を見下しているパターンもあるのです。
もちろんすべての国立卒薬剤師が見下しているわけではありませんが、残念ながら私立卒の薬剤師を見下している方がいるのは事実です。
薬剤師同士でギクシャクしながら仕事をするのはつらいですよね。
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4.仕事でミスをしてしまった
とくに新人薬剤師が陥りやすいのが「ミスを何度もしてしまって落ち込む」というもの。
「自分は薬剤師に向いていないのかな?」
「周りに迷惑ばっかりかけてつらい」
と悩んでいる方も多いでしょう。仕事に慣れないうちはミスをしやすいとはいえ、どうしてもへこんでしまいます。
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▼調剤過誤指摘なんかは実際とても気まずいですよね…
5.希望する年収が得られない
薬剤師の平均年収は544万円(平成30年)と、決して安い金額ではありませんが、とびぬけて高給取りというわけでもありません。
年収にこだわりたいという方にとっては、薬剤師はオススメできる職業とは言い切れないのです。
一昔前なら、自分で薬局を開業することで年収アップも目指せましたが、現在の状況ではそう明るくもありません。
意欲的に年収を上げていきたいと考えても、どこかで頭打ちになってしまうことが多く、薬剤師という道を選んで後悔する方もみられるのです。
実際に薬剤師の年収は40代で頭打ちになることが多く、年収600万円に到達したあたりから大きな伸びはあまり期待できません。
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安くない学費を払って、せっかく6年も通ってきたので・・・と考えると、どうしても薬剤師以外の仕事を選ぶ勇気もなかなか出ないものです。
6.日々の勉強がつらい
医療の世界は日進月歩であり、毎日のように新しい発明や発見がおこなわれています。
薬剤師をはじめとする医療系の職種は、日々勉強することが求められており、業務時間外にも勉強会や学会などに参加しなくてはならないこともあります。
休日を返上して勉強会に参加している薬剤師も少なくありません。
職場によっては朝の7時から勉強会をして、それから業務を開始するところもあるためなかなかハードです。
時短社員やパート社員としてはたらいている場合でも、調剤を間違いなくおこなうためには、知識のインプットは欠かせません。
もともと暗記科目が苦手な方にとっては、薬剤師になって後悔することも少なくはないのです。
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7.職場の人間関係で悩んでいる
薬剤師は非常に狭いフィールドではたらく職業であるため、人間関係が問題となることも珍しくありません。
医師や看護師、調剤事務などの、異なる職種のスタッフとも連携しなくてはならないことも多く、コミュニケーションが苦手な方は負担となることもあります。
調剤薬局などの職場によっては女性比率が高く、女性特有のいじめやセクハラの問題もみられます。
職場での人間関係がうまくいっていない場合には、薬剤師という職業を選んだこと自体に後悔してしまうかもしれませんね。
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8.医療業界の今後が不安
現在の日本では、過去に類をみない高齢化社会を目前にしており、医療業界は大きく変わろうとしています。
調剤報酬改定や薬価改定によって薬局の経営はどんどん苦しくなる一方で、薬剤師に求められる役割は大きくなりつつあります。
これまでのように、門前薬局として処方せんを応需するだけでは経営が成り立たず、薬剤師が地域医療やチーム医療に打って出なくてはならなくなってきているのです。
医療業界の変容を目にしていると、「この業界に入って失敗したかな?」と感じる薬剤師も、増えているのです。
▼変わる日本社会と、医療について
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9.教育体制が整っていない
とくに中小規模の職場は、教育体制が整っていないことがあります。大手だと入社前に研修を行ってくれることが多いのですが、中小だといきなり現場で働き始めることになるのです。
中小の中でも新人薬剤師や中途で入ってくる薬剤師が少ないところは、教育の仕方を把握している方が少ないためどうしても放置されがちになります。
分からないことを聞いても「今忙しいから」と流されてしまうこともあるものでそう。
あまりにこのような態度を取られると「もしかして自分って邪魔者なのかな?」と心配にもなってしまいますよね。
薬剤師を辞めたいと思う原因になった実際のミス
薬剤師になりたてのころや、新しい職場で働き始めたばかりのころはどうしてもミスを起こしやすいもの。
- 調剤過誤
- 服薬指導での伝え漏れ
- 高価な薬剤をロスした
- 鑑査ミス
- 店の商品を壊してしまう
この辺りが代表的ですね。どのようなミスがあったのか、筆者を含めて周りの薬剤師が実際にやってしまったミスをそれぞれご紹介します。
調剤過誤
アダラートLとアダラートCRを間違えて調剤してしまった例があります。アダラートLは1回10~20mgを1日に2回、アダラートCRは1回20~40mgを1日に1回服用するものです。
まだ薬剤師になってすぐのころだったので、アダラートに種類があることを知らないために起こったミスでした。
この他に、患者さんに多く薬を渡してしまい、後日に電話をして患者さん宅に取りに行ったこともあります。
幸いにも命に関わるミスはしていませんが、「もしも一人薬剤師だったら」、「もしも鑑査で気づかれていなかったら」と考えるとゾッとするものです。
服薬指導での伝え漏れ
これは私が学生のころに行っていた薬局実習で起こったものです。そのときの管理薬剤師が「鉄剤を飲むと便が黒くなる」ことを伝え忘れてしまいました。
一見すると重大なミスには見えないかもしれません。しかし当の患者さんは薬局でこんなことを言っていたのです。
「なんか最近、便が黒くなっちゃって。知り合いでガンになった人も便が黒くなったって言ってたから、私もガンなのかしら…」と。
ものすごくどんよりした顔で来局されたなとは感じてはいたのですが、まさか自分がガンかもと心配しているとは思いませんでした。
ちょっとした伝え漏れが患者さんに不必要な不安を与えてしまうことがあるのです。
高価な薬剤をロスした
抗がん剤の中には、驚くことに1アンプルで何十万円もするものが普通に存在します。
病院勤務のとある薬剤師がこの何十万円もする薬剤で事故を起こしてしまいました。安全キャビネット内でアンプルに注射針を入れて必要量を取り、注射針を抜いたところアンプル内の薬剤が外へ吹き出してしまったのです。
アンプル内が陽圧になっていたために勢いで薬剤が出てしまったんですね。高額な薬剤をムダにしたこともですが、抗がん剤に暴露してしまったことも問題となりこっぴどく怒られたそうです。
鑑査ミス
揃えられた薬の種類と量は合っていたものの、薬袋の記載が違ったことに気がつかず患者さんに渡してしまった事例があります。
患者さんから「いつもと飲み方が違うみたいなんだけど…」と電話が来て事が発覚。患者さんが気づいてくれなかったら大事故につながっていた可能性があります。
店の商品を壊してしまう
これはドラッグストアの薬剤師あるあるです。売り物の商品を落として割ったり、箱を破いてしまったりなどは誰もが一度はやってしまいます。
状態によっては売れなくなるので店の損失です。損失額が大きければ大きいほど「やってしまった…」と後悔します。
ドラッグストアだとこの他に会計ミスや商品の渡し間違い、新商品の発注忘れなども起こりうるでしょう。自分のミスが店の売上や利益をマイナスにしていると考えると、数日は立ち直れません。
「薬剤師を辞めたい」を解消するためには?
ここまでは、薬剤師が後悔することの多い理由についてご紹介していきました。
ではこれらを解消するためには、どのように行動すればよいのでしょうか?
薬剤師以外の仕事に挑戦する
「薬剤師の仕事がやりたい仕事でなかった」「医療業界の今後に不安がある」という場合には、薬剤師以外の仕事に挑戦することがオススメです。
とくに若いうちであれば業種転換も難しくないため、まったく違う業種に飛び込んで実力を試す方もみられます。
完全に医療系から離れる以外にも、MRやCRAなどの医療系他職種を目指すという方法もありますね。
他の業種でうまくいかなかったとしても、これまでの仕事に戻ってきやすいことが、資格職である薬剤師の長所でもあるのです。
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副業やダブルワークで違う方向を検討する
ある程度の年齢を超えている場合や、結婚をしていて家族がいる場合には、違う業種に飛び込むことは大きなリスクを伴います。
「まったく違う業種に挑戦するのはちょっと…」「失敗するわけにはいかない」という場合には、副業やダブルワークがオススメです。
新しい業種に挑戦する場合でも、本業としての仕事があれば、失敗によるリスクを大きく減らすことができますね。
またダブルワークでは、年収アップも狙えるため、年収にこだわりたい方にとってもオススメの方法です。
転職で職場を変えてみる
「現在の職場の人間関係が悪い」「スキルアップがしにくい環境で日々の勉強がつらい」という場合には、一度転職を検討してみることがオススメです。
薬剤師を辞めたいのではなく、今の職場を辞めたいだけの可能性もあります。
薬局や病院など同じ業種の職場であっても、はたらく職場を変えるだけで、環境は大きく変わるものです。
とくに現在の職場環境が悪く、ブラック薬局やブラック病院に勤めている場合では、転職をおこなうことで負担を大きく減らすことが可能となります。
実際に転職をおこなわなくても、無償で転職エージェントに相談することもできるので、迷ったらまず転職サイトに登録してみましょう。
▼転職サイトに登録し、「相談できる担当者を味方につける」のがとっても大切。心強いパートナーになってくれます。
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【コラム】「薬剤師に憧れます!」と言われ衝撃を受けた筆者の体験談
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- 筆者である私は以前、大手ドラッグストアで勤務していたことがありました。
ドラッグストアでは登録販売者や管理栄養士、一般従事者(無資格者)などの、さまざまなスタッフがはたらいています。
そんな中で、ある登録販売者の女性から、「薬剤師さんっていいですね!すごく憧れます!」と言われたことがありました。
聞けば、小さい頃から薬に関わる仕事がしたかったものの、実家の方針で短大しか行かせてもらえず、薬学部は断念したとのこと。
後に登録販売者を取得して、ドラッグストアで勤務しながらも、いつの日かお金を貯めて薬学部に行きたいと考えているそうです。
薬剤師の不満を聞く機会の方が多いこの頃、「薬剤師に憧れる」というキラキラとした眼差しに、私は衝撃を受けました。
思えば、私の小さい頃から薬剤師に憧れて、薬学部に進学したのですが、それはとても幸せなことだったのです。
「薬剤師に憧れてくれている方がいる以上、しっかりと頑張らなくちゃいけないな」、このときの経験を忘れないようにして、今日も頑張っています。
まとめ
薬剤師になって後悔した6つの理由と、その対応策をご紹介していきました。
薬剤師というと「楽そう」「はたらきやすい」「お給料が高い」というイメージが先行しがちですが、実際はよいことばかりではありませんね。
薬剤師になったことを後悔することもありますが、薬剤師になりたくてもなれなかった方がいることを忘れてはなりません。
薬の専門家として自信を持ち、患者さんの笑顔のために、日々努力するようにしましょう。
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