「需要が高いと言われている医薬品登録販売者になりたいと思っているけど、仕事内容はどういうもの?」
「医薬品登録販売者の仕事は将来生はあるの?」
資格を取れば職に困らないとも言えるほど需要が高い医薬品登録販売者。しかし、具体的にどのような仕事内容なのか気になる方も多いでしょう。また、資格を取ったとしても将来生はあるの?と気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、ドラッグストアで働いていた経験のある薬剤師の私が医薬品登録販売者の仕事内容を詳しくご紹介します。将来生やニーズについても解説しているので参考にしてみてください。
薬局薬剤師
この記事の目次
医薬品登録販売者とは?
医薬品登録販売者は、2009年の薬事法改正で誕生した比較的新しい国家資格です。医薬分類において「第二類医薬品」と「第三類医薬品」を扱うことができる職業であり、ここが医薬品登録販売者の最大の特徴です。
一般用市販医薬品の多くを販売可能になる
ドラッグストアや薬局で販売されている一般用医薬品には次のような種類があります。
- 要指導医薬品
- 第一類医薬品
- 第二類医薬品
- 第三類医薬品
このうち医薬品登録販売者の資格を取ると「第二類医薬品」と「第三類医薬品」を販売できるようになります。残りの「要指導医薬品」と「第一類医薬品」は薬剤師しか販売できません。
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医薬品登録販売者の受験資格
- 学歴:不問
- 年齢:不問
- 実務研修:不問
誰でも受験することができ、試験に合格すれば医薬品登録販売者になれます。
誰でも受験できるようにはなりましたが、登録販売者として《一人で勤務する場合》は直近5年間のうち2年間の実務経験が必要となります。
実務経験が2年を超えるまでは店舗管理者としてはもちろん、一人で店舗に立つことはできません。
受験料と試験開催日
医薬品登録販売者の試験は各都道府県において年1回開催され、それぞれの都道府県によって開催日が異なります。
また、受験料は13,000円前後~20,000円前後が相場となっており、こちらもそれぞれの都道府県によって受験料が異なります。
医薬品登録販売者の試験に向けて、詳細は最寄りの市役所で確認しましょう。
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医薬品登録販売者が扱えるのは第二類と第三類医薬品
「第二類医薬品と第三類医薬品が販売できると言われても、具体的にどのような商品があるの?」と気になりますよね。
要指導医薬品と第一類医薬品は薬剤師しか販売できないため、売り場が別に用意されています。そのため、それ以外の医薬品は医薬品登録販売者でも販売できると思っておくとよいでしょう。
ここでは要指導医薬品から第三類医薬品まで代表的なものをいくつかご紹介します。
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要指導医薬品
主な要指導医薬品は以下の通りです。
- プレフェミン
- タリオンAR
- ロートアルガードクリアノーズ
- フルナーゼ点鼻薬
- ヒアレインS
- メンソレータムフレディCC1
- メンソレータムフレディCC1A
これらの医薬品は薬を使う患者さんご本人と薬剤師が対応しなければ販売ができません。販売できる個数も原則1個までです。
第一類医薬品
第一類医薬品は要指導医薬品よりも少し種類が増えます。
- ロキソニンS、Sプラス、Sプレミアム
- リアップのシリーズ
- ガスター10
- アクチビア軟膏
- アラセナS軟膏・クリーム
- ヘルペシアクリーム
- エンペシドL(膣錠)
- ニコチネルパッチ
- ハイテスターH
- ミクロゲン・パスタ
- エンペシドLクリーム
- アレグラFXジュニア
- トランシーノⅡ
- 金蛇精
まだまだ種類がありますが、代表的なのはこのあたりです。
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第二類医薬品
第二類医薬品の定義は次の通りです。
※第一類医薬品を除く
(まれに入院相当以上の健康被害が生じる可能性がある成分を含むもの)
引用:厚生労働省 一般用医薬品のリスク区分
第二類医薬品は「バファリンA」・「アレジオン20」・「アレグラFX」など、ここでは書ききれないほどさまざまなお薬があります。
第二類医薬品は通販可能という現状からも絶対的な説明義務はなく、販売において質問された場合に詳細を伝える対応をしなければならないという努力義務の範囲に留まります。
よくある質問は「どっちの痛み止めが効きますか?」「この風邪薬の違いはなんですか?」といった質問なので、経験と知識があればある程度の質問はその場で対応できるでしょう。
もしもわからない質問があったら、薬剤師に聞くかメーカーに問い合わせをしましょう。
今のネット社会では、「薬の知識をネットで調べるのはやめてほしい」という病院側の訴えがクローズアップされることが多いですが、第二類医薬品と第三類医薬品についても間違った知識を正していくことも、今後は医薬品登録販売者に求められる大きな課題となるかもしれません。
第三類医薬品
第三類医薬品の定義は次の通りです。
第三類医薬品もかなり種類が多いです。代表的なものには「ハイチオールCプラス」・「チョコラBBプラス」・「ソフトサンティア」などがあります。医薬品登録販売者の仕事内容
- 薬の取り扱い
- 管理者や管理代行者になれる
- 商品の陳列とレジ
- 売り場替え
- POP作り・張り替え
「鼻水と頭痛があるんですけど、どの風邪薬がいいですか?」
「疲れ目にオススメの目薬はどれですか?」
「眠くなる成分が入っていない痛み止めをください」
といった相談はよく受けることになるでしょう。
現状、医薬品登録販売者の需要はドラッグストアが大半を占め、これはドラッグストアが取り扱う商品の多くが第二類と第三類であることが背景にあります。
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薬の取り扱い
薬の販売は薬剤師の在籍が必須ですが、第二類と第三類だけしか販売しないのであれば、医薬品登録販売者が在籍していればOKとなります。
今後、ドラッグストアの機能を兼ねた大きめの店舗サイズのコンビニが増えてくるのでは?と筆者は考えています。
管理者や管理代行者になれる
医薬品登録販売者は薬剤師と同じで「調剤薬局」や「ドラッグストア」が主な受け皿です。
こうした職場は主に接客が仕事内容となるため、基本的に日々の勤務では「普通の店員」も「医薬品登録販売者」もやることは殆ど同じです。
しかし、医薬品登録販売者になると「管理者」や「管理代行者」になることができるため、同じような仕事でも将来性が大きく異なります。
管理者や管理代行者になるためには、試験合格後に受験前の勤務実績も合算可能で「過去5年間において管理者の元で2年間の勤務経験があること」が条件です。
つまり、医薬品登録販売者になると役職を目指せるので、今の時代においてはドラッグストアなどのチェーン店へ就職するなら必須な資格とも言えます。
商品の陳列とレジ
医薬品登録販売者の代表的な職場はドラッグストアです。
ドラッグストアにおける毎日の仕事内容は、商品の陳列やレジです。その他、月末になると棚卸しの作業を行うなど、基本的に想像どおりの仕事内容となります。
売り場替えやPOPの張替えなども業務の1つです。
管理者や管理代行者になると、勤務先の責任者としての業務、その会社における他店舗の実績から人材の振り分けなど、店内での業務以外の仕事も増えてきます。
また、管理者や管理代行者にならない場合でも、他店舗の状況によって上司から他店舗への異動を相談されることもあるため、資格を取得することで自分の存在意義や必要性を感じる機会は増えます。
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活躍できる職場
医薬品登録販売者が活躍できる職場は、「第二類医薬品」と「第三類医薬品」を扱う会社です。
主に調剤薬局やドラッグストアが代表的で、その他にスーパーやコンビニ、家電量販店などもあります。
魅力や楽しさは?
医薬品登録販売者は「第二類医薬品」や「第三類医薬品」をメインに販売しているお店において、必要不可欠な存在になれることが魅力です。
調剤薬局なら単なる事務員とは違った側面から薬剤師をサポートできますし、ドラッグストアなら管理者や管理代行者になれることが大きな魅力です。
資格を取得する労力も踏まえて、医薬品登録販売者になると存在意義や必要性などを見出しやすいため、ここが日々の仕事における楽しさに繋がりやすいです。
人から頼られる存在というのは仕事にやりがいを感じやすく、仕事にやりがいを感じることは楽しさでもありますね。
医薬品登録販売者の資格を取るメリット
医薬品登録販売者の資格を取るためには、しっかりと勉強をしなければいけません。
合格率は例年40~50%ほどなので、簡単に取れるものではないのです。たくさん勉強してやっと取れる資格ですが、取ることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
給料がプラスになることが多い
医薬品登録販売者の資格を取ると、資格手当として月に5,000~10,000円ほどの手当が支給されます。年収にすると60,000~120,000円のアップです。
副店長や店長などを狙っている場合は資格がないとほぼなれないことから、取っておいて損はないものといえます。
資格を取ることで手当が貰えるだけでなく、キャリアアップも望めるのです。
就職先、転職先に困らない
ドラッグストアや薬局の数は年々増えています。
参考:【2021年版】ドラッグストアチェーンの店舗数ランキング
2020年~2021年の間だけでも約10,000店舗も増えているのです。店舗が増えれば必要となる医薬品登録販売者の人員も増えることから、需要が高まっている状態が続いています。
ドラッグストアに行くとほとんどのお店で「登録販売者募集!」と貼り紙がしてあるのを見かけることから、就職先や転職先にはほとんど困らないと考えられます。
医薬品登録販売者の将来性は?ニーズは高まるのか
今の時点において、医薬品登録販売者の需要は高まっている現状があります。
今後、その流れを引き継いで緩やかに需要が増えていきそうな雰囲気があり、大きなポイントとなるのはドラッグストアを筆頭に第二類医薬品と第三類医薬品を取り扱うお店の増減です。
スーパーやコンビニでも医薬品登録販売者の需要が高まっているので、正規雇用を求めて転職するなら取得しておく方が有利であることは間違いありません。
平成20年~30年度の受験者数と合格者数の推移
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 人数 |
---|---|---|---|---|
平成20年 | 91,024人 | 58,715人 | 64.5% | ー |
平成21年 | 44,788人 | 21,209人 | 47.4% | 80,353人 |
平成22年 | 39,116人 | 18,510人 | 47.3% | 95,695人 |
平成23年 | 33,913人 | 16,007人 | 47.2% | 109,958人 |
平成24年 | 28,050人 | 12,261人 | 43.7% | 121,137人 |
平成25年 | 28,527人 | 13,381人 | 46.9% | 不明 |
平成26年 | 31,362人 | 13,627人 | 43.5% | 不明 |
平成27年 | 49,864人 | 22,901人 | 45.9% | 不明 |
平成28年 | 53,369人 | 23,330人 | 43.7% | 不明 |
平成29年 | 61,126人 | 26,606人 | 43.5% | 不明 |
平成30年 | 65,500人 | 27,022人 | 41.3% | 不明 |
25年度以降の人数はデータがないので不明ですが、「前年度合格者数」+「今年度合格者数」がおよその人数となります。
合格率が平均して低いのは、受験資格がないことからも受験者による本気度が個々によって大きく異なるからだと推測されます。
日本医薬品登録販売者協会
「日本医薬品登録販売者協会」は、登録販売者への支援活動を行っている一般社団法人です。
eラーニングを通信研修で受講できるなど、資格取得に向けて覚えておくと便利です。
また、資格取得後も「登録販売者向け賠償責任保険」へ加入できるなど、福利厚生などからメリットを得ることができます。
本当に需要はあるの?
一般的に医薬品登録販売者の資格に対して「凄い!」という印象を持っている方は少ないと思いますが、やはり受験料を支払えば誰にでもチャンスがあることからもハイレベルな専門職ではないことは確かです。
医薬品登録販売者は第二類医薬品と第三類医薬品を取り扱えるものの、薬剤師の存在を超えることはできません。
どちらかというと、薬の専門家というよりはお店の管理者として経営などに携われる可能性を持っていることが魅力なので、市販薬の販売に詳しくなり、店長になりたい方などにとっては需要の高い資格です。
医薬品登録販売者の現状・将来性は?
ドラッグストアで働きたいと少しでも考えているのなら、医薬品登録販売者の資格は必須と言えるでしょう。
資格がなくても働くことはできますが、店舗運営の都合上、ほぼ間違いなく資格を取得するように上から言われるはずです。
「医薬品登録販売者は飽和するのでは?」といった声もありますが、そこはあまり心配しなくてよいでしょう。なぜなら、ドラッグストアの店舗数はものすごい勢いで増えているからです。
参考:薬キャリAGENT
上のグラフを見てもらうとわかるように、ドラッグストアの店舗数は毎年約400店舗ずつ増えています。決して減ることはありません。
ドラッグストアでは薬剤師不足に悩んでいる店舗が多いこともあり、医薬品の販売ができる資格を持っている人は重宝される傾向にあります。
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医薬品登録販売者はどんな人に向いている?
医薬品登録販売者は、第二類医薬品と第三類医薬品を扱うお店に対して有利に転職したい方に向いています。
また、資格の魅力から紐解くと、責任感のある人やリーダーシップを取りたい方に向いています。
向いている人
- 有利に転職したい
- キャリアアップしたい
- 存在価値や必要性を見出したい
- 国家資格を持ちたい
- 本当は薬剤師になりたかった
また、薬剤師と一緒に働くことも多いため、薬剤師に憧れている方にとっても取得したい資格になりやすいです。
薬剤師になるには最低でも6年かかり、学費は約5,000,000円~12,000,000円です。医薬品登録販売者は最短1年、費用は最低13,000円~20,000円です。
向いていない人
医薬品登録販売者の資格は、資格を取得した後の努力によって価値が変わります。
そのため、特に管理者や管理代行者などに興味がないなど、「現状で満足」という方にとっては取得する必要はありません。