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絶対に回避したい、薬剤師の行政処分・薬剤師免許の取消し(剥奪)について。薬剤師法の欠格事由・処分事例も元にして解説します。

行政処分

薬剤師免許を取得するためには、莫大な費用と労力、そして時間がかかります。

せっかく手にした薬剤師免許を剥奪されてしまうことは、絶対に避けたいですよね。

昨今では薬歴未記載医薬品の違法販売など、薬剤師の不祥事が取り沙汰されています。

ブラック薬局で働くことにより法令違反を犯してしまい、薬剤師免許が取り消されてしまうことはあるのでしょうか?

薬剤師の行政処分・薬剤師免許の取り消しについて、欠格事由や処分事例もあわせて解説します。

薬剤師法上に明記された、免許の要件・欠格事由を再確認しよう

薬剤師法上に明記された、免許の要件・欠格事由
薬剤師資格のもととなる法律に、「薬剤師法」というものがあります。

その中に免許の要件欠格事由取り消しの定義が明記されているので、確認していきましょう。

免許の要件

要件とは、「必要な条件」のこと。つまり、免許を取るためにどのような条件を満たせばよいのかということをあらわします。

実際の条文にはどのように書かれているのか、見てみましょう。

(免許の要件)
第3条 薬剤師の免許(以下「免許」という。)は、薬剤師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える。

~薬剤師法より抜粋~

当然のことですが、薬剤師免許は薬剤師国家試験に合格した者にのみ与えられるということですね。

こちらは、現在薬剤師免許をお持ちの薬剤師であれば、必ず満たしているものです。

合格が後々取り消されることは基本的には無いので、取得後の免許の取り消しにおいて関わることはありません

相対的欠格事由と絶対的欠格事由

薬剤師免許に代表されるさまざまな免許には、「欠格事由」というものが定められています。

欠格事由に該当すると免許が与えられません。取得後に該当した場合には、取り消しとなることもあります。

欠格事由には、該当することで直ちに欠格となる「絶対的欠格事由」と、該当していても場合によっては資格が認められる「相対的欠格事由」の2つがあります。

絶対的欠格事由

(絶対的欠格事由)
第四条 未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。

~薬剤師法より抜粋~

成年被後見人とは、精神上の障害により判断能力を欠くとして、家庭裁判所から後見開始の審判を受けた人のことをあらわします。

このような方は、薬剤師として責任のある業務に就くことはできません

免許の取り消しを定めた“薬剤師法第八条一項”において、上記の第四条に該当する方は免許が取り消されます

相対的欠格事由

(相対的欠格事由)
第五条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、薬事に関し犯罪又は不正の行為があつた者

~薬剤師法より抜粋~

“薬剤師法第八条二項”において、上記の第五条に該当する方において、免許の取り消しもしくは業務停止が命じられる旨が規定されています。

薬剤師が何らかの処分を受けるケースでは、こちらの相対的欠格事由が原因となる場合がほとんどです。

ポイント!
「心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者~」として定められていることから、うつ病や統合失調症などの精神疾患がある方は免許を取得できない可能性もあります。“可能性がある”というだけで、絶対ではありません。症状の程度によって取れない可能性があることは覚えておきましょう。

欠格事由に該当し、行政処分、薬剤師免許の取り消しとなる3段階は?

薬剤師が欠格事由に該当して処分を受ける場合には、下記の3つのパターンがあります。

  • (1)戒告
  • (2)三年以内の業務の停止
  • (3)免許の取消し

処分の重さは“免許の取り消し>三年以内の業務の停止>戒告”の順となります。行政処分の原因となる薬剤師の行為の類型や、悪質性の程度を考慮した上で決定されます。

また長期間実務から遠ざかることは、技術的な支障が起こる可能性があるため、三年を超える業務停止処分を課すことは想定されていません

三年を超える業務停止処分がふさわしいと考えられる場合には、免許の取り消し処分が適用されます。

ポイント!
薬剤師免許取得後であっても、絶対的欠格事由や相対的欠格事由に該当してしまうと、行政処分や免許取り消しを受ける可能性があります。

薬剤師法についての参考
e-GOV:薬剤師法

行政処分、薬剤師免許取り消しの実際の事例

行政処分、免許取り消しの実際の事例
では実際には、どの程度の違反で行政処分や免許の取り消しが行われるのでしょうか。実際に起こった事例を、いくつかご紹介します。

事例(1) 戒告

こちらは、薬剤師が不正請求の事例を認識していたにもかかわらず、見過ごしていたという事例です。

薬剤師が医療の担い手の地位を利用して、社会保険制度を欺くことは、重い処分がくだされます。相対的欠格事由の四に該当して、戒告処分が科せられたと考えられます。

なお薬剤師が直接的に不正請求に関わっているその他の事例では、不正請求額に応じて1~4ヶ月の業務停止処分が行われています。

事例(2) 業務停止処分6ヶ月

こちらは、調剤過誤を理由に行政処分が下された事例です。

薬剤師が処方せんに従って「リズミック(アメジニウムメチル硫酸塩)錠」を調剤するところ、誤って「グリミクロン(グリクラジド)錠」を調剤してしまったことにより、患者は低血糖性昏睡に陥り、救急搬送後1ヶ月後に死亡しました。

薬剤師は業務上過失傷害罪に問われ、罰金50万円の略式命令を受けました。
※因果関係が証明されなかったため、業務上過失致死罪には問われませんでした

悪質性の高い意図的な行為ではないものの、薬剤師の責任の重大さがうかがい知れる事例です。相対的欠格事由の三に該当して、業務停止処分6ヶ月が科せられたと考えられます。

事例(3) 業務停止処分6ヶ月

こちらも業務停止処分になった事例です。

ワルファリン1.5mgで調剤するところを4倍の6mgで調剤して患者さんに渡してしまう過誤が起きました。過量のワルファリンを飲んだ患者さんは出血性ショックで亡くなっています。

業務に関わった薬剤師が業務停止処分となりました。薬剤師のミスが患者さんの命に関わることを改めて意識付けられますね。

事例(4) 業務停止処分3年

医薬品を横領した薬剤師が業務停止3年の処罰をくだされました。

勤務先にある医薬品を複数回にわたって横領していたのです。医薬品を売買して利益を得るために横領していたと考えれます。

お金に目がくらんだ結果の業務停止処分ですね。

事例(5) 免許取消し

こちらは、薬剤師が医師からの処方せん交付を受けた者以外に対して、営利目的で332回にわたり、正当な理由なく向精神薬を販売した事例です。

旧薬事法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反により、懲役3年・執行猶予5年の判決が確定しています。

営利目的であったこと、さらには向精神薬という注意を要する薬剤であったことから悪質性が認められ、相対的欠格事由の三及び四に該当するとして免許取消しが科せられたと考えられます。

注意
そのほかにも、悪質性の高い交通事犯、わいせつ行為、税法違反、殺人及び傷害、詐欺及び窃盗などの悪質な犯罪行為が、行政処分や免許取り消しにつながっています。

2019年の医道審議会で出された処分

2019年5月27日に、医道審議会にて薬剤師の行政処分について審議され、7名の薬剤師が行政処分となりました。

  • 業務停止2年:1件(医薬品医療機器等法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反1件)
  • 業務停止1年:1件(強制わいせつ1件)
  • 業務停止6月:1件(窃盗1件)
  • 業務停止3月:2件(不正請求2件)
  • 業務停止2月:1件(麻薬及び向精神薬取締法違反1件)
  • 業務停止1月:1件(道路交通法違反1件)
参考:医道審議会薬剤師分科会薬剤師倫理部会議事概要

毎年10名前後の薬剤師が行政処分を受けています。

行政処分を受けないために薬剤師が気をつけることは?

行政処分を受けないように薬剤師が気をつけること
薬剤師がこれらの行政処分や免許の取り消しを受けないためには、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。

コンプライアンス違反を行わない

まず第一に、薬剤師倫理に反する行為は厳禁です。

薬機法や麻向法違反、調剤報酬の不正請求など、薬剤師の資質を問われかねない行いは、免許を失いかねません。

医療の一翼を担っているという自覚を持ち、業務に取り組みましょう。

調剤過誤を起こさない

事例(2)でご紹介したように、調剤過誤が行政処分につながることもあります。

どれほど忙しい店舗であっても、リスクの高い医薬品を調剤する際には、細心の注意を払わなくてはなりません。

指さし確認やダブルチェックで確認を行うだけでなく、ヒヤリハット事例を共有するなど、ミスを起こさない体制をつくりましょう。

業務外の違法行為にも注意

業務外の違法行為が、薬剤師免許の取り消しにつながることもあります。

軽度の交通違反で取り消し処分に至ることは考えにくいですが、飲酒運転や自動車運転過失傷害など、悪質性が高い場合には薬剤師免許を失いかねません。

もちろん、詐欺や強盗などの犯罪行為も、絶対に行ってはいけません。

注意
犯罪行為だけでなく、調剤過誤やコンプライアンス違反が行政処分につながることもあります。

事例についての参考
厚生労働省:薬剤師の行政処分の在り方等に関する検討会

行政処分を受けた薬剤師のための再教育制度

薬剤師再教育制度
なんらかの理由によって行政処分を受けた薬剤師は、再教育を受ける義務があります。

免許を取り消しになった人が再び取得しようとする際にも再教育が必要です。行政処分となった理由をあらためて反省してもらい、一般の方が安心して医療を受けられるようにすることが目的とされています。

再教育の内容

なぜ行政処分になったのか、理由によって教育内容は変わります。また戒告なのか業務停止処分なのか、それとも免許の取り消しなのかによっても変化するのが特徴です。

集団研修や社会奉仕活動、心の鍛錬などが行われることから、倫理観の教育が主な内容だと考えられます。他に講座の受講や実習もあるようです。

再免許の手続き

厚生労働省では以下のように再免許の条件が提示されています。

  • 免許取り消しの理由となった事項に該当しなくなったとき
  • 再び免許を与えるのが適当と認められたとき

ただし免許が取り消されてから5年が経過していないときは、再免許を受けられない決まりです。

参考
薬剤師の再教育及び行政処分の在り方等について

行政処分・欠格事由の対象となり得る業務を職場で強制されていませんか?

行政処分・欠格事由の対象となり得る業務を職場で強制されていませんか?

薬剤師法違反の関与、強制に要注意

現在の職場で、「無資格調剤が行われている」「調剤報酬の水増し報酬をしている」「違法販売を行っている」ということはありませんか?

これらが発覚してしまうと、薬局が業務停止処分を受けるだけでなく、加担した薬剤師に対してもペナルティが科せられます

また忙しすぎるブラック薬局に勤めている場合にも、注意が必要です。違法行為が無くても、調剤過誤が原因で行政処分が科せられることもあります。

絶対に、気付いた時点で改善を促すか、職場から逃げるべきです…!

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まとめ

ブラック薬局に注意。意識を持って薬剤師の仕事をしよう
薬剤師の行政処分免許の取り消しについて、ご紹介しました。

免許を失ってしまうと、今後の人生計画が大きく狂ってしまいます。多額の投資をしてもらっている両親にも、顔向けができませんよね。

違法行為による取り消しは論外ですが、ブラック薬局に勤めることで不正に加担してしまい、行政処分につながることもあるので、注意が必要です。

医薬品の専門家として高い職業意識を持ち、医療に貢献していきましょう。

他参考
弁護士ドットコム:「薬剤師の処分」の法律相談

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