「高収入な職場ではたらきたい」「プライベートを充実させたい」という薬剤師におすすめなのが、派遣というはたらき方です。
しかし、派遣と一口に言っても、さまざまなタイプのはたらき方や紹介会社があることはご存じでしょうか?
未経験の方にとっては、自分が派遣に向いているのかどうかということも、気になるポイントですね。
この記事では、「派遣というはたらき方に興味がある」「派遣の経験はあるがもっと詳しく知りたい」という方にむけて、派遣薬剤師のすべてを徹底解説していきます。
この記事の目次
薬剤師の「派遣」とは?
まずは、派遣薬剤師の概要や探し方についてみていきましょう。
概要
「働き方改革」が叫ばれる中で、さまざまな職種や業種において、「派遣」というはたらき方が注目されています。
2000年の「労働者派遣法」の改正によって、薬剤師においても「派遣薬剤師」というはたらき方が認められるようになりました。
派遣薬剤師についての概要をまとめると、下記のとおりです。
- 派遣会社に登録して、派遣先企業(薬局、ドラッグストアなど)で業務をおこなう。
- 雇用契約は派遣先企業ではなく派遣会社と結び、給与は派遣会社から支払われる。
- 業務の監督や指示は、派遣先企業がおこなう。
- 派遣先は自分で選択することが可能で、期間を定めたレギュラー派遣や一日限りの単発派遣がある。
派遣の最大の特徴は、雇用契約を結ぶ先と勤務先が異なるということです。
勤務先は都合により変えることができますが、雇用が同じ派遣会社のままであれば、社会保険や有給休暇も利用することができます。
紹介会社・派遣登録って何?
派遣薬剤師として活動するためには、まずは紹介会社に派遣登録をおこなう必要があります。
紹介会社は、薬剤師と派遣先とを結びつけてくれる窓口となるものでもあり、薬キャリやファルマスタッフなどの転職サイトがサービスを提供していることが一般的です。
派遣登録は、派遣としてはたらくためにこれらの紹介会社に登録をおこなうことをあらわしており、勤務開始までに雇用契約を結ぶことが法律によって定められています。
詳しくは後述の「派遣をスタートするまでの流れ」でご説明しているので、気になる方は確認してみてください。
どうやって案件を探す?
紹介会社に派遣登録をおこなえば、派遣としてはたらくための準備は完了です。
あとは希望の職場にエントリーをおこなうだけですが、案件はどうやって探せばよいのでしょうか?
代表的な方法をみていきましょう。
- エージェントと面談する
- 電話やFAXで希望を伝え紹介を受ける
- 派遣会社の専用ページにアクセスして派遣先を選ぶ
- 急募の連絡やメルマガの情報から派遣先を選ぶ
案件を探す方法はさまざまですが、現在ではインターネットを利用した方法が一般的です。
特に副業として派遣就労をおこなっている方では、空いた時間に入ることができる単発派遣先を探して、応募することがおすすめです。
紹介予定派遣って何?
派遣薬剤師のなかでも特別なはたらき方の一つとして、「紹介予定派遣」というものがあります。
こちらは簡単にいうと「試用期間」のようなもので、派遣先で直接雇用されることを前提に、調剤薬局やドラッグストアなどで一定期間派遣スタッフとして雇用されます。
派遣期間の満了後に両者(薬剤師と派遣先)の合意が得られれば、派遣先の企業に雇用してもらえるという仕組みです。
「思っていた条件と違う」「人間関係が合わない」などの就職時のミスマッチを減らすことができるので、正社員を目指している薬剤師にもおすすめのはたらき方です。
派遣薬剤師としてはたらける職場
派遣薬剤師の求人の多くは調剤薬局です。
2019年9月現在、薬キャリで派遣薬剤師の求人を検索したところ総求人数4,368件のうち、調剤薬局が4,045件、病院が81件、ドラッグストアが236件、その他が6件でした。
求人の90%以上が調剤薬局です。病院やドラッグストアは数がかなり少ないことから、調剤薬局以外ではたらきたいと考えている方は、こまめに求人をチェックしておきましょう。
詳しく薬剤師のパート・派遣の違いがすぐ分かる!それぞれのメリットは?レギュラー・スポット・紹介予定派遣
派遣薬剤師と正社員、パートの違いとは?
薬剤師としてはたらく場合、大きく分けて派遣・正社員・パートの3つのはたらき方があります。ここではそれぞれの大まかな違いについて、みていきましょう。
さらに詳しく知りたい方は以下の記事で詳しく解説しています。
派遣と正社員の違い
派遣と正社員では、どのような点に違いがあるのでしょうか。「大きく変わる点」と「あまり変わらない点」に分けてみていきましょう。
大きく変わる点
任せられる仕事については、派遣と正社員では大きな違いがあるといえます。
正社員では発注業務や数値管理、書類作成と言ったさまざまな業務がありますが、派遣がこれらをおこなうことはありません。
責任の重さについても、派遣は正社員に比べて優遇されているといえます。
資格の取得や会議の出席、売り上げノルマなど、正社員であればプレッシャーがつきまとう業務も多いものですが、派遣であればこれらを気にせずにはたらくことができます。
あまり変わらない点
年収については、派遣と正社員の間に大きな違いはありません。
働く日数にもよりますが、週4~5日程度の勤務をおこなえば、正社員と変わりない年収を受け取ることが可能です。
社会保険についても、勤務時間によっては正社員と同様に加入することができるため、将来の保障で困ることはありません。
有給休暇も正社員と同様に付与されるため、勤務に対する見返りは大きいといえます。
派遣とパートの違い
派遣とパートの違いについても、同様に「大きく変わる点」と「あまり変わらない点」に分けてみていきましょう。
派遣・パートで薬剤師をやるメリット&趣味や特技を生かして兼業する新しい働き方とその豊かさを、実際にやっている人に聞いてみた!【インタビュー!】
大きく変わる点
時給は、派遣とパートの間で大きく変わる点といえます。
パートでは時給2,000円前後の求人が多いといわれていますが、派遣では時給3,000円を超えるものも多く、短い時間で効率よく稼ぐことができます。
人間関係についても、派遣では一定の期間ごとに異なる職場ではたらくため、合わない人がいても派遣期間が満了すれば職場を変えることが可能です。
人間関係は転職理由の一つとしてかなりのウエイトを占めているため、こちらの点は大きなアドバンテージといえますね。
あまり変わらない点
任せられる仕事は、派遣とパートで大きな違いはありません。
正社員では調剤やOTCの販売の他にも多くの業務をこなさなくてはなりませんが、派遣やパートでは負担はそれほどありません。
ワークライフバランスについても、自分の裁量で勤務する曜日や時間を設定できるという点では、派遣とパートに大きな違いはありません。
ただし、より細かく勤務日を設定できるという点では、派遣の方が優れているといえますね。
派遣薬剤師のメリットとは
派遣というはたらき方は注目されていますが、どのような魅力があるのでしょうか。
自分のはたらきたい期間に、はたらきたい時間だけ
正社員であれば週に5日程度は勤務しなくてはなりません。また、薬剤師を含む医療系職種であれば、土日休みの職場はそう多くないものです。
「やりたい事がある」「育児や介護と両立したい」「残業や休日出勤をしたくない」という薬剤師も少なくありません。
そんなとき、派遣薬剤師というはたらき方を選ぶことで、自分の希望したスケジュールではたらくことが可能となります。
冬場はガッツリとはたらいて、旅費の安いシーズンに長期で海外旅行に出かけるということも、派遣であれば難しくありませんね。
人間関係にとらわれず、ストレスフリーの職場で
調剤薬局をはじめとする薬剤師の職場では、女性中心の職場が多いといわれています。
人間関係でトラブルが起こることも珍しくなく、コミュニケーションに自信がないという薬剤師にとっては苦労することもありますね。
正社員であれば我慢してはたらき続けなくてはなりませんが、派遣であれば契約が終わるまでの辛抱です。
単発派遣であれば、うまくいかない職場はNGとすることもできるので、1日我慢するだけで良いということもありますね。
複数の職場を経験できるため、スキルアップにも
派遣の魅力の一つに、スキルアップにつながるということがあります。
短いスパンで職場が変わるため、短期間で複数の科目の経験を積むことができます。多くの医師の処方に触れることもできますね。
薬局ごとのノウハウを学ぶこともできるので、「いずれ自分の調剤薬局をひらきたい」と考える薬剤師にとっても、おすすめできるはたらき方ですね。
派遣の魅力はヤッパリ「高時給」
派遣薬剤師の最大の魅力は、なんといっても高時給ではたらけることです。
限られた時間ではたらくという点ではパート薬剤師と変わりありませんが、時給が高いぶん効率よくはたらくことができるのです。
ここでは、気になる派遣薬剤師の時給を3つのパターンでシミュレーションしてみました。
パターン1:ママ薬剤師が扶養内でまったり勤務|時給2,500円/1日4時間/週2日労働の場合
こちらの条件で、1年間の給与を計算してみましょう。
時給2,500円×1日4時間×週2日×52週(1年)=年収104万円
なんと、1日4時間の週2日勤務で、100万円を超える給与を受け取ることができます。
時給2,500円の求人であれば過酷な職場は少ないため、忙しいママ薬剤師でも負担なくはたらくことが可能です。
扶養内であれば税金や社会保険料も負担とならないため、効率よく家計を助けることができますね。
パターン2:フルタイムでガッツリ勤務|時給3,000円/1日8時間/週5日労働の場合
次に、こちらの条件をみてみましょう。
時給3,000円×1日8時間×週5日×52週(1年)=年収624万円
派遣薬剤師としては珍しくない条件である、時給3,000円で計算してみました。
薬剤師の平均年収が530万円前後であることを考えれば、平均よりも100万円多い計算となります。
正社員と同じ程度の勤務時間を確保することができれば、生活に困ると言うことはなさそうですね。
パターン3:地方で高時給求人に挑戦|時給4,000円/1日8時間/週6日労働の場合
最後に、派遣でどこまで稼ぐことができるのか、年収の上限をみてみましょう。
時給4,000円×1日8時間×週6日×52週(1年)=年収998.4万円
地方の求人では高額なものも多いため、時給4,000円の求人も珍しくありません。
薬剤師で年収1,000万円という大台はなかなか難しいため、満足できる年収ではないでしょうか。
週6日労働は大変ですが、奨学金の返済や開業資金を貯めるということであれば、おすすめできるはたらき方です。
派遣薬剤師のデメリットは?向いている人・向いていない人
派遣薬剤師は魅力のあるはたらき方の一つですが、向き・不向きもあります。ここでは、派遣薬剤師に「向いている人」と「向いていない人」をご紹介します。
派遣薬剤師に向いている人
①子どもがまだ小さいママ薬剤師
小さなお子様をお持ちのママ薬剤師は、派遣に向いているといえます。
大手チェーン調剤やドラッグストアでは時短勤務などの制度も充実しつつありますが、特定の職場ではたらくことはプレッシャーがつきまといます。
急な体調不良やお迎えで職場を抜けることが続けば、いくら時短社員といえど周囲の目が気になってしまうものです。
派遣薬剤師であれば、配偶者の休みに合わせてシフトを組むこともできるので、効率的にはたらくことができますね。
②プライベートも全力で楽しみたい
派遣薬剤師のメリットの一つに、自分の希望する日程で勤務スケジュールを組めるということがあります。
日程だけでなく勤務地を選ぶこともできるので、勤務後にプライベートを楽しむことも可能です。
「旅費の安いシーズンに長期で海外旅行に行きたい」「夏場は海が近いエリアではたらいてサーフィンをしたい」「週末は趣味の音楽活動をおこないたい」など、プライベートを充実させたい薬剤師にはおすすめですね。
③効率よくお金を稼ぎたい
派遣薬剤師の時給は高額なので、効率的にお金を稼ぎたいという方にとっても、おすすめのはたらき方です。
前項のシミュレーションにもあるように、ガッツリとシフトを入れれば年収1,000万円も夢ではありません。
地方の求人では高額時給に加えて、住宅や車を貸与してもらえる案件もあるため、住宅の購入や薬局の開業など目標のある方にとってもおすすめです。
④副業・兼業したい
公務員の副業解禁もすすむ中、現代の社会では副業や兼業をおこなう方も爆発的に増えています。
薬剤師においても、医療翻訳やメディカルライターで収入を得る方もみられます。
副業をこれからはじめようという方にとっては、本業とのバランスがとりやすい派遣薬剤師がおすすめです。
普段はたらいている薬局に加えて、異なる職場で兼業をしたいという方にとっても、シフトの融通が利く派遣薬剤師は人気となっています。
⑤どんどん職場を変えてスキルアップしたい
正社員やパートであれば、1か所の薬局で長期間にわたり勤務することが一般的です。
内科を含む複数の科目を応需している薬局であれば良いですが、整形外科や精神科などのイレギュラーな科目の門前に配属されてしまうと、スキルアップに影響が出てしまうおそれがありますね。
「今の職場でスキルアップに不安がある」「まわりよりも早く一人前の薬剤師になりたい」という方にとっては、派遣薬剤師は非常におすすめできるはたらき方です。
⑥いろいろな人と仲良くするのが苦手・人間関係をある程度割り切れる
派遣ではさまざまな職場を転々とするため、人間関係を気にすることなくはたらけるという特徴があります。
いろいろな方と仲良くするのが苦手という方にとっては、派遣は非常に向いているといえますね。
また、特定の方と綿密な関係性を築くということは難しいため、人間関係をある程度割り切れる方におすすめのはたらき方です。
派遣薬剤師に向いていない人
①ずっと同じ職場ではたらきたい
派遣では自分に合っている職場を見つけたとしても、派遣会社や派遣先の都合によって職場が次々と変わります。
ずっと同じ職場に腰を据えてはたらきたいという方には、派遣というはたらき方は向いていないといえますね。
「家の近くの職場ではたらきたい」「最寄り駅の沿線上の薬局がよい」「希望するエリアがある」という方は、正社員やパートを中心に検討することがおすすめです。
②職場の中でステップアップして出世したい
正社員としてはたらく薬剤師では、一般薬剤師→管理薬剤師(薬局長)→エリアマネージャー…という流れでステップアップがおこなわれていきます。
しかし、派遣法ではそもそも管理薬剤師の派遣は認められておらず、長年はたらいたとしてもこれらの管理職に昇進するということはありません。
調剤のスキルアップはおこなえますが、ステップアップを希望する薬剤師にとっては、派遣は向いていないといえますね。
③マネジメント、管理をやりたい
調剤薬局やドラッグストアでは、調剤やOTC販売以外にも、マネジメントや管理という業務があります。
これらに挑戦するためには、正社員として管理薬剤師や薬局長にステップアップしていかなくてはならないため、派遣薬剤師はおすすめできません。
同様に、人材育成や商品開発、企画といった仕事に挑戦したいと考える薬剤師にとっても、派遣は向いていないと考えられますね。
④地域医療や在宅医療に挑戦したい
今後の薬局薬剤師の重要な役割として、地域医療や在宅医療において力を発揮していくということがあります。
薬剤師としてのキャリアプランを考える上でこれらのスキルを高めることは重要ですが、派遣薬剤師の業務の中心は外来調剤であり、在宅業務を任せられることはほとんどありません。
地域医療や在宅医療に挑戦して、患者さまとしっかりと関わりたいと考える薬剤師にとっては、派遣薬剤師は向いていないといえますね。
⑤忙しすぎる職場ではたらきたくない
派遣薬剤師が派遣される先の職場は、基本的には人手不足で悩んでいる職場です。
1日あたり数百枚の処方せんを応需している薬局も珍しくなく、休みなくひたすら調剤をおこなっているような、忙しい職場がほとんどです。
「適度な忙しさの中でまったりとはたらきたい」という方にとっては、派遣は向いていないといえますね。
⑥調剤経験があまりにも短すぎる
派遣先の企業にとって、派遣薬剤師は即戦力として考えられているため、調剤経験があまりにも短すぎる場合には注意が必要です。
循環器や糖尿病などの一般的な慢性病の薬や、抗生物質や抗ウイルス薬などの臨時処方の薬については、テキパキと投薬をこなせなくてはなりません。
「調剤未経験可」という紹介会社もありますが、新卒や調剤未経験での派遣就労は、避けた方が無難といえるでしょう。
派遣薬剤師の1日の流れ、ライフスタイル
ここでは、派遣薬剤師の1日の流れを2つのパターンでみていきましょう。
パターン1:時短で家族との時間を大切にするママ薬剤師(30代女性)
家族4人分の食事を準備しなくてはならないので、朝はいつも大忙しです。
朝の時間しっかりと確保できるのも、派遣薬剤師の魅力の一つです。
通勤ラッシュの時間帯からずれているので、電車の乗り換えもスムーズにすすみます。
派遣であればパートのように残業をする必要がないので、スケジュールも立てやすいですね。
保育園のお迎えまで時間に余裕があるので、ゆっくりと献立を考えることができます。
帰宅してからは夕食の準備や家事をおこない、家族との団らんを楽しみます。
パートでも同じようにはたらくことができそうですが、派遣は時給が高いため効率よく稼ぐことができています。
また、冬場の風をひきやすいシーズンにはシフトを減らすこともできるので、小さな子どもがいても安心してはたらくことができますね。
パターン2:たくさん働いて高年収を目指す派遣薬剤師(20代男性)
単身なので、近くのファーストフードで簡単に朝食をすませます。
高時給の求人を希望しているので、仕事は非常に忙しいですが、やりがいを持ってはたらくことができています。
忙しい職場では、残業の可能な派遣薬剤師は重宝されています。
残業代がっしっかりと支給されるので、メリハリをつけてはたらくことができますね。
帰宅後は、撮りためていた映画を観るのが日課です。
時給3,500円とした場合、10時間の勤務で35,000円の日給です。派遣では残業代もしっかりと支給されるので、はたらき損ということはありません。
週5日ではたらいた場合でも、「時給3,500円×1日10時間×週5日×52週(1年)=年収910万円」と、破格の給与を受け取ることが可能です。
派遣をスタートするまでの流れ
ここでは、派遣をスタートするまでの流れをみていきましょう。
派遣会社は数多くありますが、扱っている案件にバラツキがあるため、複数の派遣会社に登録することがおすすめです。
希望しているエリアや業種をカバーしている派遣会社を選びましょう。
※派遣会社の選び方は、記事の後半で詳しく解説しています。
電話で直接登録することも可能ですが、事前に情報を入力できるインターネットの方がスムーズであるためおすすめです。
氏名や住所、薬剤師免許番号のほか、職歴や経歴を聞かれることもあるので、あらかじめ用意しておきましょう。
勤務条件や社会保険、賠償保険など質問事項がある場合には、確認するようにしましょう。
自宅や職場の近くの喫茶店で面接を受けるパターンが多いですが、紹介会社によっては、定期的におこなわれている登録会に参加しなくてはならないというケースもあります。
単発派遣・レギュラー派遣・紹介予定派遣など、はたらき方によって方法は異なります。エージェントに希望する条件を伝えて、派遣先を選びましょう。
服装や持参物、勤務時間、残業の有無などを確認します。応需科目を事前に確認して、あらかじめ予習をしておくことも重要です。
勤務が終了すると、タイムカードを記入して現場の管理者に承認をしてもらい、FAXで紹介会社に勤務完了の報告をおこないます。
※現在ではインターネット上でタイムカードや勤怠承認をおこなう紹介会社も増えています。
2つ目の職場の条件をエージェントに伝え、希望する派遣先を探してもらいます。
派遣先の決定後は、1つめの職場の時と同様に勤務先のを確認して、勤務開始に備えます。
【地方別】薬剤師派遣の時給相場や案件例
ここでは、地方別の薬剤師派遣の時給相場や案件例をみていきます。
過去3年間にIndeed上で掲載された求人広告、および従業員やユーザーから提供された情報をもとに、それぞれの地方ごとの年収をご紹介します。
※Indeedでは派遣薬剤師の情報も複数データに含まれていますが、正社員やパート社員の情報を完全に除外することができないため、参考程度にしてください。
(2019年3月1日時点)
薬剤師 派遣 東京
東京都では、55,592件の情報をもとに年収510万円が平均年収として算出されています。
首都圏ゆえに求人の多さに特徴がありますが、薬剤師数も多く競争の激しさゆえ、平均年収はそれほど高くありません。
薬剤師 派遣 神奈川 横浜
神奈川県では、20,565件の情報をもとに年収496万円が平均年収として算出されています。
求人は比較的豊富ですが、薬剤師人口も多いため、平均年収は唯一の400万円台となっています。
薬剤師 派遣 愛知 名古屋
愛知県では、8,789件の情報をもとに年収527万円が平均年収として算出されています。
東海地方は薬剤師の人手不足が深刻な地域の一つであるため、平均年収は比較的高めです。
薬剤師 派遣 大阪
大阪府では、22,110件の情報をもとに年収514万円が平均年収として算出されています。
こちらも東京都と同様に求人が多いものの、平均年収はそれほど高くありません。
薬剤師 派遣 兵庫 神戸
兵庫県では、8,334件の情報をもとに年収509万円が平均年収として算出されています。
兵庫県も神奈川県と同様に、薬剤師の数は比較的多く、年収はそれほど高くありません。
薬剤師 派遣 福岡
福岡県では、7,100件の情報をもとに年収507万円が平均年収として算出されています。
福岡県も地域柄年収は高くありませんが、そもそもの給与相場が低いことを考えると、比較的高い年収といえます。
薬剤師 派遣 沖縄
沖縄では、661件の情報をもとに年収528万円が平均年収として算出されています。
そもそもの求人数が少ないため、もとになる情報は少ないですが、比較的高額の年収が期待されています。
薬剤師 派遣 北海道 札幌
北海道では、12,625件の情報をもとに年収504万円が平均年収として算出されています。
北海道は薬剤師不足の地域でもあるので、高額年収が期待されるエリアですが、予想外の結果となりました。
派遣薬剤師におすすめしたい紹介会社(転職サイト)とは
最後に、派遣薬剤師としてはたらく方におすすめの紹介会社とその選び方をご紹介します。
紹介会社を選ぶときのポイント
ここまでご紹介してきたとおり、派遣薬剤師としてはたらく場合には、紹介会社に登録する必要があります。
紹介会社選びはかなり重要なポイントなので、「なんとなく」で選ぶことは絶対に避けましょう。
紹介会社を選ぶときは、次のポイントを押さえなくてはなりません。
- 派遣求人の取り扱い数
- 求人紹介までのスピード
- エージェントの持つノウハウ
「派遣求人の取り扱い数」と「求人紹介のスピード」は、派遣として安定してはたらいていくためには非常に重要です。
契約満了時に次の紹介先がすみやかに見つからなければ、待機期間が発生してしまうためです。
また、紹介会社のエージェントが薬剤師の業務内容や職場環境に対するノウハウを持っていることも重要です。
ここでは、情報の質と量で強い紹介会社として、派遣に加えて正社員やパート求人も扱う全職種系の会社2社と、派遣に強い2社をご紹介します。
【全職種系】情報の質と量で強い2社
①薬キャリ★イチオシ★
参考:薬キャリ
薬キャリは、医療系情報サイトとして大手のエムスリーキャリアが運営している転職サイトです。
正社員・派遣・パートの全雇用形態を網羅していることで、薬剤師のキャリアを総合的にサポートしてもらえます。
薬事系の最新ニュースや安価なe-ラーニングも用意されているので、まずは登録することがおすすめです。
参考:薬キャリ 2020年5月時点
時給4,200円の求人もありますね。ほとんどの求人が時給3,000円以上、高いものだと4,000円を超えるものもありますので、ぜひ一度、求人を検索してみてください。
人気の薬キャリ薬キャリの口コミ・評判やメリットがすぐ分かる!薬剤師転職サイトの中でも秀逸で薬剤師の半数が登録
②ファルマスタッフ
参考:ファルマスタッフ
ファルマスタッフは、大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営している転職サイトです。
こちらも正社員・派遣・パートの全雇用形態を網羅していることが特徴で、特に調剤薬局やドラッグストアに強いといわれています。
参考:ファルマスタッフ 2020年5月時点
この求人のように、OTC限定の派遣求人も扱われています。OTCで時給4,000円以上の時給を貰えるのは嬉しいですね。
時給4,000円以上の派遣求人を多数取り揃えていることを公言しているので、高額時給の求人を探す際にはおすすめです。
詳しくファルマスタッフの口コミ・評判が分かる!19年の実績・母体が日本調剤という安心感。調剤薬局へ転職したい薬剤師におすすめの理由
派遣に強い2社
①お仕事ラボ
参考:お仕事ラボ
お仕事ラボは、株式会社AXISが運営している紹介会社ですが、親会社は大手調剤薬局チェーンのアイセイ薬局です。
速払いサービスという給与の前払いサービスなど、ユニークな福利厚生を取り入れていることでも有名です。
サイトのタイトルに「薬剤師の派遣・転職」と表記されていることから、派遣に力を入れていることが読み取れますね。
「派遣のお仕事とは」というページも用意されているので、ぜひチェックしてみてください。
AXISお仕事ラボに登録してみよう!
詳しくお仕事ラボの口コミ・評判が分かる!派遣案件にも強い薬剤師転職サイト
②ファル・メイト
参考:ファル・メイト
ファル・メイトは、株式会社ファル・メイトが運営している紹介会社で、薬剤師の転職サイトの中でも派遣に特化していることが特徴です。
時給2,800円を最低保証しており、交通費全額支給や薬剤師賠償保険の会社負担も約束されているため、安心してはたらくことができますね。
「エキスパート薬剤師」という制度も用意されており、大手調剤薬局チェーンの管理薬剤師並みの待遇も可能ということです。
「お役立ちコンテンツ」には面白い読みものが用意されているので、ぜひともチェックしてみてください。
ファル・メイトに登録してみよう!
ファル・メイトの口コミ・評判は?派遣薬剤師・好待遇に強く登録から1時間で3社以上の求人をご紹介。1日派遣からでも賠責保険までカバーしてくれます。
紹介会社はいくつ登録すればよい?
紹介会社ごとに保有する求人が微妙に異なることもあるため、基本的には複数の会社に登録することがおすすめです。
しかし、あまりに多くの紹介会社に登録してしまうと、担当者とのやりとりが増えて手間になってしまうため、必要最小限にとどめることも大切です。
情報の質と量で強い全職種系の会社2社と、派遣に強い2社のうち、まずはそれぞれから1社ずつ登録してみましょう。
今後のキャリアプランを考える際にも幅広いサポートが期待できるので、エージェントと良好な関係を築いていくようにしましょう。
【緊急速報】派遣大手のヤクジョブが単発・スポット派遣のサービス終了を発表
2019年2月27日に親会社のクラシス株式会社より、eメールを介して単発・スポット派遣のサービス終了が発表されました。
eメールの一部を抜粋してご紹介します。
この度、ヤクジョブの1日単位の単発・スポット派遣は2019年3月31(日)をもちまして、サービスを終了させていただくこととなりました。
今後は、月単位で週1日以上の派遣サービスをご提案させていただきます。単発・スポット派遣は、「人と人を大切につなげる」という企業理念のもと2013年10月より提供を開始いたしましたが、諸般の事情に伴い今後のサービスの継続が困難と判断いたしました。
気になるサービス終了の経緯ですが、担当者に確認をおこなったところ、単発では派遣先の薬局と薬剤師とのシフト組みに限界が出ていたということでした。
また、あまりに短期間の雇用・就業では、派遣会社も派遣先も、雇用管理の責任を果たさないということから、派遣法において単発派遣はそもそも推奨されていなかったということもポイントです。
まとめ
この記事では、派遣薬剤師の魅力や登録方法など、派遣薬剤師にかかわるさまざまな情報を徹底解説していきました。
派遣薬剤師というと「不安定」「激務で大変」「求人が少ない」というイメージをお持ちの方も多いですが、実際にはそのようなことはありません。
ママ薬剤師や趣味を楽しみたい薬剤師、ガッツリ稼ぎたい薬剤師など、それぞれの背景にあわせてはたらき方を選ぶことが可能です。
派遣会社さえしっかりと選ぶことができれば、薬剤師としてのキャリアにも大きく役立つので、ぜひ一度経験してみることをおすすめします。