「薬剤師会ってみんな入ってるの?」
「入るメリットやデメリットて何?」
決して安くない会費を払う必要があるため、加入を迷ってしまうことがありますよね。しかし、周りの薬剤師を見ると加入している方が多い印象です。
薬剤師会への加入を迷っている方に向けて、ここでは加入のメリットやデメリットをご紹介します。
薬局薬剤師
日本薬剤師会の概要
日本薬剤師会は1893年に設立されました。「日本薬剤師会」は「日本医師会」や「日本歯科医師会」と並んで医療業界において三師会と呼ばれています。
私たちの会話の中では、日本薬剤師会を略して「日薬(にちやく)」と呼ぶことが多いでしょう。
平成28年10月31日時点における加入数は103,850人、同年の薬剤師総数は301,323人です。厚生労働省に届け出を出している薬剤師のうち約3人に1人が加入していることになります。加入率にすると、約35%です。
元々、日本薬剤師会は国の行政機関で道府県薬剤師会が会員となる強制加入制度でしたが、薬事法の改正によって自由加入制度へ変更された背景があります。
その歴史のあゆみからも、「FAPA・アジア薬剤師会連合学術大会」や「FIP・国際薬剤師薬学連合」など、国際的な活動を担っていることも特徴です。
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日本薬剤師会の役割
日本薬剤師会の目的はホームページを見ると
本会は、都道府県を活動区域とする薬剤師会との連携のもと、薬剤師の倫理の高揚及び学術の振興を図り、 薬学及び薬業の進歩発展を図ることにより、国民の健康な生活の確保・向上に寄与することを目的とする。(定款第3条)
参考:日本薬剤師会
と記されています。勉強会を目的に加入する薬剤師も多いですが、日本薬剤師会では以下のような取り組みも実は行っているのです。
このように日本薬剤師会は、大規模な団体で非常に多くの役割を担っており、それが加入者のメリットでもあります。
「情報収集」や「整理・分析」を目的として加入している方もいるでしょう。「新医薬品の薬価収載」や「おくすり相談室電話帳」などを活用できるツールが揃えられているのです。
また、国際規模の学術大会などもわかりやすい例ですね。
日本薬剤師会の取り組み
日本薬剤師会の下部組織となる「地域薬剤師会」などでは「加入特典」として多くの項目が紹介されており、それについても一言に「情報」に収束されます。
- かかりつけ薬剤師の推進
- 健康サポート薬局の推進
- 医療保険制度への取り組み
- 薬学教育への対応
- 薬剤師のための生涯教育推進
薬剤師が活躍できる環境作りと支援を行うのが日本薬剤師会の役割だと言えるでしょう。学校教育への対応も担っていることから、日本薬剤師会に加入していると学校薬剤師のお誘いを受けることもあります。
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その他、代表的な薬剤師系の団体
薬剤師の団体には「一般社団法人」や「公益社団法人」など多くの団体や組織があります。基本的にこうした組織や団体というのは、ステップアップのプロセスにおいて加入を検討することが多いです。
あらかじめそれぞれの組織や団体を全把握して、比較検討しながら加入先を探すといった作業をする必要はありません。
たとえば認定薬剤師になりたい場合は、自然と日本薬剤師研修センターにたどりつきます。目標を見据えて行動すれば必要な組織や団体に着地可能です。
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日本薬剤師会に入会するメリット
- 福利厚生
- 学術大会
- 研修会
- 電子お薬手帳
転職においても、自己PRで「日本薬剤師会を通して勉強会へ参加している」など、少なからずアピールに繋げられるでしょう。
その他、日々変化する医療業界の最新情報を自然と入手できるため、仕事に直結するメリットもあります。
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福利厚生
- 薬剤師年金保険
- 薬剤師賠償責任保険
- 休業補償保険
- 日薬共済部
薬剤師年金保険
薬剤師年金保険とは、日本薬剤師会の会員向けに作られた年金保険制度で、月3,000~500,000円の保険料で加入できます。年金の受け取りは65歳から可能です。
ライフプランに合わせて掛け金を1,000円単位で調節でき、万が一のときでもご遺族の方が年金を受け取れるのが特徴となります。
薬剤師賠償責任保険
日本薬剤師会では上記のような福利厚生へ加入できます。この中でも「薬剤師賠償責任保険」は名称どおりにメリットが高いです。
テレビや新聞では大事故しか報道されませんが、病院や調剤薬局でちょっとした偶発的なミスというのは起こることが少なくありません。
「職場内の連携」や「薬剤師と医師の連携」など、単独業務ではないだけに「ノーミスの現場なんてある?」と感じる薬剤師の方も多いのではないでしょうか。
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休業補償保険
休業補償保険とは、病気やケガにより働けなくなったときに最大1年間、所得を補償してくれる保険です。
長期間にわたって就業できない状態になったとき用の保険として長期休業補償保険も準備されています。こちらは最長満70歳までの補償が可能です。
薬剤師の万が一に備えてこのような保険があるのは嬉しいですね。
日薬共済部
日薬共済部とは、薬剤師会の会員が亡くなったときや、災害に合ったときに見舞金や弔慰金を受け取れる制度のことです。
年会費として2,000円(新規加入時のみ2,400円)かかりますが、万が一のときは最大で10万円受け取れます。
学術大会
日本薬剤師会に加入すると、学術大会を通して知識を向上させることが可能です。
この学術大会は概要で紹介した「国際会議」を含めて幅が広く、日々の業務につながる内容も多く開催されています。
今開催されている注目度が高いであろう学術大会としては、「第53回・日本薬剤師会学術大会」がありますね。
調剤薬局で働く中、在宅のあり方を考えることは多いと思います。そんな時にこうした学術大会はよい参考になりますよね。
研修会
日本薬剤師会は研修会も頻繁に開催されており、こちらも学術大会の一環です。
直近では、「次世代薬剤師指導者研修会」や「くすり教育研修会」などが開催されています。
薬剤師は同じ職業でも職場によって求められる知識が異なることから、必要に応じて勉強することが余儀なくされます。
勉強会へ参加する目的で日本薬剤師会へ加入する方も多いです。
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電子お薬手帳
薬剤師にとってお薬手帳はお馴染みですね。日本薬剤師では電子お薬手帳が使えます。
電子お薬手帳はスマートフォンのアプリで簡単に情報を管理することが可能です。「e薬Link」で異なる電子お薬手帳を相互に閲覧可能できます。
日本薬剤師会に入会するデメリット
- 会費が高い
- 転職情報がない
今のところ、加入比率は薬剤師全体の3分の1であり、残りの薬剤師は未加入です。
この現状からも、会費が高いことにデメリットを感じるなら加入する必要はありません。
会費は都道府県ごとに異なる
日本薬剤師会への加入は「職域薬剤師会」→「県薬剤師会」→「日本薬剤師会」という手順です。
各都道府県の薬剤師会のホームページには、こちらの日本薬剤師会のページから飛べますので参考にしてみてください。
「職務薬剤師会」と「県薬剤師会」において各エリアで会費が異なり、東京は会費が公開されていません。
東京は少しややこしく、日本薬剤師会に入会するためには「東京都薬剤師会」へ入会する必要があります。
「東京都薬剤師会」へ入会するためには「職域薬剤師会」か「地区薬剤師会」へ入会しなければなりませんが、各機関で入会金の記述が公表されていないことからも、実際に入会しなければ総費用がわかりません。
宮城県薬剤師会の場合
〈入会金などについて〉
入会金 | 10,000円 |
施設設備負担金(店舗) | 200,000円 |
施設設備負担金 (会員) | 50,000円 |
〈年会費について〉
開局会員 | 79,000円 | 主に薬局等の管理薬剤師 | 県薬 45,000円 日薬 18,000円 薬連 16,000円 |
勤務会員 | 31,800円 | 上記以外の薬剤師 | 県薬 20,000円 日薬 7,000円 薬連 4,800円 |
在宅会員 | 26,800円 | 現在勤務されていない薬剤師 | 県薬 15,000円 日薬 7,000円 薬連 4,800円 |
賛助会員 | 59,000円 | 薬剤師以外、メーカー等法人など | 県薬 52,000円 日薬 7,000円(B) |
宮城県薬剤師会の場合なら、上記のような内訳です。
大阪府薬剤師会の場合
〈入会金〉
開設者・管理薬剤師(A会費負担会員) | 80,000円 |
勤務薬剤師・在宅の方(B会費負担会員) | 10,000円 |
〈会費〉
会費の種類 | A会費負担会員 | B会費負担会員 |
---|---|---|
府薬会費(日薬会費を含む) | 月額 6,000円 | 月額 1,800円 |
医薬品試験特別会費 | 月額 200~5,000円 | - |
薬剤師連盟会費 | 月額 1,500円 | 月額 500円 |
引用元:大阪府薬剤師会
大阪府薬剤師会の場合なら、上記のような内訳です。
各エリアにおいて、最寄りの入会先から会費を確認しましょう。
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職場に合わせて決めるという手もある
日本薬剤師会の会費は総額で数万円~200,000円といった幅が推測されますが、実際に加入している薬剤師の方でも会費を知らない方が多いのではと思われます。
会費は決して安いとは言えない金額なので、加入を迷っている方もいるかもしれません。
職場によっては日本薬剤師会の会費を全額負担してくれるところがありますし、日薬主催の勉強会や講義についても費用負担というところはわりと多いです。
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転職情報は得られるのか?
日本薬剤師会では、直接的に転職情報をたくさん入手することはできません。ただし各都道府県の薬剤師会ページから、求人情報をチェックできることもあります。
とはいえ薬剤師転職サイトと比べると求人数は少なく、また手厚いサポートも期待できません。
交流という側面があることから、横の繋がりで転職先を見つけられることはありますが、転職においては転職サイトの方が当然ながら強いです。
みんな日本薬剤師会に加入している?
- 薬剤師総数:約300,000人(28年度時点)
- 調剤薬局従事者:約160,000人(26年度時点)
- 日本薬剤師会;約100,000人(28年度時点)
薬剤師の総数の半分以上が調剤薬局で勤務しており、病院薬剤師は「日本病院薬剤師会」があることからも、日本薬剤師会に加入しているほとんどの方は薬局勤務の薬剤師です。
職場によって会費の負担などがあることからも、職場に合わせて加入を検討する方が多いと推測されます。
日本薬剤師会以外にも、薬剤師のコミュニティーサイトやブログなど多くありますので、多くのコミュニティーに参加して薬剤師のレベルを上げたい方は以下の記事も参考にしてみてくださいね。
薬剤師の交流が転職につながるか?
日本薬剤師協会は入会金や年会費などの費用をクリアできるなら、加入しておく方が得るものは大きいです。
現状の加入数から見ても、日本薬剤師会と同等の存在意義や役割りの代用となる組織や団体が他にないことが一番の理由でしょう。
ただし日本薬剤師協会は、実務において有益な情報を得られるものの、転職情報を提供するというサービスはありません。
転職に関しては転職サイトやエージェントを利用するのが主流であり、サブ的なオプションとして交流を通して人脈を形成しておくというスタンスの薬剤師が多いです。
転職情報は日本薬剤師会より転職サイトがオススメ
転職情報については、以下の2社から登録し、情報収集してみるのがオススメです。
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