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薬剤師の賠償責任保険について、過去の賠償請求、保険事例も踏まえて学ぼう!調剤過誤保険、重要です。

薬剤師の賠償責任保険

万が一のときのために薬剤師なら多くの方が入っている薬剤師賠償責任保険。予期せぬ調剤過誤から薬剤師を守ってくれる頼りがいのある存在です。

「薬剤師賠償責任保険は入らないといけないの?」
「これまでにどういった事例があるの?」

と気になっている方に向けて、今回は個人で薬剤師賠償責任保険に入る方法、これまでにあった判例などをご紹介します。

薬局薬剤師

自賠責保険とも呼ばれている薬剤師賠償責任保険。加入していないとどういうリスクがあるのか、加入することでどのようなリスクから守ってくれるのかなどをご紹介します!

薬剤師の賠償責任保険(自賠責保険)とは?

薬剤師の自賠責保険とは?
まずは薬剤師賠償責任保険がどういう目的で存在するものなのかを見ていきましょう。

「自賠責保険」と「賠償責任保険」の違い

薬剤師の自賠責保険とは、「薬剤師の自賠責保険」という保険があるわけではなく、一般的に「薬剤師賠償責任保険」を指す意味で使われます。

一般に「自賠責保険」と言うときは「自動車損害賠償責任保険」を指すことが多いのではないでしょうか。

「自賠責保険」と「薬剤師賠償責任保険」の2種類があるわけではなく、「薬剤師賠償責任保険」のことを「自賠責保険」と簡単に言うことがあるということです。

車を所有する際に「自賠責保険=強制保険」は必ず加入することになるため、保険内容を知っている人が多いことから「薬剤師賠償責任保険=自賠責保険」として使う方が多いのだと思います。

薬局薬剤師

求人募集を見ていると「薬剤師自賠責保険」と表記されていることもあります。

薬剤師賠償責任保険とは?

薬剤師賠償責任保険とは薬剤師が何らかのミスをして患者さんに障害を負わせた場合、保険金が支払われるようになる保険のことです。

薬剤師として従事する際は、勤務先の会社が薬剤師賠償責任保険へ加入していることがほとんどでしょう。

この場合、会社が加入している保険の対象者となれるため、新たに薬剤師賠償責任保険へ個人加入する必要はありませんつまり、雇われて働いている場合は、ほぼ自動的に薬剤師賠償責任保険に加入することになります。

ポイント!
まれにパートやアルバイトの薬剤師は会社が用意している保険の対象外であることがあります。勤務先の企業で自分が保険に入れているかどうかを今一度確認しておきましょう。

パートや派遣でも薬剤師賠償責任保険には入れる

パートや派遣薬剤師として働いている方も、薬剤師賠償責任保険に入ることは可能です。

ただし、職場や企業がパートや派遣薬剤師にも適用となる薬剤師賠償責任保険を契約している必要があります。まれに正社員のみしか対象にならない契約をしているケースもあるので、働く前に保険内容については確認しておきましょう。

もし就業先の保険が対象外の場合は、自分で契約して加入する方法と取る必要があります。

薬剤師賠償責任保険の加入先

薬剤師賠償責任保険の加入先
薬剤師賠償責任保険を扱っているのは主に日本病院薬剤師と日本薬剤師会です。それぞれに「薬剤師契約」と「薬局契約(施設契約)」が用意されています。

日本病院薬剤師会

日本病院薬剤師会」の保険には、施設契約と個人契約があります。

施設契約

補償対象薬局や薬剤部全体と病院薬剤師個人の責任など
実務実習中に薬学生が起こした事故に対する薬局および薬剤部の管理責任補償される
加入条件薬局や薬剤部の所属薬剤師全員が日本病院薬剤師会の会員であること
加入方法薬局や薬剤部の所属薬剤師全員で加入
年間保険料2,300円
保険料負担者問わない

施設契約は実習生の事故に対しても補償されるのが特徴です。

補償額は300万円~3億円の範囲で、対象事故から金額が決まっています。

個人契約

補償対象個人責任、日本全国の医療機関等の業務において発生した事故を補償
実務実習中に薬学生が起こした事故に対する薬局および薬剤部の管理責任補償されない
加入条件日本病院薬剤師会の会員であること
加入方法個人ごとに加入
年間保険料2,400円
保険料負担者問わない
個人契約は実習生の事故が補償されません。

そのため、会社として保険に加入している企業が多いと思います。

個人契約の補償額は「自己負担なし」となっており、名誉棄損で訴えられた場合だけは損害額の10%が自己負担となっています。

日本薬剤師会

日本薬剤師会」は、薬局契約と薬剤師契約があります。

薬局契約

補償対象業務関連や弁護士費用など
加入プラン基本プラン(最高4.5億円)と充実プラン(最高6億円)
加入条件日薬会員名簿に薬局、店舗販売業の「開設者」、「法人代表者」、「管理薬剤師」として登録されている日薬正会員の方で日薬会員登録されている場所での加入
加入方法店舗で加入
年間保険料3,600円~28,500円(プランによる)

薬局契約とは、薬剤師契約に監督責任が上乗せされた保険内容です。

薬局契約は「個人情報漏洩保険」もあるので、保険内容はこちらの方がやや充実しています。

補償額はプランや補償内容によって異なりますが、保険期間中であれば「基本プラン・4.5億円」・「充実プラン・6億円」と高額補償が用意されています。

薬剤師契約

補償対象業務関連や弁護士費用など
加入プラン基本プラン(最高4.5億円)と充実プラン(最高6億円)
加入条件日薬会員名簿に「薬局」、「病院・診療所」「店舗販売業」として登録されている日薬正会員である薬剤師の方で日薬会員登録されている勤務先や自宅での加入
加入方法店舗か自宅で加入
年間保険料1,950円~2,850円(プランによる)
日本薬剤師会の薬剤師賠償責任保険は内容が少し難しいですが、簡単に説明すると「開設者や管理薬剤師=薬局契約」・「管理薬剤師以外の個人=薬剤師契約」です。

薬局契約ですべての従業員の保険をカバーできるわけではないので、ここが日本病院薬剤師会の薬剤師賠償責任保険とは異なる特徴です。

ポイント!
自分が調剤していなくても、監査や投薬などで少しでもその処方せんに関与していた場合、何かミスがあれば責任を問われることになるので注意が必要です。

勤務先に薬剤師賠償責任保険がない場合はどうすれば?

勤務先に保険がない場合はどうすれば?
薬剤師の業務ミスというのは軽微なものも含めると特別に珍しいものではありませんが、そのミスによって患者さんに重大な悪影響が出てしまった場合に保険の重要性を痛感します。

日頃からよくあるミスはたまたま重大な結果にならないだけで、薬剤師にとって自賠責保険は本当に重要です。

基本的に保険の準備をしていない会社というのは稀だと思いますが、もし保険がないのであれば自分で保険を探して加入するしかありません。

薬局薬剤師

私の知り合いに、患者さんが前立腺肥大症の症状があるのを見過ごして抗ヒスタミン剤を処方せん通り出し、尿閉が起きたとして患者さんに訴えられた薬剤師がいます。「保険に入ってなかったら人生終わってた…」と言っていたこちらの薬剤師に求められた賠償額はなんと数千万円。保険に入っているだけで大きなリスク回避になります。

個人で加入する

勤め先で薬剤師賠償責任保険に入れないなら、個人で入るしか方法はありません

日本薬剤師会に加入して、薬剤師賠償責任保険の加入手続きを行うことが一般的でしょう。年間約2,000円の保険に入るだけで1.5億円まで保障してくれることから、入らない理由が見つかりません。

ほとんどが会社で加入してくれますが、万が一保険に入っていない場合は、契約しておくことをおすすめします。気になる方はぜひ日本薬剤師会のページから詳細をチェックしてみてください。

保険に入っておかないとどうなる?

ここで1つ、過去の判例について見ておきましょう。

高血圧の治療で通院していた患者に、医師がエラスチーム(血管代謝改善剤)を処方するつもりが誤ってオイグルコン(血糖降下剤)を処方してしまいました。

エラスチームは1回2錠1日3回、オイグルコンは1日に1~2回、最高投与量は10mg/日のお薬です。事もあろうに医師はオイグルコンをエラスチームと同じ用法用量で処方し、さらには調剤した薬剤師も用法用量がおかしいことに気が付きませんでした

その結果、患者さんは血糖値が低下して心不全になり、植物人間の状態になってしまったのです。裁判では4,700万円の支払いが命じられました。

参考:医療安全にかかる法的知識の基礎

薬局薬剤師

薬剤師賠償責任保険に加入せずこのような事故を起こしてしまった場合、これだけの金額を払わないといけないのです。人生が終わると言っても過言ではありません。

派遣薬剤師として働くならファルメイトがオススメ!

正社員やパートなど勤め先が雇用主になる場合、「施設(企業)で加入」or「個人加入」のいずれかで自賠責保険をカバーできます。

しかし派遣は「派遣会社」・「派遣先」・「個人加入」など、複数の選択肢があるケースが想定されるので、どこで加入すれば良いのかは判断が難しいですね。

それを簡単に解決する方法として、ファルメイトを利用するのがオススメです。

ファルメイトで派遣薬剤師の契約をすると、自動的に薬剤師賠償責任保険へ加入できるようになっています。また最低時給2,800円以上を保証、研修の割引などメリットも豊富です。

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薬剤師の行政処分に関する考え方

薬剤師の行政処分に関する考え方
薬剤師の行政処分に関する考え方・一部改正について」は、厚生労働省が各都道府県薬務主管部局長あてに通知した文章です。

かなり長い文章ですが、この中には「薬剤師法違反」「薬機法違反」など、さまざまな行政処分に関する考え方が記されています。

薬剤師は厚生労働省の管轄なので、厚生労働省が薬剤師の行政処分について考え方を示しているなら、それを知っておく必要性は少なからずあります。

実際にあった例を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

薬剤師法違反

薬剤師が行う、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどる行為については、医療をはじめとして公衆衛生の向上及び増進など、国民の健康な生活の確保に直結する極めて重要なものであることから、薬剤師法において、薬剤師の資格・業務を定め、原則、薬剤師以外の者が調剤や医薬品の供給などを行うことを禁止し、その罰則規定は、国民の健康な生活に及ぼす危険性の大きさを考慮して量刑が規定されているところである。

行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するものであるが、国民の健康な生活を確保する任務を負うべき薬剤師自らが薬剤師法に違反する行為は、その責務を怠った犯罪であることから、重い処分とする

薬機法違反

薬事法は、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保に必要な措置等を講じることにより、保健衛生の向上を図ることを目的としている。行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する任務を負うべき薬剤師が薬事法に違反することは、基本的倫理を遵守せず、国民の健康を危険にさらす行為であることから、重い処分とする

業務上過失致死・交通事犯(業務上過失致死、業務上過失傷害、道路交通法違反)

自動車等による業務上過失致死(傷害)等については、薬剤師に限らず不慮に犯し得る行為であり、また、薬剤師としての業務と直接の関連性はなく、その品位を損する程度も低いことから、基本的には戒告等の取り扱いとする。

ただし、救護義務を怠ったひき逃げ等の悪質な事案については、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、国民の健康な生活を確保する責務を負うべき薬剤師としての倫理が欠けていると判断される場合には、重めの処分とする

業務上過失致死・医療過誤・調剤過誤(業務上過失致死、業務上過失傷害)

国民の健康な生活を確保する任務を負うべき薬剤師は、その業務の性質に照し、危険防止の為に薬剤師として要求される最善の注意義務を尽くすべきものであり、その義務を怠った時は医療過誤又は調剤過誤となる。司法処分においては、当然、薬剤師としての過失の度合い及び結果の大小を中心として処分が判断されることとなる。

行政処分の程度は、基本的には司法処分の量刑などを参考に決定するが、明らかな過失による医療過誤や調剤過誤、さらには繰り返し行われた過失など、薬剤師として通常求められる注意義務が欠けているという事実については、重めの処分とする。なお薬剤師が従事する施設、機関、組織等の管理・業務の体制、他の医療従事者における注意義務の程度、生涯学習に努めていたかなどの事項も考慮して、処分の程度を判断する。

診療報酬・調剤報酬の不正請求

診療報酬制度は、医療の提供の対価として受ける報酬であり、我が国の医療保険制度において重要な位置を占めており、これを適正に請求し受領することは、薬剤師に求められる職業倫理においても遵守しなければならない基本的なものである。

調剤報酬の不正請求は、非営利原則に基づいて提供されるべき医療について、薬剤師が医療の担い手としての地位を利用し、社会保険制度を欺いて私腹を肥やす行為であることから、調剤報酬の不正請求により保険薬剤師の登録の取消処分を受けた薬剤師については、当該健康保険法等に基づく行政処分とは別に薬剤師法による行政処分を行うこととする。

当該不正行為は、薬剤師に求められる職業倫理の基本を軽視し、国民の信頼を裏切り、国民の財産を不当に取得しようというものであり、我が国の国民皆保険制度の根本に抵触する重大な不正行為である。

したがって、その行政処分の程度は、調剤報酬の不正請求により保険薬剤師の取消を受けた事案については、当該不正請求を行ったという事実に着目し、不正の額の多寡に関わらず、一定の処分とする。ただし、特に悪質性の高い事案の場合には、それを考慮した処分の程度とする。

また、健康保険法等の検査を拒否して保険薬剤師の取消しを受けた事案については、検査拒否という行為が、社会保険制度の下に医療を行う薬剤師に求められる職業倫理から到底許されるべきでないことから、より重い処分を行うこととする。

実際の判例を知りたい!どこで調べられる?

実際の判例
薬剤師が業務上過失致死などで医療訴訟された場合など、どのような健康被害からどのくらいの賠償額の判決となるのか、判例を知りたいという方もおられると思います。

裁判所」では、さまざまな裁判例情報を調べられるので、賠償額事例などを調べたい時に活用してみてはいかがでしょうか。

ただし、調べ方が少し難しいのと、すべての判例が公表されているわけではないため、「薬剤師」の判例が見つからない場合は「医師」や「看護師」など似たような内容となりやすい職業の判例を参考にする方が早いです。

※「薬剤師」で検索しても判例が非常に少なく、筆者が調べた限りは薬剤師が直接絡む判例はありませんでした。

下級裁裁判例・薬事法違反

下級裁裁判例・薬事法違反」は、医学論文の投稿が「薬機法第66条1項・誇大広告等」に違反するかどうかという裁判です。

論文を書く時にデータを改ざんした疑いがあり、それが薬機法に触れるかどうかが争点となっています。

最終判決は、医師の処方箋判断に悪影響を与える可能性があるので良いことではないが、それでも論文を掲載する行為は「薬機法第66条1項・誇大広告等」に違反するとは言えないため、別の法規制によって図られるべきものとなっています。

薬機法関連は、他にもハーブなどのドラッグ系の判例をいくつか参照できます。

まとめ

薬剤師なら薬剤師賠償責任保険は必須
保険はとても難しく感じるサービスですが、薬剤師賠償責任保険については必要性や加入方法などは簡単です。

訴訟で「1億円の賠償額を命じる」と言われた時、保険がないと人生が終わります。

薬剤師は業務的にちょっとした怠りでも重大な問題に発展することがあり得るため、必ず何かしらの保険には加入しておくのが鉄則です。

薬局薬剤師

薬剤師賠償責任保険はほとんどの企業で自動加入となりますが、念のため転職活動の際には、保険がどうなっているのかを聞くことを忘れないようにしましょう。

下記の記事で、薬剤師転職におすすめサイトを職種・雇用形態別にランキングしています。

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