働きはじめてしばらく経つと、「自分はこれからどうしたいのか?」をなんとなく考え始めるようになりますよね。
「このまま同じ職場で働いていていいのか」
「もっと新しいことにチャレンジできないか」
薬剤師としてどのようにキャリアアップしていくべきなのか、どういったキャリアパスがこの先あるのか一度しっかり考えてみませんか?
ここでは薬剤師がキャリアアップしていく方法や選択肢をご紹介します。
薬局薬剤師
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この記事の目次
薬剤師が気になる「キャリアパス」「キャリアアップ」の意味
本題に入る前に、まずはキャリアパスとキャリアアップの意味から押さえておきましょう。
キャリアパス
就職活動や転職活動をしているとよく聞くこのキャリアパスという単語は、「キャリアを積むための道筋」という意味です。
長く薬剤師として働いていると、「これからどうしよう?」「何を目標に働けばいいのだろう」と迷うタイミングが訪れます。キャリアパスをしっかり持っておけば、目標がハッキリするので迷いながら働くことがありません。
キャリアアップ
キャリアアップとは自分のキャリアを積んでいくことです。
キャリアアップは大きく以下の2つの意味にわけられます。
- 年収を上げること
- スキルを磨いていくこと
年収を上げることには管理薬剤師や薬局長になるといった出世も含まれます。スキルを磨いていくことは、薬剤師としての知識やその他経営に必要な知識などを習得していくことです。
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なぜキャリアパスやキャリアアップを考えておくことが重要なの?
キャリアパスを明確にしキャリアアップしていくことで、仕事をより楽しめるようになることはもちろん、やりがいを感じながらスキルを身につけていくことができます。そのため、キャリアパスやキャリアアップが重要なのです。
何も考えずに日々の業務をこなしていても、身につけられるスキルには限界があります。
調剤薬局で働いている知り合いの薬剤師が実際にこのようなことを言っていました。
「1年働いたけど、目新しい処方箋は来ないし飽きちゃった…」と。
そうなんです、ただただ流れに合わせて働いていると働く楽しさや目的、意欲がなくなってしまうのです。
たとえばもしも「3年以内に薬局長になる」というキャリアプランを持っていたとします。すると1年目のうちに業務はすべて覚えて、2年目で1人でも薬局を回せるようになり…というように詳細な道筋を立てられます。
自分なりの目標とするゴールを決めてキャリアパスを進み、キャリアアップしていくことで薬剤師の質を高めながら人生を豊かにすることができるのです。
病院・調剤薬局・ドラッグストアそれぞれのキャリアパス
キャリアパスはどこで働いているのかによって大きく変わるのが特徴です。調剤薬局とドラッグストアとではまったく違ったキャリアを積んでいくことになります。
では職場ごとにどういったキャリアパスが用意されているのかを見ていきましょう。
調剤薬局
- 管理薬剤師
- 薬局長
- エリアマネージャー
- 開局
調剤薬局でキャリアを積む場合、薬局長や管理薬剤師、エリアマネージャーを目指すことが一般的です。まずは薬局長や管理薬剤師を目指す方が多いですね。
店舗全体を見られるようになったら次は複数の店舗を見ていくエリアマネージャーになります。多くの調剤薬局ではこのようなキャリアパスが用意されていることが多いです。
しかしチェーン展開している大手の調剤薬局だと、この他にもさまざまなキャリアパスが用意されていることも珍しくありません。
例としていくつかの薬局のキャリアパスを見てみましょう。
アイセイ薬局のキャリアパス
参考:チャレンジできるキャリアパス|採用情報|調剤薬局のアイセイ薬局
先ほど紹介した薬局長やエリアマネージャーの他に、人事採用や医療モール開発、薬局運営支援などのキャリアパスも用意されています。独立・開業も可能なようですね。
アイングループのキャリアパス
管理薬剤師やかかりつけ薬剤師はもちろんのこと、学会発表や薬学博士のキャリアもあるのは面白いですね。本部に行くと広報や経営にも関わることができます。
日本調剤のキャリアパス
日本調剤ではなんと、日本調剤の社員として働きながら病院で勤務することもできるようです。日本調剤から病院へ薬剤師を派遣しているんですね。
採用担当や店舗開発、在宅医療なども経験できます。
このように働く薬局によって用意されているキャリアパスも大きく異なるのが特徴です。
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病院
- 薬剤部長
- 専門薬剤師
- 認定薬剤師
病院の場合、最終的に行き着くところは薬剤部長です。
薬剤部長が麻薬管理者を務めることが多いですが、病院によっては薬剤部長と麻薬管理者を別の薬剤師に分担しているところもあります。
薬剤部長になるには、さまざまな病棟を担当しながら知識を蓄えていかなければなりません。
しかし病院で働いている薬剤師は、薬剤部長を目指す方よりも認定薬剤師や専門薬剤師の取得を目指している方が多い印象です。
地位を上げるためのキャリアアップよりも、知識をつけるためのキャリアアップを目指す方が病院では多く見られます。
自分が取りたい資格の勉強ができる病棟に配属してもらい、資格取得に励むケースが一般的でしょう。
ドラッグストア
- 店長・薬局長
- SV
- 本社勤務(商品開発・人事など)
ドラッグストアでは薬局長や店長をまずは目指します。そこからさらに上のSVを目指していくのが一般的なキャリアパスです。
しかしドラッグストアのキャリアパスはこれだけではありません。店舗から離れて会社の本部で働くこともできます。
商品開発や教育担当、海外事業の推進など、薬剤師という職にとらわれない働き方が可能です。
本部に行けるのは一握りの薬剤師だけであるため、本部勤務を狙う場合は店舗で実績をあげなければなりません。
ドラッグストアも調剤薬局と同じように企業によってキャリアパスが異なるので、いくつか例を見てみましょう。
ウエルシア薬局のキャリアパス
参考:薬剤師ーキャリアパス
ウエルシア薬局では「在宅リーダー」というものもあるんですね。現場で経験を積みたい方から、本部で経営に関わりたい方までキャリアを積めるキャリアパスが用意されています。
ツルハドラッグのキャリアパス
参考:キャリアステップ
ツルハドラッグでは調剤薬局やOTCでそれぞれ薬局長や店長を目指せる他、本社スタッフとして商品部や販促企画部でもお仕事をすることも可能です。
公式ページに「入社後、薬局長・店長を経験し、その後教育の仕事・PB商品の開発の仕事・仕入の仕事など、さまざまな能力を発揮することができます。 」と記載があることから、本社で勤務するには薬局長や店長経験が必要であることがわかります。
おすすめ薬剤師転職サイトおすすめの16社を徹底比較【最新ランキング】
薬剤師としてキャリアアップしていく方法
薬剤師ならどんどん医薬品の知識を身につけて、幅広い知識を持っているジェネラリストを目指す方も多いです。
またある分野に関する知識を専門的に極めたスペシャリストの道を進む方もいます。とことん上り詰めて地位を獲得する方もいるでしょう。どういう薬剤師像を求めてキャリアアップを目指すのかは人それぞれ。
ここでは薬剤師としてのキャリアアップ方法を見ていきます。
1つの職場で長く働く
薬局長やエリアマネージャー、店長など上の立場を目指すのなら同じ職場で働き続ける方法がもっとも一般的な方法です。
前職でいくら評価がよかったとしても、残念ながら今の職場でその評価がすぐに生きるとは限りません。
同じ職場で働くことで「この人なら仕事を任せられる」と評価がたまっていきます。バリバリ仕事をこなす方はもちろん早い出世が期待できますが、ゆっくり成長していく方でも長く勤めることで信用を獲得しやすいのが特徴です。
ムダに長く働くのがよいと言うわけではありませんが、確実に信用を集めるには転職を繰り返さずとどまって働くのがよいと考えられます。
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転職する
長い期間同じ職場で働いていると「もっと他のことを学びたい!」と思うようになることが多いものです。
普段の業務がルーチン化してくると、とくに他のことも学びたいという気持ちはさらに強くなります。
学びたいことを学ぶには、時として転職が有効です。取りたい認定薬剤師や専門薬剤師の資格があるなら、なおさら転職した方が取得しやすくなります。
知識をつけるために転職する方は少なくなく、転職は希望の知識をつけるために有効な方法であると言えるでしょう。
転職で薬剤師の専門性や知識を高めたいなら、大学病院実務研修や在宅医療研修などのような研修制度が充実しているところがおすすめです。
また転職は手っ取り早く管理職を目指すのにも有効な手段です。求人を探すときに「管理薬剤師候補募集」と書かれているものを探しましょう。
ずっと同じ薬局で何年も働いているよりも簡単に、しかも確実に管理薬剤師になれますよ。実際に転職後たったの3か月で管理薬剤師になった方を知っています。
勤務体系を変えてみる
あえて正社員ではなくパートや派遣として働く方法もあります。パートや派遣は正社員とは違って好きな場所で好きな期間だけ働けますよね。
そのためさまざまな職場を経験することができるのです。正社員だと転職しなければ勤務先を変えられませんが、パートや派遣なら気軽に働く先を変えられます。
学びたいことを学べる職場で働くためにパートや派遣といった働き方を選ぶのも1つの方法です。
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パートでのキャリアアップについては以下の記事でさらに詳しく説明していますので、気になる方はこちらもぜひご覧ください。
認定資格や専門資格を取ってみる
薬剤師のスキルを高めると聞くと、ほとんどの方が認定薬剤師や専門薬剤師を思い浮かべるでしょう。
自分がどれくらいの知識をその分野において持っているのかを証明できる資格であるため、資格取得に励む薬剤師はとても多いです。
とくに専門薬剤師は高い知識と多くの経験がなければ取れない資格であるため、取得のしがいもあります。
認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取るためにはかなりの経験と勉強が必要ですので、薬剤師のスキルを高めるためにはこれ以上ないほど適していると言えるでしょう。
- がん専門薬剤師
- 感染制御専門薬剤師
- 腎臓病薬物療法認定薬剤師
- 精神科専門薬剤師
- 小児薬物療法認定薬剤師
- 漢方・生薬認定薬剤師
- 認定実務薬剤師
中には認定実務薬剤師のように比較的簡単に取得できる認定資格もあります。薬剤師のレベルを上げたいと考えている方は取りやすい資格からチャレンジしてみるのもいいですね。
英語や中国語など外国語を学ぶ
英語ができると薬事申請業務などのように、年収1,000万円クラスの求人も手が届くようになります。年収アップを目指したい方はぜひ英語の勉強を始めてみてはどうでしょうか。
英語をバリバリ使う企業に転職しなくても外国語が使えることで出世しやすくなるケースもあります。たとえば観光客の多いドラッグストアは英語や中国語がとても役に立つものです。
英語や中国が話せると、観光客に強化品を売りやすくなるので評価を貰いやすくなります。実際に英語や中国語が話せる薬剤師は早くから店長業務を任されていました。
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薬剤師以外の仕事に挑戦するのもキャリアアップの1つ
薬剤師といえば病院や調剤薬局がメジャーな就職先ですが、他にもたくさん薬剤師がチャレンジできる仕事があります。ざっと思いつくだけでも以下のものがあげられます。
- 研究・開発
- MR
- DI業務
- 治験コーディネーター
- 薬事申請
薬剤師の資格が必ずしも必要でないものもあり、普段の調剤業務とはまったく異なる仕事を経験できるのが特徴です。
薬剤師の資格の活かし方を少し変えてみると、調剤という枠を超えた場所でまた違ったキャリアを重ねることができます。
上にあげたような仕事に興味のある方は、以下の記事で詳しく説明していますので参考にしてみてください。
収入をアップさせたいなら副業もオススメ
収入アップを目的としてキャリアアップを目指しているのなら、副業を始めてみることもオススメです。
「もっと収入を増やしたい」と考える方は多いかと思いでしょう。収入が上がれば欲しいものも手に入りやすくなりますし、生活や心も豊かになるものです。しかし収入を上げるのは簡単なことではありません。
何年も働いてやっと年収が数万円しか上がらないこともあります。しかし副業を始めれば、始めたその月から収入を増やすことができるのです。昇給を待っているよりは確実に早く年収を増やすことができるでしょう。
もっともメジャーな副業は、調剤薬局やドラッグストアなどでパートとして働くことです。派遣薬剤師として月に数回だけ働く方もいます。最近では自宅で好きなタイミングでできるライティングや翻訳の副業をしている薬剤師も増えてきました。
どの副業も月に数万円の収入アップにつながるので、収入を増やしたいと考えている方はぜひ副業も視野に入れてみてください。
まとめ
薬剤師のキャリアプランとして、薬局長や管理薬剤師、薬剤部長になるのが一般的です。しかし薬剤師のキャリアはこれだけではありません。
調剤薬局であれば開業する道もありますし、ドラッグストアであれば本部で働いて商品開発などに関わることも可能です。思っている以上にキャリアパスは多いんですね。
職場での地位を上げていく他、認定薬剤師や専門薬剤師を取って知識を身につけていく方法もあります。
自分が目指すキャリアプランを描いて、自分だけのキャリアを積んでいくことで唯一の薬剤師になることが可能です。
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